2010年6月8日 11時2分 更新:6月8日 11時17分
大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)の乱入殺傷事件は8日、発生から9年となった。同校ではこの日、追悼式典「祈りと誓いの集い」が開かれ、参列した遺族や在校生、教職員ら約1300人が、犠牲になった児童8人の冥福を祈った。同校は今年3月、安全な教育環境づくりを行う学校を対象とした国際認証を日本で初めて取得した。式典では、自校の学校の安全への取り組みが、先進的なモデルとなるよう今後も国内外に発信し続けていくことも誓った。
式典は旧正門脇にある、8人の名前が刻まれた「祈りと誓いの塔」の前で、午前9時から、小雨の降る中、始まった。黙とうの後、藤田大輔校長は「事件を風化させることなく、学校の安全にかかわる着実な取り組みを継続していくことが、付属池田小学校の使命であるとの認識を心に刻みます」と述べた。
6年の児童代表は「周りの人たちへの感謝を忘れず、支えられるだけでなく、誰かを支える人になります」と誓った。
同校は事件後、遺族との合意書などに基づき学校の安全対策をハード、ソフト両面で強化。昨年度からは全学年で、防災や防犯、交通安全などを系統立てて学ぶ「安全科」の授業を週1時間行っている。今年3月、子どもたちの安全に地域などと一緒に取り組む学校として、世界保健機関(WHO)の国際認証「インターナショナルセーフスクール(ISS)」を取得した。【山口朋辰】
【ことば】大阪教育大付属池田小学校・乱入殺傷事件 01年6月8日午前10時過ぎ、宅間守元死刑囚が校内に乱入。1、2年の児童8人を刺殺し、児童13人と教師2人に重軽傷を負わせた。宅間元死刑囚は殺人、殺人未遂などの罪で起訴され、死刑判決が確定。04年9月、刑が執行された。一方、亡くなった児童8人の遺族と大学側との補償交渉は、03年6月に合意した。重傷の児童8人の保護者との補償交渉は、05年5月に合意。また、事件を目撃した児童のうち2人との補償交渉も合意している。