広島市の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑前で5日、慰霊祭があり、韓国併合から100年の節目に犠牲者を悼んだ。
広島の原爆では朝鮮半島出身者数万人が被爆したと推測される。奉納される死没者名簿には新たに9人が書き加えられ、計2656人になった。
慰霊祭では、チマ・チョゴリ姿の女性3人が鎮魂への祈りを込めた舞を披露。在日本大韓民国民団広島県地方本部の権五源(クォン・オウォン)団長(68)が「犠牲者の苦難は報いのない悲しい歴史のうつろい。在日韓国人を含むすべての人が、平和な世界、核のない世界の実現に努力します」と韓国語で追悼の辞を述べた。
来日中の潘基文(バン・キムン)国連事務総長は、6日の平和記念式典参列後に慰霊碑を訪れる。伯父らの名前が名簿にある被爆者の朴南珠(パク・ナムジュ)さん(77)=同市西区=は「多くの韓国人が『皇国臣民』として働かされ、原爆の犠牲になった。事務総長の来訪を機に、その事実を多くの人に知ってもらいたい」と話した。
今年は碑が1970年に建立されてから40年。碑は99年、公園の西を流れる川の対岸から公園内に移設された。【樋口岳大、矢追健介】
毎日新聞 2010年8月5日 11時55分(最終更新 8月5日 11時59分)