ナオミ・キャンベル、決定的な証言なし

日記を書く

　西アフリカのシエラレオネ内戦（１９９１～２００２年）の戦争犯罪を審理する国際戦犯法廷（オランダ・ハーグ）は５日、元リベリア大統領テーラー被告（６２）のダイヤモンド不法取引をめぐり公判を開き、英国出身のスーパーモデル、ナオミ・キャンベル（４０）が証人として出廷した。

　キャンベルは、見知らぬ男からダイヤとみられる「汚らしい小石」を受け取ったなどと証言したが、決定的な証言は出なかった。

　隣国リベリアから反政府勢力を支援し、人道に対する罪などに問われた被告が、反政府勢力の資金源となり「血のダイヤ」と呼ばれたダイヤ原石をキャンベルさんに贈ったとされる疑惑の解明が焦点だった。キャンベルは贈り主がテーラー被告であるとの認識はなかったと述べた。

　証言によると、キャンベルは９７年９月、南アフリカのケープタウンで開かれた同国のマンデラ大統領（当時）主催の夕食会に出席。テーラー被告も同席した。

　同日夜、宿舎で見知らぬ男２人から「あなたに贈り物だ」と袋を渡され、翌朝開けると「小さな汚らしい石が２、３個」入っていた。キャンベルの当時の代理人と米女優ミア・ファローは「テーラー大統領からのダイヤ原石の贈り物」との見方を示したという。

　しかしキャンベルはダイヤかどうか確認せず、マンデラ大統領の児童基金の担当者に渡し処分を任せたと説明した。

　◆シエラレオネ国際戦犯法廷　西アフリカにある最貧国シエラレオネで１９９１～２００２年に起きた内戦に関する戦争犯罪を裁くため国連安全保障理事会が００年８月に設置を決定。国際戦犯法廷の検察官は０３年６月、市民虐殺、強姦（ごうかん）などを繰り返した反政府勢力を支援したとして、隣国リベリアのテーラー大統領（当時）を人道に対する罪など１１の罪で起訴。同被告は亡命先のナイジェリアで０６年３月に拘束された。シエラレオネ国内での裁判は治安上の問題があるとして、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所（ＩＣＣ）の施設で審理が行われている。

　◆ナオミ・キャンベル　１９７０年５月、ロンドンでカリブ系と中国系の両親の間に生まれた。舞台芸術を学んだ後、モデルとして活動し、８６年に女性誌エルに登場し脚光を浴びた。イブ・サンローラン、ベルサーチなど世界的なファッション・ブランドで代表的モデルとして活躍した。家政婦に携帯電話を投げ付けたとして０７年、米裁判所から社会奉仕活動を命じられたほか、０８年６月には英国での警官への暴行事件で地域奉仕活動を命じられるなど、気性が激しいことでも度々、メディアをにぎわせている。

　［2010年8月5日22時9分］