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白鵬、陛下からねぎらいの書簡に感激の涙

7月25日、名古屋場所千秋楽で、涙ぐむ白鵬
7月25日、名古屋場所千秋楽で、涙ぐむ白鵬

 大相撲の横綱白鵬(25=宮城野)のもとに、天皇陛下から応援メッセージが届いた。3日、都内の両国国技館に宮内庁関係者から書簡が届けられた。「おねぎらいとお祝い」という天皇陛下の言葉の入った文面。名古屋場所で史上初の3場所連続全勝優勝などの偉業を達成した白鵬をたたえ、激励する内容だった。陛下が優勝力士に書簡としてお気持ちを伝えるのは異例。賭博問題で日本相撲協会が天皇賜杯の表彰を辞退し、涙を流して悲しんだ白鵬を気遣ったと推測される。白鵬は会見で感激の言葉を口にした。

 思わぬ吉報に、白鵬の目は潤んでいた。両国国技館で行われた会見ではこらえていたが、帰りの車に乗り込むころには、じわじわとこみ上げるものがあった。「こんなにうれしいお言葉はない。今年はまだ2場所ある。その2場所を、天皇陛下のお言葉を糧に頑張っていきたい。(書簡の)コピーをいただいたので、この世に2通しかない。1人で読みたい」と、喜びをかみしめた。名古屋場所千秋楽では賜杯を受け取れず、悔しくて悲しくて土俵で泣いた。それだけにこの日の「お言葉」は格別だった。

 書簡は天皇陛下の言葉を伝達する形で宮内庁の川島裕侍従長が書いたもので、村山弘義理事長代行あてで届いた。宮内庁からの指示で、相撲協会の情報解禁はこの日午前10時10分。直後の同10時30分には、書簡を持った1人の宮内庁関係者が両国国技館に到着した。白鵬と執行部の親方衆が見守る中、村山代行に書簡を手渡した。

 同11時30分開始の会見は、急な情報解禁に間に合わない報道陣も現れるドタバタぶり。白鵬は「これ以上のものはない。心から喜んでおります。光栄です」と平静を装っていたが「本当にビックリしました」と本音も漏らした。

 書簡には史上初の3場所連続全勝優勝、大鵬の45連勝を超える連勝記録を、歴代3位の「47」にまで伸ばした偉業をたたえる言葉が記されていた。さらに、野球賭博で多くの力士が謹慎し、賜杯の表彰を辞退した白鵬を気遣うなど、文面通り「おねぎらいとお祝い」という内容だった。

 宮内庁の広報担当によると、特定のスポーツ選手に文書などで「お言葉」をかけるのは「極めて異例」だという。村山代行も「前例のない天皇陛下の格別のご配慮に対して感謝しております。感無量です」と感激した。

 今年1月の初場所では、平成以降では3年ぶり18度目の天覧相撲が実現した。当時の天皇陛下は、白星を挙げた白鵬の取組を「いい相撲でしたね」と、評価したという。昭和天皇は51度もの天覧相撲が行われるほどの好角家。皇太子ご一家も、愛子さまが相撲好きで知られる。名古屋場所は辞退した賜杯の表彰も、相撲協会は秋場所(9月12日初日、両国国技館)では復活させたい意向。この日の書簡は、それを大きく後押しするものとなった。

 [2010年8月4日8時31分 紙面から]


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