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【芸能・社会】長渕剛 沖縄からカウントダウン2010年8月4日 紙面から
シンガー・ソングライター長渕剛(53)が今年の大みそかに沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで、アーティスト単独としては初のカウントダウンライブを開催することが3日、分かった。この日、新曲「俺たちのニライカナイ」(11日発売)のプロモーションのため、沖縄に滞在中の長渕が本紙のインタビューの中で明かした。長渕によるカウントダウンライブは昨年の神戸ワールド記念ホールに続き2年連続2回目。自身初の沖縄ソングとなる同曲や、ライブへの思いを語ってもらった。 「僕ら内地に住む人間は大事なものを断ち切って、あえて無関心、無感動に陥っている。島の人間がみけんにしわを寄せて何かを訴えていても、それを無視することが一番恥ずかしいと痛切に感じているんだ」 2001年、長渕は全国ツアーで17年ぶりに沖縄を訪れた。長い期間この地を訪れていなかったうしろめたさや不安をよそに、道を歩く人に「おかえりなさい」と言われたという。その温かさが長渕の感性の中にある原風景そのものであり、「いつか沖縄のことを歌にしたい」という思いの始まりだった。 「基地の問題にしてもそうだけど、『俺たちのニライカナイ』を作ってみて、沖縄の人たちは悔しさとか憤りとか、無念に近いような感情を老若男女が持っている気がした。そこに僕自身が“参戦”させてもらおうと。歌で拳を突き上げて日本全土に発信したいという思いがあった」 いわゆる世界平和を訴えかける楽曲ではない。「ニライカナイ」とは沖縄や奄美で信じられている海の聖地。苦い歴史を黙々と受け入れてきた島人(しまんちゅ)に、その神々たちがもたらした温かさや連帯感を発信したいという思いが込められている。その“集大成”として長渕は年末にこの地でカウントダウンライブを開催することを決意した。 「発信源がどこかっていうことが今回は重要。本土からも(ファンが)来るだろうし、その労力が熱に変わり、何かを変えていくと思う。(アーティスト単独のカウントダウンは)前例のないことらしいねー。沖縄は僕にとって誇りの島。そこで島人と一緒に正月を迎えられることを、協力してくれる島の人や役場の人たちに感謝したい」 そして、長渕はさらに先の“理想郷”を見据えている。だが、その考えが島民全体から支持されるかどうかは未知の世界。それでも長渕は自ら先頭に立ち、音楽家としてアクションを起こすつもりだ。 「例えば本土から10万人を動員してイベントをやろうとするとき、島の人たちが協力してくれるかと言ったら、今のところは無理。でも今を理解した上で、今の若者たちのリーダーたちが協力してくれれば、僕は10万人も20万人も夢じゃないと思う。今はまだその入り口にも到達してないし、少し時間はかかるよね。でもやらなきゃいけないっていう使命感がある」 カウントダウンライブはその序章にすぎない。長渕が描く壮大なプロジェクトはまだ始まったばかりだ。 (江川悠)
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