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女優の寺島しのぶ(37)が、今年2月のベルリン国際映画祭で銀熊賞(主演女優賞)を獲得した映画「キャタピラー」(若松孝二監督)が、14日から全国公開される。このほどスポーツ報知のインタビューに答えた寺島は、「(作品の内容について)肯定でも否定でもいいから、まずは見て」と訴えると同時に、演じる上で「脱ぐ」ことに対する考え方や、世界的な賞を得てこれからの女優人生をどう歩もうとしているのかを聞いた。
日本女優としては、1964年の左幸子さん(「にっぽん昆虫記」「彼女と彼」)、75年の田中絹代さん(「サンダカン八番娼館 望郷」)以来、35年ぶりとなる銀熊賞獲得から約半年。一般ファンのもとに、ようやく作品が届く。沖縄などでは先行上映が始まっており、若松監督や共演の俳優・大西信満(34)らと舞台あいさつに立ち、じかに観客の声を聞いた。
「『こういう映画を作ってくれてありがとう』と言われたり、沖縄では戦争中に生きたおばあちゃんからお礼を言われたり…。何かを受け止めて帰ってもらっていますね」
演じるのは、四肢を失って帰ってきた夫を献身的に支える妻・シゲ子。過去に“戦争もの”への出演はあったが、これまでにない感覚を得た。
「『戦場だけでなく、それを支える家族も含めた、すべてを巻き込むのが戦争だ』というのを監督は描きたかった。だから戦争は二度とやっちゃいけないと。今までは、そこまで深刻に考えなかった。『兵隊さんがお国のために戦った』ということばかり取り上げられる作品が多いから」
12日間の撮影は、全シーンが一発撮り。セリフ合わせすらしない現場にびっくりした。
「私は、監督の持つ動物的な勘みたいなものでキャスティングされた。何でそんなに信頼されちゃってるんだろうと思ったけど、だからこそ必死。でも一日終えたら『あ、分かった』って。舞台の感覚でやればいいんだなって思った」
大西演じる久蔵は、食欲と性欲だけで生きる。赤裸々な男女の絡みのシーンも多数登場する。これまで「赤目四十八瀧心中未遂」「ヴァイブレータ」などで大胆な濡(ぬ)れ場を熱演。世間には「寺島=脱ぐ」のイメージもあるが、それを一笑に付す。
「脱ぐ、脱がないというのは、日常のその人間を演じるのであれば当然あること。お風呂に入るときには裸になるし、夫婦だったらセックスもする。何で、それをやいやい言われるのか、本当にハテナなんだよね」
とはいえ「脱ぐ」ことをクローズアップされることに、強い疑問を持ち続けてきた。が、今回の受賞がそれを解消し、力を与えてくれた。
「ベルリンでは『何で裸になった?』なんてくだらない質問は、一回もなかった。自信になりましたね。まあ、日本に帰って来た途端『また脱いだ』って言われたけど(笑い)。でも、それでお客さんが来るんだったら、いいじゃんって思えるようになった。見に来て『ただ脱いでるだけじゃない。違ったな』って思う人が一人でもいたら、ラッキーって感じで」
今回の受賞で、世界に名を知らしめた寺島。今後は、何を目標にしていくのか。
「いやいや、まだ金獅子(ベネチア映画祭)だってあるし、パルム・ドール(カンヌ映画祭)だってあるから(笑い)。ただ、今はこれ(銀熊)が一番大きい。重荷になると思うけど、それを払拭(ふっしょく)し続けないといけない」
海外からも注目を集める存在となったが、あくまでホームグラウンドは日本と考える。
「フランスのテレビに出たとき『これで世界に羽ばたきますね』と言われたけど、『いや、私は日本の映画を世界で認めてもらいたい。世界はその次』と答えた。『キャタピラー』も日本の俳優が演じて、日本の監督でないと撮れない作品。それが評価されたのはうれしかった」
迷うことなく、これからも“日本の映画人”として、世界に発信を続けていくつもりだ。
◆「キャタピラー」 近所の住民から盛大に見送られて戦場へと向かった久蔵(大西信満)。しかし、妻・シゲ子(寺島)の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無惨な姿だった。多くの勲章を胸に「生ける軍神」と呼ばれる久蔵。シゲ子も、その妻として自らを奮い立たせるが、久蔵のおう盛な食欲と性欲を満たすことの繰り返しに、やがて空虚さと疑問を感じ始める。一方、久蔵も自らの戦地での行いに苦しむようになる。そんな中、終戦を迎える…。
◆寺島 しのぶ(てらじま・しのぶ)本名は寺嶋・グナシア・忍。1972年12月28日、京都市生まれ。37歳。青学大卒。 92年、劇団文学座を経て、テレビドラマ、舞台を中心に活動していたが、03年の映画「赤目四十八瀧心中未遂」で報知映画賞、日本アカデミー賞など主演女優賞を総なめ。その後は、映画にも積極的に出演。07年2月に仏人アートディレクターのローラン・グナシアさんと結婚。父は歌舞伎の人間国宝・尾上菊五郎、母は女優の富司純子、弟は歌舞伎俳優の尾上菊之助。NHK大河ドラマ「龍馬伝」で乙女役を好演中。
(2010年8月6日06時05分 スポーツ報知)
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