中国人向けビザ:発給要件大幅緩和 市場規模1兆円も

2010年7月1日 21時47分 更新:7月1日 22時45分

グランドプリンスホテル新高輪で、中国人宿泊客に対応する、中国語の話せるフロントの女性社員。同ホテルはレストランのメニューを中国語表記にするなど、対策を強化している=東京都港区の同ホテルで、2010年7月1日午後5時12分、浜中慎哉撮影
グランドプリンスホテル新高輪で、中国人宿泊客に対応する、中国語の話せるフロントの女性社員。同ホテルはレストランのメニューを中国語表記にするなど、対策を強化している=東京都港区の同ホテルで、2010年7月1日午後5時12分、浜中慎哉撮影

 中国人向けの個人観光査証(ビザ)の発給要件が1日、大幅に緩和された。富裕層に限っていた発給を中間層にも拡大し、海外旅行ブームに沸く観光客の呼び込みを図る。旅行客を受け入れるホテル、小売り、金融業界なども着々と準備を整えており、消費意欲の高い中国人観光客に熱い視線を送る。【米川直己、浜中慎哉】

 観光庁の溝畑宏長官は1日、中国・瀋陽市で旅行業者らを集めた式典で「多くの中国の方に日本を訪問してほしい」と述べ、政府を挙げて旅行客を歓迎する姿勢を強調した。

 日本政府観光局などによると、00年に約35万人だった中国人観光客は昨年、訪日外国人全体が落ち込むなかで約101万人と前年比プラスを確保。観光庁は13年に390万人、16年に600万人に増やす目標を掲げる。

 中国人観光客が滞日中に使う金額は平均で20万~30万円に上るとされ、単純計算で年2000億~3000億円の市場規模になる。ビザ緩和で増える観光客の所得層が下がったとしても、600万人なら1兆円規模になる可能性がある。個人消費が伸び悩む中、この「成長市場」をあてこんで、対応を強化する動きが目立つ。

 全国百貨店売上高が5月まで27カ月連続で前年実績を下回っている百貨店業界では、「中国人観光客は買い物目的が多く、ビザ緩和がビジネスチャンスになる」(飯岡瀬一・日本百貨店協会専務理事)と期待。人気の高い化粧品の消費税を免税対象に加えるよう協会として求めるなど、さらなる集客策を模索する。

 プリンスホテルは東京・品川の4ホテルで受け入れを強化。中国語が話せる従業員の胸元に中国語対応可能を示す札をつけ、室内で中国語のテレビ放送を視聴可能に。レストラン入り口には中国語を話す従業員の写真を掲げるなど、対応を徹底し、「80%程度の稼働率をさらに上げたい」と意気込む。

 ◇ビザ発給要件緩和

 富裕層に限っていたビザの発給対象を拡大。大手クレジットカードの「ゴールドカード」を保有▽官公庁や大企業の課長級以上▽年収数万元以上の安定収入--などの条件を総合的に判断し、各在外公館が発給を決めるよう改めた。発給対象はこれまでの約10倍に当たる1600万世帯程度となる見通し。

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