路線価:2年連続で下落 大都市圏で下げ幅拡大

2010年7月1日 11時37分 更新:7月1日 12時1分

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる10年分の路線価を公表した。全国約38万地点の標準宅地1平方メートル当たりの平均路線価は前年を8.0%下回る12万6000円で、2年連続で下落した。景気低迷を反映し、前年に続いて全都道府県で平均路線価は下落し、特に東京・銀座など都心一等地での大幅下落が目立った。

 下げ幅は前年の09年分(5.5%減)より大きく、08年秋のリーマン・ショック以降の世界不況の影響がさらに色濃く表れた。とりわけ投資マネーがより多く流入した大都市圏での下げ幅が拡大し、09年分は6.5%減だった東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は9.7%の減。大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)も3.4%減から8.3%減に下げ幅が拡大した。

 路線価トップは25年連続で東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前。2年連続で下落して1平方メートル当たり2320万円だったが、下げ幅は前年の2.0%から25.6%に拡大している。

 都道府県別で見ると前年より下げ幅が拡大したのは36都道府県。下げ幅縮小は青森や沖縄など5県にとどまり福島や宮崎など6県は同じ下げ幅だった。都道府県庁所在地の最高路線価は津、山口の2市が前年と同額だった他はすべて下落した。

 路線価下落について、石沢卓志・みずほ証券チーフ不動産アナリストは「(06年ごろからの)ミニバブル期に過度に上がった分の調整が終われば、大都市圏では反転上昇するのではないか」と分析。その一方で、「地方圏の下落要因は人口減少や地域の活力低下で、今後も下がり続ける可能性が高い」と話している。【加藤隆寛】

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