【動画】広島65回目原爆の日 米国大使ら74カ国代表集う
原爆が投下された午前8時15分に黙祷する人たち=6日、広島市中区、伊藤恵里奈撮影
原爆死没者慰霊碑に献花する潘基文・国連事務総長=6日午前8時11分、広島市中区、伊藤恵里奈撮影
平和記念式に出席するルース駐日米大使=6日午前7時34分、広島市中区、高橋正徳撮影
広島は6日、被爆から65年の「原爆の日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園では午前、「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式)があり、原爆を投下した米国や核兵器を保有する英仏両国の代表が初めて参列した。潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長も初参列。核保有国のロシアも含め過去最多となる74カ国の代表が集い、核廃絶に向けた国際機運の高まりを象徴する式典となった。
式典は午前8時に始まった。市発表の参列者は5万5千人。米国からはルース駐日大使、英仏両国からは臨時代理大使が参列した。前日までの1年間に死亡が確認された5501人の名前を記した名簿を、秋葉忠利市長と2人の遺族代表が原爆死没者慰霊碑に納めた。死没者の累計は26万9446人になった。菅直人首相、潘氏、天野之弥(ゆきや)・国際原子力機関(IAEA)事務局長、9カ国の代表らが慰霊碑に次々と献花。原爆が投下された午前8時15分に「平和の鐘」が鳴らされ、全員が1分間の黙祷(もくとう)をささげた。
秋葉市長は平和宣言で、米英仏の代表や国連事務総長の初参列について、「核兵器廃絶の緊急性は世界に浸透し始めている」と評価。「こがあな いびせえ(こんな恐ろしい)こたあ、ほかの誰にもあっちゃあいけん」と、被爆者の声を広島の方言で紹介し、核廃絶のためには、「被爆者の本願」を世界に伝えることが必要だと指摘した。
被爆国として「核廃絶に向けて先頭に立つ」と表明している日本政府に対しては、米国の「核の傘」からの離脱と非核三原則の法制化を要求。5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書で言及された核兵器禁止条約実現のために、日本が主導的役割を果たすよう訴えた。
菅首相はあいさつで非核三原則の堅持を誓い、「具体的な核軍縮・不拡散の措置を積極的に提案していく」と表明。潘氏も「核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえて暮らすことになる」と訴え、「核兵器のない世界という夢を実現しましょう」と呼びかけた。
今年3月末現在、被爆者健康手帳を持つのは22万7565人で、前年同期に比べ8004人減った。平均年齢は76.73歳で、前年より0.81歳上がった。