南アW杯:笑う南米、苦しむ欧州…2日から準々決勝

2010年7月2日 10時27分 更新:7月2日 10時46分

 【ケープタウン野村和史】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は2日から準々決勝が始まる。佳境に入る大会のこれまでを振り返る。

 ◇「堅守速攻」主流に…小差の接戦が増加

 決勝トーナメント1回戦までの56試合で生まれたゴールは123。1試合平均は2.2点で、前回ドイツ大会の2.4点と、ほぼ同水準になっている。

 近年のサッカー界の流れと同様、各チームとも守備への意識が高く、序盤はロースコアの接戦が多かった。1次リーグ48試合のうち1点差が21試合、引き分けは14試合を占め、合計ではドイツ大会より9試合増えた。小差の競り合いの中で、スペインがスイスに不覚を取るなどの波乱も生まれた。決勝トーナメント1回戦も半分の4試合が1点差で、日本-パラグアイは無得点のままPK戦での決着となった。

 攻撃サッカーの代表的存在だったブラジルやオランダも堅守をベースにしたスタイルをとるなど、カウンター重視の傾向はさらに強まってきている。8強入りした大半のチームは1本のパスで局面を打開できる司令塔を備えており、準々決勝以降も、中盤でのせめぎ合いから一瞬で攻守が切り替わる試合が続きそうだ。

  =◇=

 今大会は南米勢の好調ぶりが目立つ。全5チームが1次リーグを突破し、8強のうち、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイと半数を南米勢が占める。78年アルゼンチン大会以来、32年ぶりに南半球での「冬のW杯」。特に南アフリカは高地の会場が多いが、南米予選は標高2000メートルを超える高地でも行われており、そうした条件にも慣れている様子だ。実際、高地のメキシコで開催された70年と86年大会は、ブラジル、アルゼンチンが優勝している。

 一方、8強の顔ぶれを見ると、欧州勢は前回ドイツ大会の6チームからオランダ、ドイツ、スペインの3チームに半減し、前回優勝のイタリア、同準優勝のフランスは1次リーグで敗退した。コンディション面だけでなく、欧州リーグで各国選手が活躍し、各大陸間の実力差が縮まりつつあることも考えられる。欧州の伝統国といえども、容易には勝ち上がれなくなってきているのが今大会の特徴といえそうだ。

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