辛坊キャスター来春統一地方選出馬か“橋下知事とタッグ？”

　読売テレビを９月末で退社することが分かった同局報道局解説委員長の辛坊治郎キャスター（５４）が３日、大阪・中央区の同局で取材に応じ、退社届を２日に提出したことを明かした。退社後はレギュラー番組への出演を続けながらシンクタンク（調査研究機関）で活動するが、今後の政界進出について「まあ“当分の間は”ありませんよ」と意味深な笑み。タイミング次第では政治の舞台へ踏み出す意思をにじませた。

　政界転身への意欲は少なくともゼロではない。２日に提出した退社届に触れ「総務局長あてで提出したため『社長あてにして再提出しなさい』と突っ返されました」と苦笑いで振り返った辛坊氏は、今夏の参院選にまつわる重大なエピソードも口にした。「今年の参院選ではいくつかの党からオファーはいただきました」。自らが政界から望まれている人材であることを実感できた出来事。「まあ“当分の間は”ありませんよ」と期限の留保を付けた否定で、胸の内に秘めた思いをにじませた。

　辛坊氏は過去に番組内で、府市再編を唱える橋下徹・大阪府知事（４１）に賛同。さらに番組に出演した橋下氏に対し「府市再編に本気なら私も立候補する」と来春の統一地方選への立候補を“表明”し、周囲を驚かせたこともあった。一方でこの日は「今年の参院選は出るいい機会でしたね。出るんやったら今年出てます」と今後の国政転身には消極的。退社後は「シンクタンクに入ります。詳細は１０月まで話せません」としたが、政界進出を決断した場合は、橋下氏とのタッグが濃厚といえる状況だ。

　１９８０年４月の入社から３０年。退社後も当面、「朝生ワイド　す・またん！」、「ウェークアップ！ぷらす」（土曜・前８時）、「たかじんのそこまで言って委員会」（日曜・後１時３０分）のレギュラー３番組への出演は続ける。「私の父は６８歳で亡くなりました。私の寿命も６８だとすると残された時間は１５年ぐらい。やりたいことに使う時間を考えると今かな」。退社後は他局に出演することも可能だが「フリーに？　高額なギャラで雇ってくれるところがあればねえ」と、放送局の仕事には未練がないかのように笑い飛ばした。

　新たな人生を歩みだすことが決定的となった辛坊氏。「兄と一緒に？　それは考えています」と「日本経済の真実―ある日、この国は破産します―」（幻冬舎）を共著した実兄で、日本総研情報サービス代表取締役の正記さんとの協調も模索しながら決める第二の人生。来春の統一地方選が、決断のタイミングになるかもしれない。

　◆政界転身した主な局アナ、キャスター

　▼丸川珠代　現参院議員　テレビ朝日元アナウンサー。２００７年５月に退社し、同７月の参院選東京選挙区に自民党から出馬し、初当選。

　▼平松邦夫　現大阪市長　毎日放送（大阪市）の元アナウンサー。０７年に退社し、同１１月、大阪市長に初当選。

　▼真山勇一　キャスターを務めた日本テレビを０７年２月に退社。同４月、調布市議に初当選。今夏の参院選比例代表でみんなの党から出馬も落選した。（敬称略）