広島平和記念式典に初めて駐日大使を出席させたアメリカ政府の決断の背景を解説します。
広島の平和記念式典に、これまで代表者の出席を見送ってきたアメリカ政府が、初めて駐日大使を出席させました。今回の決断の背景について、西垣 壮一郎記者が解説します。
アメリカ国内には、原爆を投下した国として、式典への参加に反対意見もある中、ルース大使の出席をアメリカ側が決断した背景には、オバマ大統領の強い思い入れがあった。
クリントン国務長官は、「オバマ大統領自身が、平和記念式典を重要なものだと考えている。だから、わたしたちは事を進めてきたのです」と述べた。
クリントン国務長官は、オバマ大統領本人が代表者の出席を強く望んだと明らかにしたうえで、大統領の核軍縮の強い意欲を受け、外交政策でもNPT(核不拡散条約)の再検討協議などに取り組む姿勢を強調した。
「核なき世界」の実現を掲げるオバマ大統領にとって、代表者を平和式典に出席させることで、世界に向け、核廃絶への決意を新たにした形となる。
11月に予定される訪日の際に、オバマ大統領が広島を訪問するかどうかに注目が集まっているが、アメリカ国内には依然、原爆投下は戦争の終結のため必要だったと正当化する声が根強く、決定は世論の動向をにらみつつ、下されることになる。
(08/06 12:32)