【モスクワ=副島英樹】記録的な猛暑で穀物被害が深刻化しているロシアが、小麦など穀物の輸出を今月15日から12月末まで禁止することを決めた。プーチン首相が5日、政府決定に署名した。ロシアは世界第3位の小麦輸出国で、かねて上昇している国際穀物市場の小麦価格がさらに高騰しそうだ。今後、世界的な食糧危機につながるとの懸念も出始めた。
インタファクス通信などによると、ロシア全土では作付面積の2割近い1千万ヘクタールが壊滅し、農業省は今年の小麦の収穫は7千万〜7500万トンまで減ると予測。ロシア穀物連盟はさらに厳しい予測をしており、4500万トン程度まで落ち込む可能性を指摘している。国内需要は年間7500万トンとされており、備蓄分を含めても輸出分を確保するのは厳しい状況だ。
ロシアは昨年、小麦を2150万トン輸出したが、穀物連盟は今年は1700万トンまで減ると予測。米農務省は1400万トンまで落ち込むとみている。
シカゴの穀物市場ではすでに小麦価格が上昇し、今月2日には2008年秋以来の高値を記録。ロシアの輸出禁止でさらに上がると予測されている。小麦輸出は米国、カナダ、欧州連合(EU)、ロシアで世界の3分の2を占めている。