放駒新理事長なら公益財団法人認可に“待った”

理事会の会議室を出る放駒親方（左）（左から２人目は三保ケ関親方）

　辞任が確実になった日本相撲協会の武蔵川理事長（６２）＝元横綱・三重ノ海＝。後任は内部の放駒理事（６２）＝元大関・魁傑＝が濃厚だ。ただ、監督官庁の文科省は４日も外部の人材の就任が望ましいとの見解を披露。内部の理事が昇格すれば公益法人の認可が厳しくなることは確実で、後任選びは予断を許さない状況だ。

　武蔵川理事長の後任は放駒理事の昇格が濃厚だ。同理事は武蔵川理事長が所属する出羽海一門に次ぐ勢力の、二所ノ関一門のトップ。現在は巡業部長を務め、協会内部でも人格的にも誠実と評判は高く「武蔵川さんの次は放駒さんしかいない」との声は大きい。

　理事長は、外部理事２人を含む各理事が理事の中から互選で選ぶ。後任は、武蔵川理事長が今月下旬とみられる理事会で正式に辞任した後、決めることになる。ただ、内部からの昇格に監督官庁の文科省は異論を唱えている。すでに川端達夫文科相は賭博問題からの改革の途上を理由に、現在の村山弘義理事長代行（７３）の続投が望ましいとの見解を示している。この日も文科省の担当者は「その考えで変わっていません」と断言した。

　加えて、協会に改革案を提言する「ガバナンス（統治）の整備に関する独立委員会」の奥島孝康座長（７１）も「理事長は当面、外部が務めることが望ましい」と主張している。こうした監督官庁と外部の委員会からの意向を無視し、内部の理事を昇格させれば、協会が目指す公益法人の制度改革に伴い税制面で優遇される公益財団法人への移行が難しくなることは確実。また、改革を期待する世論も内部の理事長就任では流れに逆行しているとの反発も招きかねず、人選には慎重な姿勢が求められる。

　ただ、この日の理事会では外部役員から、理事長は内部の人材が望ましいとの意見も出たという。村山理事長代行も本業の弁護士の職務を抱えていることを理由に、続投は固辞している。放駒理事の内部昇格か。外部の起用か。ポスト武蔵川は協会内外で波乱含みだ。