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【今月のダラクシー賞】

老人を切り捨て、民放の真似!?「あさイチ」(NHK総合)

GALAC 2010年7月号掲載) 2010年7月4日(日)配信

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文=桧山珠美

最近、実家の母がなにかとうるさく言ってくる。やれ酢はカラダにいいとか、やれゲームはほどほどにしろとか。どうやらネタ元はこの春スタートした「あさイチ」らしい。ニューヨークから帰って来た有働由美子アナと、柳澤秀夫解説委員、V6のイノッチこと井ノ原快彦がメインを務める朝の情報番組だ。

視聴者層を三十代、四十代の主婦に設定しているらしく、「“ネトゲ”にはまる主婦たち」「あなたはどうする?トクする離婚ソンする離婚」「キラキラ40 はじめませんか 子宮メンテナンス」「とことんアナ あなたも若返る!? 美容医療最前線」など、女性週刊誌的な煽る特集タイトルが目立つ。民放ワイドショーの騒々しさに辟易とし、NHKを心の拠りどころとしているうちの母世代のような後期高齢者はすっかりはじかれてしまったかたちだ。それでも他に見るものもなく、仕方なく「あさイチ」をつけてはいるものの自分たちに関係のない話題ばかり。せめて娘の役に立てばと、わからないままにも番組を見ているのだろう。そんな上得意様の老人世代を切り捨ててまで若返りを図ったものの、やっていることといえば民放の真似。この番組を見るとNHKというのは民放に憧れを抱いている人の集まりなのかと思える。隣の芝生は青いというが、民放の華やかさに目を奪われ、自分たちの良さを完全に見失っている。

そもそもNHKのネックは原則として企業名や店名、商品名を出せないところにある。企業にしてみれば宣伝のためにと取材を受けたところでこれでは効果も薄い。視聴者にしても中途半端な情報を見せられ消化不良に。情報番組なのに情報があいまいというのはいかがなものか。みんながみんなネットで検索できる環境にあると思ったら大間違いである。もっとも最近はそのあたりもなしくずし的になり、ナレーションでは「ある百貨店」とぼやかしながらも、画面には有楽町西武の正面玄関が映されていたり、「お酢や納豆をつくる大手食品メーカー」といいながらもミツカンの製品がずらりと並んだ棚をゆっくりと映したりしているが。

「あさイチ」には「ぶうちゃん」と名づけられた番組のマスコット的存在のミニブタがいる。子ブタのうちは可愛くていいが、大きくなったらどうするのだろう。映画「ブタがいた教室」のように、「ぶうちゃん」を料理にして、いのちの授業をやろうっていうのならあっぱれだが。人寄せパンダならぬ人寄せミニブタで視聴者を集めようとするさもしさに「今月のダラクシー賞」を贈呈する。

ひやま・たまみ フリーライター。そうは言っても毎朝、「ゲゲゲの女房」終わりで見ています。「ぶうちゃん」のゆく末を見届けるまでは……。

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