東京都杉並区などで100歳以上の高齢者の所在が分からなくなっている問題を受け、長妻昭厚生労働相は3日、全国の110歳以上の年金受給者の所在確認に乗り出す方針を決めた。各地で不明高齢者が続々と発見されているためで、東京都八王子市では102歳の男性が、東京都北区では105歳の男性が所在不明になっていることが分かった。さらに、静岡、名古屋、長野にも飛び火した。
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東京都八王子市は3日、住民登録している田代一男さん(102)が所在不明になっていると発表した。田代さんの長男の妻操さん(62)は記者会見で、親族が1970〜71年ごろに会って以降、連絡が取れないと明らかにした。
操さんは「夫が『おやじは連絡してくる』と言ったので、警察に連絡せずに待った」と説明。長男は2001年に死亡、操さんは田代さんに会ったことがないという。
市や操さんによると、田代さんの住所は市内の別の場所から操さん宅に移され、市は2人が同居しているとみていた。
東京都港区では、今年9月で105歳になる区内の男女2人と連絡が取れないことを明らかにした。
高齢者支援課によると、住民登録上は2人はそれぞれ家族と住んでいるが、2008年度から2年連続で区からの花束や記念品受け取りを家族が拒否した。
東京都北区では、住民登録している105歳の男性が所在不明になっていることが区への取材で分かった。
区によると、男性の家族は「25年前に家を出たまま、ずっと行方不明の状態が続いている」と話しており、すでに捜索願も出しているという。
東京都荒川区では、住民登録がある108歳と104歳のいずれも外国籍の男性2人が所在不明となっている。
静岡県熱海市や下田市では、住民登録している100歳以上の女性3人の所在が分からなくなっている。
熱海市ではもう1人の女性(100)も住所地が更地になっており、一緒に住民登録されている夫(99)も所在不明。
名古屋市北区では、住民登録している106歳の男性の所在が2000年ごろから分からなくなっている。
長野県では、最高齢とされる長野市の110歳の男性について、市が4年間、所在を確認していないことが分かった。