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【政治】

首相談話 与野党が反発 日韓併合100年

2010年8月6日 朝刊

 政府は五日、日韓併合百年を二十九日に迎えることを受け、植民地支配への反省を盛り込んだ菅首相の談話を発表する方向で検討に入った。韓国側は歓迎しそうだが、与野党には「談話を出すべきでない」との慎重論も強い。低空飛行を続ける菅政権に新たな火種になる可能性がありそうだ。

 首相談話を主導しているのは仙谷由人官房長官。七月中旬の記者会見で首相談話を検討していることを明かし、その後も「(日本は)言葉を奪い、文化を奪い、韓国の方々に言わせれば土地を奪うという実態もあった。直視して考えなければならない」と談話の意義を強調してきた。

 仙谷氏はもともと、在日韓国人の権利保障などを手掛けてきたリベラル派弁護士。今回の動きは、そうした個人的な信念がにじむ。

 談話は、侵略と植民地支配を謝罪した一九九五年の村山談話を踏襲し、未来志向の日韓関係を目指す内容になるとみられる。政府は閣議決定した上で、終戦記念日の十五日に発表する見通し。

 ただ、与野党からは「謝罪外交が繰り返される」と反発が上がっている。政府は、新たな戦後補償には応じない姿勢で、今回の談話も補償問題と切り離す方針だが、談話をきっかけに韓国側から、新たな補償要求が出ないとも限らないからだ。

 民主党の松原仁衆院議員は五日、記者団に「(戦後補償は)法律的に解決済みなので、談話を出す必要はない」と指摘。「(韓国という)国名を出せば、ほかの国からも個別に『談話を出せ』と言われ、国益に反する」とも主張した。

 自民党の谷垣禎一総裁も会見で「今、談話を出す必要があるのか大きな疑問だ。不用意に蒸し返すのは、極めて間違っている」と批判した。

 民主党内には、首相や仙谷氏らがこうした反対を押し切る形で首相談話を出せば、「九月の党代表選に影響する」(中堅)との声も。

 問題がこじれた場合、首相の再選阻止へ動き始めたグループに格好の攻撃材料を与えることにもなりそうだ。 (城島建治)

 

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