北朝鮮、長射程SAMをDMZに前進配備

天安事件前後に移動、京畿・忠清まで射程内に

 北朝鮮が、哨戒艦「天安」沈没事件を前後して、射程距離が250キロに達する地対空ミサイル(SAM)SA5を前進配備し、韓国の戦闘機などが行う日常的な哨戒飛行や緊急出動作戦に支障をきたしていることが分かった。

 韓国軍消息通は2日、「北朝鮮が最近、黄海道などに配備していたSA5の一部を、非武装地帯(DMZ)付近に前進配備した。これにより、SA5の追跡レーダー稼働時には、万一の攻撃に備え韓国軍の戦闘機などは、回避機動を強いられるなど、活動に制約を受けている」と語った。SA5は、現在実戦配備されているSAMのうち、世界最長の射程距離を有するもので、北朝鮮地域から前方、および首都圏はもちろん、京畿道・忠清道の一部地域を飛行する韓国軍機までも攻撃可能だ。

 北朝鮮のこうした動きの背景には、天安事件以後、有事の際に韓国の戦闘機などが北朝鮮内部の戦略目標を精密攻撃することをけん制する意図があると見られる、と消息通は話している。

 SA5の前進配備に伴い、より南方で作戦を履行している韓国軍機などにも脅威が及び、活動が畏縮する懸念が大きいとされる。SA5のレーダーが稼働すると、韓国の戦闘機などは高度3000メートル以下に降下し、レーダーの追跡を避ける機動を行わなければならない。

 北朝鮮は、1980年代末に旧ソ連からSA5ミサイル約350発、発射台20基余りを導入し、黄海道・元山・平壌付近などに配備したことが分かっている。SA5は、旧ソ連が米国の戦略爆撃機などを撃墜するために開発したSAMで、射程距離が長く、マッハ4という高速で敵の航空機を攻撃可能だが、正確さに劣るのが欠点とされる。

ユ・ヨンウォン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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