『猫物語 黒』西尾維新
完全無欠の委員長、羽川翼。阿良々木暦の命の恩人である彼女はゴールデンウィーク初日、一匹の猫に、魅せられた――。それは、誰かに禁じられた遊び……人が獣に至る物語。封印された“悪夢の九日間”は、今その姿をあらわにする!
知らぬまに、落ちているのが初恋だ。

『猫物語 黒』
著者:西尾維新/Illustration:VOFAN
定価:1,365円(税込)


作家という生き方をしていると想像力が豊かだという誤解をされることが多々ありますが案外そうでもないというか少なくとも僕の場合は自分を想像力が豊かな人間だとは思ったことはほとんどありません。むしろ想像力がないからこそ作家になったと言うんでしょうか。みんなが暗算でやってることを筆算でやっている感じ? 要は書いて見なきゃわかんないわけです。『化物語』を書いた頃にはまだ曖昧だった羽川翼のキャラが今回『猫物語』を書くことでようやく僕の中で羽川翼が見えてきたというのはつまりそういうことでして。僕にとって小説を書くということは登場人物の新たな側面を知ることとニアリーイコールで言い換えれば物語に深入りするということなんですが『猫物語』はそれが顕著でした。まあだからどうということもないのでどうか読んでいただければ幸いです。ちなみに『猫物語』は『猫物語(黒)』と『猫物語(白)』の二部構成になっていますのでそんなニュアンスでよろしくお願いします。そう言えば『猫物語(白)』は十月発売と謳ってますけど絶対無理。それでは暑い夏を熱く乗り切りましょう。そんな話ではないですけれど。
西尾維新