JCOM:住商とKDDIと提携合意 放送通信分野で

2010年6月10日 21時10分 更新:6月10日 23時12分

提携を発表した両角寛文・KDDI専務、森泉知行・JCOM社長、大沢善雄・住友商事常務(左から)
提携を発表した両角寛文・KDDI専務、森泉知行・JCOM社長、大沢善雄・住友商事常務(左から)
検討されている3社間の連携事項
検討されている3社間の連携事項

 ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)と、同社の大株主である住友商事、KDDIの3社は10日、放送・通信分野で幅広く提携を行うことで合意した、と発表した。住商とKDDIはJCOMの経営権を巡って争奪戦を繰り広げた間柄だが、今後はJCOMも含めて連携を強化し、通信市場のマンモスNTTグループを追う。【望月麻紀】

 KDDIはグループ内で固定、携帯電話と光回線などのインターネット、ケーブルテレビの4事業を展開している。JCOMも4事業を展開してきたが、携帯電話はウィルコムの卸売り回線を使ったPHSサービスで伸び悩んでいた。そこで両社は利用者囲い込みのため、携帯事業はKDDIのauに絞った上で、互いの4事業加入者向けの料金割引サービスを検討。具体策を固め、年内にも実施したい考えだ。

 NTTグループも4事業を展開しているが、通信市場で優越的な地位にあるNTT東日本、西日本、NTTドコモの協業は電気通信事業法で規制されており、セット割引には手が出せない。同日会見したJCOMの森泉知行社長はこの点を踏まえ、「先行したサービス提供が可能になる」と自信を見せた。

 また、JCOMはすでに全国1278万世帯へアクセス網(非契約者含む)を敷設済みだ。会見に同席したKDDIの両角寛文専務は「電話サービスは、アクセス網を自前で持たないと、まったく利益が出ない」と、NTTに対抗するにはこのインフラが欠かせないとの認識を示した。

 ただし、3社連携の道のりは順風満帆ではなかった。KDDIが1月、JCOM株式を大量取得すると発表。JCOMに歴代社長を送り込んできた住友商事が株式公開買い付け(TOB)で対抗し、筆頭株主の座を奪取した。その後4月末に3社トップが会談。市場の競争激化に対応するための協業模索へと態勢を切り替えた。

 JCOM約36%、KDDIグループ約11%とシェア1、2位を占めるケーブルテレビ事業の資本提携も今後の検討策に盛り込まれ、実現すればシェアは50%近くに達する。関係者は「相乗効果は大きい」と言うが、高い収益が得られるかどうかは、これらの連携策が早く実現できるか否かによる。住友商事のかかわりが薄い点も今後の課題だ。

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