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佑ちゃん満塁悲弾…日本決勝進出逃す

 1回、スプリンガー(後方)に逆転満塁本塁打を打たれた斎藤=撮影・開出 牧
 1回、スプリンガー(後方)に逆転満塁本塁打を打たれた斎藤=撮影・開出 牧

 「世界大学野球・準決勝、米国4-2日本」(5日、横浜)

 準決勝の2試合などを行い、日本は4連覇を目指す米国に2‐4で敗れ、地元開催での初優勝を逃した。先発したエースの斎藤佑樹投手(早大4年)が、1‐0の一回に痛恨の満塁本塁打を被弾。打線も1点を返すにとどまった。日本は韓国との3位決定戦(7日・神宮)に回った。キューバはアブレウの2本塁打などで韓国を圧倒し、11‐1の八回コールドゲーム勝ちで決勝に進出した。

  ◇  ◇

 米国代表と健闘をたたえ合う試合後の握手も、口を真一文字に結んだまま。必死で悔しさを押し殺した佑ちゃんは、足早にベンチから姿を消した。日の丸エースとして米国を倒し、悲願の金メダルをつかむ‐。斎藤の夢はかなわなかった。

 一発、いや1球に泣いた。1点リードの初回、1死から2四死球と安打で満塁とされ、5番・スプリンガーに投じた初球。129キロの変化球は真ん中に入り、いとも簡単に左翼席に運ばれた。思わず帽子を取り、ぼう然と立ちつくした背番号1。一挙奪われた重すぎる4点を、最後まで覆すことはできなかった。

 敗れたエースは、会見場に姿を現さなかった。榎本監督は「4年間ジャパンにかけていて、野球人として熱いものを感じていた。とても前に出せる精神状態じゃないと判断した」と説明。トーナメントでの最大のヤマ場となる準決勝での先発を、最初からエース斎藤に決めていた指揮官の配慮からだった。

 集大成を見せたかった。米国への思いは、人一倍強かった佑ちゃん。幼いころからメジャーにあこがれ、日の丸を背負い米国と対戦することは、最も心躍る舞台だった。2年前、チェコで行われたこの大会で日本は決勝で米国に敗戦。準決勝・韓国戦で完投した佑ちゃんは、その試合で登板のないまま敗れ去った。

 自分に進化を与えてくれたのは、いつも米国だ。1年時の日米大学野球では直球の球威アップにこだわった。今春の早大ロサンゼルスキャンプでは、変化球を生かす原点を再認識した。スライダー、ツーシーム、フォークに今大会では東京六大学リーグ戦ではほとんど投げなかったチェンジアップも交えた。二回以降は得点を許さなかった。

 初優勝は逃したが、日本は何としても銅メダルを獲りに行く。7日は韓国と3位決定戦に臨む。

(2010年8月5日)





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