今春、4年制大学を卒業した学生の就職率が60.8%で前年より7.6ポイント下がったことが5日、文部科学省の「学校基本調査」の速報値でわかった。下げ幅は過去最大で、進学も就職もしていない人は約8万7千人。リーマン・ショック後の企業の急激な採用減の影響で、高卒も合わせると約15万人が、不安定な立場にいる状況が浮かび上がった。
調査は今年5月1日現在で、幼稚園から大学院まで国公私立すべての学校を対象に実施した。
就職率は、卒業生のうち就職した人の割合。
大学の卒業者数は、前年より1万8千人減の54万1千人。うち就職した人は2年連続で減って32万9千人。就職率は、2000年から6年連続で6割を下回った「就職氷河期」に次ぐ低水準だった。
一方で、進学も就職もしなかった人は前年から1万9千人増の8万7千人となり、卒業者の16.1%を占めた。大学院などへの進学者は7万3千人(4千人増)で13.4%、アルバイトなど一時的な仕事に就いた人は1万9千人(6千人増)で3.6%。
また、高校を卒業して進学も就職もしていない人も、約5万9千人。文科省調査企画課は「前年の卒業生は(08年秋に)リーマン・ショックが起きた頃には内定を得ていたが、今春の卒業生は企業の採用減がはっきりと表れた」とみる。(見市紀世子)