もう一つの「坂の上の雲」 文庫『日露戦争物語』が話題に
2010/05/16 07:39更新
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未完のまま連載を終えた“いわく付き”の長編作が文庫版でよみがえった。帯にある「大幅修正と加筆を加えたラストに向け…」の言葉が大いに期待をそそる。
明治の軍人、秋山好古(よしふる)、真之(さねゆき)兄弟と文人、正岡子規を中心に、近代国家への道を歩む日本の軌跡を、異才・江川達也が壮大なスケールで描きあげた本格時代漫画。
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記事本文の続き この3人の名前を聞いて、司馬遼太郎が約40年前に発表したロングセラー小説『坂の上の雲』を思い浮かべる読者は多いはずだ。『坂の上の雲』は構想10年の末に昨年、連続テレビドラマ化され、シリーズ第1弾として放送を開始したばかりで、今、改めて3人の生きざまがクローズアップされている。文庫版の帯には「もう一つの坂の上の雲」とあり、小説版、テレビ版とともに読み(見)比べてみれば、明治維新の息吹や近代国家を興した先人の希望や葛藤(かっとう)が、より一層の臨場感、躍動感をともなって目の前に広がる。
文庫版の大きな魅力の一つに挙げられるのが、主人公、真之の人格を形成した愛媛県での幼少期の描写が丹念に綴(つづ)られている点だろう。「ガイな(ものすごい)奴じゃあ」「だんだん(ありがとう)」など伊予弁をセリフとしてふんだんに取り入れ、故郷を所狭しと暴れ回った腕白(わんぱく)ぶりを活写。幼なじみの子規との友情や、弟思いだが自己を律し厳格な好古との兄弟の絆(きずな)が、いかにして強固に築かれていったかを、3人が生まれ育った時代背景の中から浮き上がらせていく。
現在、第3巻まで刊行。後に日本海軍の参謀として、当時、世界最強を誇ったロシア海軍のバルチック艦隊を撃破する真之の原点がここにある。(江川達也著・PHP文庫・各680円)(戸津井康之)
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