地盤の増幅率と固有周期を求める演習
課題
東京都の山の手・下町でのボーリングデータから,工学的基盤から上の層の地盤の振動解析モデルを作成し,地盤の卓越周期・増幅率を計算し,実測結果と比較検討する。
地盤の卓越周期は,簡易な計算方法でも計算し,上記の計算結果の妥当性を確かめる。
検討対象地点は,下町・山の手からそれぞれ1カ所づつとする。
手順
- 東京の地盤(Web版)からボーリングデータを入手する。
- ボーリングデータのN値から各層のせん断波速度を計算し,地盤モデルを作成する。
- 演習なので,以下の簡略化を用いてよい。研究・実務では絶対に以下の方法を採用しないでください。
- せん断波速度Vs(m/s)= 80*N^(1/3)〜100*N^(1/3)としてよい。(道路橋仕法書による。)
- N値が0の場合は,N値を1としてVsを計算してよい。
- 地盤の密度は(1.8ton/m3)としてよい。
- 減衰定数はh=0.05とする。
- N値が同等の地層はとりまとめて1つの層として取り扱って良い。
- N値が50以上の層を工学的基盤とする。
- 地盤の周波数応答関数をもちいて地盤の卓越周期と増幅率をもとめる。計算による簡便法で固有周期を計算し,地盤の周波数応答関数による結果が正しいか確認する。
- プログラム得られた卓越周期と増幅率が既往の研究と同様の結果であったか確認し,結果を記述する。
必要記載事項
- 解析対象地点の地番と案内図
- ボーリング柱状図:N値が確認できること。
- 地盤モデル図:地層の深度,層厚,せん断波速度,密度,減衰定数を明記する。
- 応答倍率の図
- 卓越振動数と応答倍率(1〜3次程度でよい)
- 手計算による地盤の1次固有振動数
- 既往の研究と計算結果の比較についての記述
〆切:8/11(水) 13:00 教員室のドア横の箱にいれる。今回のレポートは採点し,成績に加算する。A:20点,B:10点
計算例
使用プログラム
地盤の周波数応答関数
プログラムの解凍
- ダウンロードしたファイルをマウスでダブルクリックし解凍する。
- ダウンロードするフォルダーは,c:\とになるべく近いフォルダー(例えばc:\jiban)にしないと,プログラムは起動しない。
- [地盤の周波数応答関数.xls]を開く。
使用方法
- [地盤の周波数応答関数.xls]を開く。このとき,マクロを有効にする。
- セルB4に地盤の層数をいれる。
- セルD3に目標層の層番号(1なら地表面),セルD4に基準層(工学的基盤)の層番号を入れる。
- セルA6からF6で,地表から順に各層の,層厚,単位重量,S波速度,減衰定数(α,β)をいれる。αはゼロ,ベータは0.05でよい。これによって,地盤は履歴減衰5%の設定となる。
- 最下層の層厚(層番号9で層厚50mの層のこと)は計算に使わないので適当な大きな値を入れておく。
- 「計算開始」ボタンを押す。
- 「計算結果を見る」ボタンを押す。
- 応答倍率の図が表示される。

図 1 プログラムの入力シート

図2 地盤の周波数応答関数(地盤の応答倍率)
手計算による地盤の卓越周期の確認
- 等価1層地盤として計算する方法
- 層厚の重み付け平均で地盤の特性値を計算する。
- Ve(等価地盤せん断波速度)=(ΣHi*Vi)/ΣHi ここに,Hi,Viはそれぞれi層の層厚とせん断波速度
- 1/4波長即で固有周期を求める。T1=(4*ΣHi)/Ve
- 各層の固有周期の足し合わせを地盤の固有周期とする方法

図3 地盤の卓越周期の手計算による方法