暴力団排除へ、対策で骨子提示

　日本相撲協会の全般的な改革を目指す「ガバナンス（統治）の整備に関する独立委員会」（座長＝奥島孝康日本高野連会長）が３１日、東京・両国国技館で第３回会議を開き、罰則付きの禁止規定案を策定する暴力団排除対策のたたき台として、暴力団との交際を禁じるなどの骨子を相撲協会に提示した。暴力団の観戦が問題となった維持員席についての提言を含めて、８月１２日の第４回会議で最終案をまとめる。

　暴力団排除対策は〈１〉暴力団との交際や違法賭博の禁止〈２〉そうした事例に触れた際の理事長への報告義務〈３〉警察庁などと連携しての対策協議会の設置〈４〉暴力団排除宣言の実施〈５〉協会員への研修会の実施―などの内容。近日中に相撲協会理事会で検討するよう求めた。

　週刊誌などで取りざたされる八百長相撲に関しては、存在を否定する相撲協会からの抗議で骨子から外された。

　会議には議決権のないオブザーバーとして、相撲部屋を系統別に分ける一門別に春日野親方（元関脇栃乃和歌）ら５人の親方が参加し、暴力団対策や一門制度、部屋運営などについて現状を説明した。次回の会議にも一門別に力士５人に出席を求め、暴力団対策を中心に事情を聴く予定。

　奥島座長は「今回は親方の意見を参照することができた。次回、力士の話を聞けば、それなりに自信を持った答申ができると思う」と話した。

　奥島孝康座長「親方や力士が外部にアピールする場は今までになく、世間に誤解されていた部分もある。（親方衆と）いろんな話ができて、大変有意義な場だった。相互理解が進んだ」

　中島隆信副座長「会議に来ていただいた親方は非常にまじめな方々だし、部屋の運営も一生懸命やっている。（暴力団排除案は）難しい印象があり、決めきれるのかなとも思う」

　渡辺美樹委員「独立委が計画した通りに骨子はできた。後は相撲協会がどう反応するか。暴力団排除宣言は外部の人よりも、協会内の人の名前でするべきだと思う」

　木暮浩明委員「相撲協会には、独立委が相撲に対する愛情がないと思っている人もいる。親方に入ってもらって良かった。暴力団排除、維持員席問題、組織改革について意見を交換したい」

　深沢直之委員「悪いのは力士や相撲協会や市民ではなく、暴力団だ。われわれは土俵と相撲を守るための対策をする。相撲協会には次回までに、どうすればいいかを話し合ってもらいたい」

　森まゆみ委員「実際に（親方から）話を聞くと、雑誌などで見るよりも相撲部屋は本当に苦労していて質素にやっていた。その筋の人たちを入れなくても興行はできるという意見には頼もしいと思った。今度はおかみさんにも話を聞いてみたい」