日中勘違い:「支那」という言葉について考える(2)
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前回から「支那」という呼称を取り上げているのですが、筆者のもとに直接・間接に多くのご意見をいただきました。今回は、主なご意見に対する筆者の考えを述べます。
■「支那」という言葉が蔑称として使われたことはない
ここで考えてみたいご意見は(1)「支那」は蔑称(べっしょう)である、(2)支那がだめなら、チャイナも禁止しないと理屈が合わないとの主張だが、国際的に定着した「チャイナ」を変更するのは不可能、(3)中国という国家名称は中華思想の反映であり傲慢である――の3種です。(1)は主に中国人、(3)は日本人から寄せられた意見です。
まず、中国のメディアがよく取り上げるのは、日清戦争に日本が勝った際に、熱狂した日本の民衆が行進して、「日本勝った、支那負けた」と叫んだということです。結果として「支那」ということばが蔑称に変わったという主張です。
戦争の是非は別にして、少なくとも当時、戦勝国の国民が喜ぶのは、正常な現象です。現在も同じでしょう。まして清国のような大国に本当に勝てると思っていた日本人は少数でした。従軍した家族や親戚を持つ人も多く,日本人が熱狂したのは当然のことです。まして、「支那負けた」と叫んだことで、このことばが中国の蔑称になっていったわけではありません。
その後、辛亥革命が成立したのですが、中国は混迷を続けました。それに乗じて日本が権益拡大、植民地獲得に奔走したのは事実であり、中国蔑視の感情が強まったもの事実です。さらに、このことが最終的に日本をして「国を誤らせた」のも事実です。
■日本に中国を見下した感情があったのは事実
ただし、当時の状況を考えれば、中国をどんな呼称で読んでいたとしても、日本国民の多くは中国を見下す感情を持ったはずです。支那という呼称を使うことで、ことさらに中国を見下したわけではありません。一般に蔑称とは、正式名称や通称とは別に、相手を侮蔑するために使う言葉のことです。支那という言葉が蔑称だったわけではありません。ここでは直接書きませんが、蔑称は別にちゃんとありました。
ここで再び、私の立場を書きますが、私は「支那」という呼称を使おうとは思いません。理由は単純です。相手がいやがることをあえて行なう必要はないからです。昨今、中国に批判的な考えの日本人が「支那」、「支那人」との言葉を使う場合がありますが、これは「侮蔑(ぶべつ)」というより、「反発」または「いやがらせ」の面が強いと考えています。
前回は、「ただし、純粋に理屈からいえば、『支那』を禁止するなら『チャイナ』も禁止しないとおかしい」とも主張しました。それに対して、「国際的に定着した『チャイナ』を変更するのは、非現実的」とのご意見がありました。
■やろうと思えばできる、国際的な「China」の変更
私は、そのように思いません。国際的に通用していた国名を変更した例はいくつもあります。ビルマはミャンマー、セイロンはスリランカと名乗るようになりました。コンゴ民主共和国は1971年から1997年までザイール共和国でした。いずれも、変更後しばらくは違和感がありましたが、比較的すんなりと新しい国名が国際的にも定着しました。
要するに、中国が英語名をChinaとしているのは、中国人が「それでよし」と認識しているからです。くどいようですが、純粋に理屈からいえば、日本人に対して「支那」とは言ってほしくないと主張するなら、英語国名も通称は「Zhongguo」、正式国名は「People’s Republic of Zhonghua」とせねばならないことになります。私が「支那」の言葉を使わないのは、中国人の感情面への配慮を、ある程度は「理屈」より優先すべきと考えるからに、ほかなりなせん。ちなみに、「Zhongguo」は中国の、「Zhonghua」は中華の、それぞれローマ字表記です。
さて、3番目の「中国という国家名称は中華思想の反映であり傲慢である」という意見です。私は、そのようには考えません。「中国という呼称に何の問題もない。中国人がこの国名に誇りを持ち、愛着を感じるならば、堂々と使えばよい」との考えです。理由は少々長くなりますので、申し訳ありませんが、次回に述べることにしようと思います。
なお、ヤフーのコメントらんを見たところ、「シナという言葉を本土の中国人は気にもしていないだろう」との書き込みがありましたが、それは違います。2008年には重慶市で、「支那火鍋」という名の飲食店が開業したところ、インターネットなどで批判が噴出して廃業を余儀なくされるという事件がありました。(編集担当:鈴木秀明)
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・支那 - サーチナWikipedia記事検索
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