時効成立:大阪で女性刺した男、都内で発見…不起訴へ

2010年7月1日 17時58分 更新:7月1日 18時14分

 大阪市西成区で95年1月、元看護師の林裕子さん(49)が男に刺され重傷を負った殺人未遂事件で、現場の遺留指紋が一致した男(60)が先月末、東京都内で見つかり、大阪府警の任意の聴取に「林さんを刺した」と供述していたことがわかった。捜査関係者が明らかにした。事件は今年1月、15年の公訴時効が成立しており、男は処罰を受けない。府警は男を殺人未遂の疑いで書類送検し、大阪地検が不起訴処分にするとみられる。

 事件は95年1月25日夕、林さんが勤めていた大阪社会医療センター前路上で、帰宅中の林さんが男に花束でたたかれ、包丁で腰を刺され重傷を負った。

 捜査関係者によると、男は先月末、都内でトラブルを起こし警視庁が所在を確認した。男の供述などから、府警は、林さん個人ではなく、診療を巡る大阪社会医療センターへの不満が動機とみている。

 事件では、時効成立直前、花束の包装紙の指紋と男のものが一致したが、所在がわからず、時効が成立した。今年4月には殺人などの罪の時効が撤廃されたが、殺人未遂罪は適用されなかった。

 林さんは重い後遺症が残り、家族の収入も激減した。林さんの夫で、全国犯罪被害者の会(あすの会)幹事の良平さん(56)は「家庭をめちゃくちゃにした人間が罰せられないのは悔しい。昨日、府警から説明を受けたが眠れなかった。時効の壁を撤廃する運動を続けたい」と話した。

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