アメリカのガイトナー財務長官は、ことしの末に期限切れを迎える高額所得者向けの減税について、一部に延長を求める声が上がっているのに対し、「延長すれば大きな財政赤字を生むことになる」として、減税を予定どおり打ち切る方針を示しました。
アメリカでは、前のブッシュ政権が導入した大型減税がことしの末に期限切れを迎えますが、オバマ政権は、中低所得者向けの減税だけを延長し、高額所得者向けの減税は打ち切る方針を示しています。これに対し、議会の与野党の議員の一部からは、アメリカ経済の先行きへの懸念が強まるなか、個人消費を失速させないためにも、高額所得者向けの減税も延長すべきだとの声が上がっています。これについて、ガイトナー財務長官は4日、ワシントン市内で講演し、高額所得者向けの減税を延長すれば、新たに巨額の財政赤字を生み、「政策を誤ることになる」と述べ、高額所得者向けの減税を予定どおり打ち切る方針を明確に示しました。その一方で、ガイトナー長官は、中低所得者向けの減税は、逆にそのまま延長することが金融危機の後遺症に苦しむ人々を救済し、アメリカ経済を下支えすることになると強調しました。