考え方を根本から改めない限り劇的な変化は望めない。また改善には時間がかかるものだ。
4回目の全国学力テストの結果、沖縄県は、小学校で4科目中2科目、中学校で4科目すべて最下位だった。過去の傾向とほとんど変わらない。
大事なことは、果たして全国学力テストが、子どもたちの「生きる力」を測定する物差しなのかどうかという点だ。
学校で行われているのは全国学力テスト対策として、いかに点数を上げるためのトレーニングばかりで、本当の学力を伸ばすことになっていないという指摘もある。
教職員が教育の質を高めるための授業改善も必要だが、問題は家庭の教育力の弱さだ。教育を支える土台は家庭である。この土台が崩れていることこそ問題だ。学校教育の充実の前に、真っ先に取り組まなければならない課題だ。
親の経済力と家庭での生活習慣は、学力と相関関係があることが知られている。沖縄は失業率が全国一高く、1人当たりの県民所得は全国平均の約7割。
家計を切り詰めるため、子どもの教育にかける費用を減らさざるを得ない。学ぶどころではない子どもたちが大勢いる。
「百ます計算」で知られる立命館大学教授の陰山英男さんは「朝ごはんを食べていないと脳がつぶれてしまう」と警鐘を鳴らしている。食以外にも睡眠と家族だんらんが、子どもの教育に必要な三大要因と指摘する。子どもたちの元気の源となる生活習慣の確立こそ急務だ。
その上で学校の問題に目を向けたい。教職員が忙しすぎる。肝心の子どもと向き合う時間以外の業務に追われ、心身ともに疲れている。早急な改善を求めたい。
競争効果を狙った全国学力調査は、2007年度から約40年ぶりに復活した。国際学力調査(PISA)で順位を落としたことが背景にある。
PISA調査は、生きるための知識と技能があるかを測定する物差しだ。上位のフィンランドは、日本のような競争を重視するテストを廃して、子どもの一人一人の状態に応じて力を伸ばす習得主義に徹(てっ)している。
そうであるなら今回の結果に一喜一憂する必要はあるまい。
まずは早寝、早起き、朝ご飯など、学ぶ環境の土台をしっかりつくることだ。
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