武蔵川理事長辞任へ、後任に村山代行有力
日本相撲協会の武蔵川理事長(62=元横綱三重ノ海)が、辞意を固めたことが4日、分かった。早ければ、5日の臨時理事会で辞任を表明する。休養中に内臓手術を受けるなど健康面の不安に加え、野球賭博問題など一連の不祥事の責任を受け止めて決意。監督官庁である文部科学省の意向も影響した。後任は、村山弘義理事長代行(73)が有力。08年9月に弟子の大麻問題で辞任した北の湖前理事長(元横綱)に続き、角界トップが、またも不祥事で任期中に交代を強いられる異常事態となった。
不祥事の影響は、ついに角界トップの交代劇につながった。陸奥広報部長は、体調不良で休養している武蔵川理事長について「5日に理事長復帰の記者会見をやります。職務復帰? そうですね」と話した。しかし、同理事長は、すでに辞任の意向を固めていた。
東京・荒川区の武蔵川部屋では、関係者が「今日、お話しできることはありません。明日、国技館で(理事長が)お話しします」と説明した。同理事長は、5日に急きょ設定された臨時理事会で事情を話し、その後の記者会見で辞意を表明するとみられる。
相撲協会は監督官庁の文科省から4日午前、武蔵川理事長の交代を要望された。訪れた担当者数人の主旨は「武蔵川理事長の続投では、世論が納得しない」というもの。両国国技館での臨時理事会は午後1時から始まった。力士出身の理事らからは「ここで辞めるのは無責任。投げ出すのはよくない」との声も出た。
会議は3時20分ごろから約1時間中断し、出羽海理事(元関脇鷲羽山)放駒理事(元大関魁傑)友綱理事(元関脇魁輝)の幹部を武蔵川理事長のもとへ派遣した。意思を確認すると、同理事長は体調面の不安を第一に、辞任の意向を伝えたという。
武蔵川理事長は、弟子が野球賭博に関与したとして、名古屋場所を謹慎。千秋楽後は復帰予定だったが、高血圧で入院したこともあり、休養していた。病状を知る、ある親方は「思った以上に弱っていた。無理して来なくてもいいと思うくらいだった」と証言した。
関係者によると、休養中に内臓手術を受け、スープなど流動食しか食べられない時期もあった。体重も激減し「秋に復帰できればいい」と漏らしていたほど。同時に、年内にも武蔵川部屋を、弟子の藤島親方(元大関武双山)に継承することまで決意したという。
健康面の不安だけでなく、不祥事による逆風も強かった。川端文科相は7月29日に訪れた村山理事長代行に「当分は、引き続きリーダーシップを発揮してほしい」と要請。その2日後、角界の改革を担う「ガバナンス(組織統治)の整備に関する独立委員会」の奥島座長は「監督官庁の意向というのは考えないといけない」と指摘していた。
また、5月の夏場所で住吉会系組長が維持員席で観戦した問題で、特別調査委員会の山口氏が解任された件でも、不手際があった。武蔵川理事長は、同氏の関与を出羽海理事を通じて知りながら、委員に選出していたことが7月末に判明していた。
文科相の意向に沿うならば、後任は村山理事長代行が最適。しかし、力士出身者の理事には、外部出身者の理事長就任に抵抗感が根強い。武蔵川理事長が謹慎する際には、一部理事が放駒理事を擁立する動きを見せた。今後、後任選びが本格化する。
[2010年8月5日7時36分 紙面から]
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