スペイン:数万人規模の公務員デモ 追加財政再建策に抗議

2010年6月9日 11時7分 更新:6月9日 12時38分

8日、マドリードで行われたスペイン政府の追加財政再建策に抗議する公務員デモ=福原直樹撮影
8日、マドリードで行われたスペイン政府の追加財政再建策に抗議する公務員デモ=福原直樹撮影

 【マドリード福原直樹】経済危機に悩むスペイン各地で8日、政府の追加財政再建策に抗議する数万人規模の公務員デモが行われた。ユーロ圏で同国は、ギリシャに続く財政不安が指摘され、政府は先月、2年間にわたる150億ユーロ(約1兆7000億円)規模の財政削減を決定。だが主要労組は、公務員給与の削減を含む再建策に反発しており、今回のデモを機に今後、ゼネストも辞さない事態になっている。

 スペイン政府は再建策に、(1)今年と来年の公務員給与の平均5%削減(2)公共投資の一時凍結と年金支給額の据え置き--などを含めた。同国は09年の財政赤字が国内総生産(GDP)比で11.2%に達しているため、政府は再建策を進め、13年には財政赤字を欧州連合(EU)基準であるGDP比の3%に引き下げたい意向だ。

 大手労組は再建策を「弱者いじめで公平性を欠く」と批判し、公務員ストに続き「ゼネストは不可避の状況」との姿勢を崩していない。ゼネストが敢行されれば、再建策が大きくつまずく可能性もあり、従来、労組寄りの姿勢を見せていたサパテロ首相の社会労働党政権にとって、大きな試練となっている。

 8日のストでは鉄道も一時、遅延。マドリードでの数千人規模のデモに参加した高校教師(45)は「政府の政策はその場しのぎで一貫性がない。我々のように、きちんと税金を支払う人間からさらにカネをしぼり取るのは許せない」と話していた。

 スペインは財政赤字で、ギリシャに次いでポルトガルとともに国債が売られる事態が続いており、EUが赤字削減策を早期にまとめるよう要求。国際通貨基金(IMF)は、スペインの再建策を支持している。

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