【カイロ=貫洞欣寛】中東ペルシャ湾のホルムズ海峡で7月末、商船三井の原油タンカー、エム・スター(マーシャル諸島船籍、約16万トン)が右舷に損傷を受けた事件で、捜査に当たったアラブ首長国連邦(UAE)の沿岸警備隊は6日、「タンカーはテロ攻撃を受けた」との見方を示した。UAEの国営首長国通信(WAM)が伝えた。
WAMが沿岸警備隊幹部の話として伝えたところでは、調査にあたった専門家が船体から手製爆弾の残留物を見つけた。同幹部は「タンカーはおそらく、爆発物を積んだボートによるテロ攻撃を受けた」と語った。
ホルムズ海峡は原油輸送の大動脈であるだけに、テロ攻撃だったことが確認されれば、通過するタンカーは警備の大幅強化など緊急対応を迫られることになる。
エム・スターは7月28日未明、ホルムズ海峡のオマーン領海域を航行中、「右舷後部で爆発があった」とオマーン沿岸警備隊などに通報。乗組員が「閃光(せんこう)を見た」と話したことなどから、商船三井は外部からの攻撃の可能性を指摘していた。
この事件を巡っては、「アブドラ・アッザム旅団」を名乗るイスラム過激派組織の犯行声明が4日に見つかったが、複数の専門家は信憑性(しんぴょうせい)に疑問を呈していた。
WAMによると、エム・スターは6日、沖合に係留されていたUAEのフジャイラ港を離れたという。