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武蔵川理事長、急転“続投”も協会大混乱

 村山理事長代行、伊藤外部理事とともに復帰会見をする武蔵川理事長=両国国技館(撮影・出月俊成)
 村山理事長代行、伊藤外部理事とともに復帰会見をする武蔵川理事長=両国国技館(撮影・出月俊成)

 日本相撲協会の武蔵川理事長(62)=元横綱三重ノ海=は5日、両国国技館での臨時理事会で職務復帰し、当面は理事長職を続けると宣言した。7月21日に胃がんの手術を受けていたことも公表した。前日に辞意を固めていたものの急転。関係者によると、退任報道や周囲の反応をみて続投へ意欲的になったとみられる。もっとも、早期の退任を求める声もあり、理事長の退任時期をめぐり、協会内で意見の対立が生じている。

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 ゆっくりとではあったが、足取りはしっかりしていた。謹慎を決めた7月4日の理事会以来となる公の場。急転続投を表明した会見では、ほぼ一方的にファンや周囲への感謝や、体調について説明した。伏せられていた病状について、胃がんの摘出手術を受けていたことを明かした。

 理事会では、自らの病状と復帰について説明した。出席者によると、4日に固めていた理事長職からの退任については語らず、再出発へ「皆さんのご協力をお願いしたい」などと発言。他の出席者からも、「異論は出なかった」(放駒理事=元大関魁傑)という。

 理事長に近い関係者によると、任期満了を迎える2012年2月まで職務を全うする意欲も出てきているという。退任を既成事実化されたことに対し、周囲へ怒りを爆発させていたという話もあり、職務を続けたいと考え直したようだ。

 続投を後押しする動きもあった。退任報道を受けて、高田川親方(元関脇安芸乃島)ら中堅親方約40人が、理事会の前に国技館に集結。武蔵川理事長の続投を求める意見を理事長に伝えた。出席した錦戸親方(元関脇水戸泉)は「頑張ってもらいたいという気持ちは変わらない」と明言した。

 説得も受けて続投したものの、武蔵川政権が順風満帆に船出するとは考えにくい。弟子が野球賭博に関与していた点と、健康問題がネックになっている。役員の中には「頑張ってもらいたいが、そうもいかない。理事会がある(今月)12日から23日の間に辞められることになるのでは」とする意見もある。

 8月中の早期退陣と、任期満了も含めた続投。理事長の退任時期をめぐり、協会には2つの意見が渦巻いている。武蔵川理事長は「全親方衆、関取衆が一心同体で改革に当たり、難局を乗り切るため、協会再生に向けて頑張っていきたい」とし、辞任については明確に答えなかった。

(2010年8月7日)





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