7月29日の佐賀地裁。知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した事件の審判第1回公判で、松雪大地被告(29)に同行した警察官に対する検察官役弁護士の証人尋問が続いた。
【保護の必要性】
Q 松雪被告が(安永さんの元に)1人で行った後、もみ合いになって駆けつけて、2人で歩道に連れて抵抗を受けた、というが、どんなふうに大変だったか。
A 足で踏ん張ったり、手を振り払ったり。力が強いですから。
Q 歩道に移動させたら、(保護の)目的は果たせたのではないか。
A そうはいっても、足をけり上げる抵抗があり、保護に至らなかった。
Q おとなしくしろ、となぜ説得しなかったか。
A その前から、私たちの言葉を受け入れなかった。
Q 何をどう受け入れてないのか。
A 「あー、うー」と意味不明な言葉で、呼びかけに応じない。
Q 歩道で安永さんをあおむけにし続けたが、なぜそこまで押さえつける必要があったのか。
A 抵抗があったから。
Q 抵抗させておけばいいじゃないか。
A 他の者に危害を加えたり、車道に飛び出す恐れもあったから。
Q なぜそんなことが予見できるのか。
A 道路のそばにあり、指示に従わない危険があるため。
Q でも目的は果たせてない。押さえようとすると抵抗が激しくなり、目的が果たせないようになっている。
A そんなことはない。必要最小限のことをしたまで。
Q 過去と比較して、安永さんの抵抗ぶりはかつてない経験だったか。
A 制服を着ており、質問されたらすんなり応えるのが普通。継続的にそういう態度を取ることはない。
Q 必死に押さえたのか。
A はい。
Q 夢中だったか。
A 最小限度です。
(次回は第2回公判がある9月6日以降に掲載します)
毎日新聞 2010年8月3日 地方版