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ウイルスで器物損壊と判断 以前は「著作権侵害」適用

2010年8月4日18時1分

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 コンピューターウイルス「イカタコウイルス」の作成者が器物損壊容疑で逮捕された。ウイルス作成者で会社員の中辻正人容疑者(27)は「原田ウイルス」とその亜種「クラナドウイルス」をネット上に流したとして、2008年1〜2月に京都府警に逮捕された。ウイルス作成者の逮捕は全国初だったが、ウイルス感染による直接の被害ではない部分を犯罪ととらえる苦肉の策だった。

 検察側の冒頭陳述によると、中辻容疑者は高校時代、同級生からいじめられ、不登校になり、パソコンに熱中するようになった。大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)に進学後、独学で身につけたパソコン技術を駆使し、自宅でウイルスを作っていたとされる。

 府警は当初、器物損壊容疑での立件を検討したが、「クラナド」はハードディスクなどを壊すものではなく、アニメ画像を無断で添付したことが著作権侵害にあたると判断。また「原田」にも知人男性の顔写真などが添付され、ネット上に流したことが、男性の名誉を傷つけたととらえた。

 今回の「イカタコウイルス」も「原田」の亜種とされる。感染すればパソコン内のファイルがイカやタコなどのキャラクター画像に上書きされるが、キャラクターを中辻容疑者自身が作成したため著作権侵害にはあたらない。警視庁は、データを破壊したとする器物損壊罪を適用した。中辻容疑者は「自分の絵なら逮捕されないと思った」と供述しているという。

 同ウイルスは、利用者が異常に気付いて電源を切っても、再起動すると感染が再び始まる「強力なウイルス」(警視庁幹部)という。

 警視庁幹部は「国内ではウイルスの作成や頒布を取り締まる法律がない。現状では、ウイルスの性質を分析し、それにあった法律を適用するしかない」と話す。(峯俊一平)

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