１５年前「死亡」の男　窃盗などで逮捕、生存が確認

　１５年前に「死亡」したとされていた男が、今年７月に建造物侵入などの疑いで警視庁に逮捕されていたことが５日、分かった。捜査関係者によると、逮捕された男は鹿児島県出身で住所不定・無職の宗方正治容疑者（６３）。同容疑者は昨年１月に家族の請求で家庭裁判所から失踪（しっそう）宣告を受け、民法上１９９５年１０月１７日に死亡したとみなされていた。首都圏で盗みを繰り返しながらひっそりと生きていたと見られる。

　１００歳以上の高齢者の所在不明が社会問題化しているが、こちらは逆に「死亡」扱いされていた男が、自ら起こした事件によって生存が確認された。

　戸籍上「９５年に死亡」となっていた宗方容疑者だったが、１５年後の今年７月１６日に逮捕された。警視庁立川署は同日午後１１時１５分ごろ、東京都国立市の花店にドライバーで高窓を割って侵入したとする建造物侵入などの疑いで、同容疑者を現行犯逮捕。現金約２０万円を盗んでいたことも後に分かり、同１８日に窃盗容疑を併せて送検した。

　調べに対し、同容疑者は「記憶では、９４年か９５年頃から家族に全く連絡していない」と供述している。鹿児島県内の高校を中退してから各地で窃盗を繰り返し、刑務所を出たり入ったりの生活を送っていたとの情報もある。

　昨年１月に家族の請求で鹿児島家庭裁判所から失踪宣告を受け、民法上１９９５年１０月１７日に死亡したとされていた宗方容疑者。民法は所在不明者の生死が７年間明らかでないときは、親族らの請求で家裁が失踪宣告できると規定しており、死亡したとみなされる。生存が確認されれば取り消しができる。９５年に死亡したとされていた宗方容疑者は、少なくとも８８年には行方が分からなくなっていたものとみられる。

　２０００年以降、各地のカプセルホテルやサウナを転々としていたという宗方容疑者は「東京、栃木、埼玉、千葉の事務所や店舗で２００件近く盗みをやった。迷惑がかかるので家族には連絡しないでほしい」と供述。窃盗の被害総額は３０００万円に上るものとみられる。

（2010年8月6日06時02分  スポーツ報知）

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