2010年7月2日 11時52分
【ワシントン草野和彦】オバマ米大統領は1日、核開発を続けるイランに対する包括的な経済制裁法案に署名、同法が成立した。同法は石油精製品をイランに輸出する企業を米国の金融市場から閉め出す「ガソリン禁輸」措置などが含まれ、石油精製品を輸入に依存するイランの経済に重大な影響を及ぼす可能性がある。
オバマ大統領は国連安保理の制裁決議の内容を超える米独自の制裁法について、「(米国史上で)最も厳しい対イラン制裁」と強調し、「米国と取引がしたければ、禁止された取引をイランと行わないことの証明が必要」と各国に協力を迫った。
このほか制裁法は、イランのエネルギー産業に技術支援をした外国企業や、核開発の主体であるイラン革命防衛隊と取引している外国銀行を米金融市場から排除する。また、イラン国内の反体制運動支援の一環として、人権弾圧を行った人物の米国査証(ビザ)の取得が禁止される。
ただ、国際的なイラン封じ込めに協力する国の企業に対しては、状況に応じて大統領が制裁適用を控えることができる。自国企業への影響を懸念する同盟国や、対イラン圧力に慎重な中国、ロシアへの配慮とみられるが、法の「抜け穴」になる可能性がある。
大統領は、外交的解決の余地があるとする一方で、イランが核開発を巡る国際的な義務を果たさない限り「圧力は増大し、孤立化は深まる」と警告した。
米上下両院は6月24日にイラン制裁法案を可決していた。