菅総理の「第三の道」 本当に雇用は増えるのか

2010/8/ 4 10:52

地方分権を伴わなければ「第一の道」と同じ

   こういう企業の常識からすると、あくまでお上による統制型に固執する第三の道というのは、ちょっとずれているなというのが正直な印象だ。

   ただし、じゃあ第三の道なんて全然いらないかといえば、そうとも言い切れない。実は、企業内にも第三の道的なものは残っている。理由は簡単で、自分の意思でキャリアを選んで伸ばしていける人ばかりではないからだ。上記のケースでいうと、部や事業部といった比較的小さな組織内で人員を再配分するケースなら、そこそこ上手く機能するケースが多いように思う。

   同様に、国はさすがに無理だろうが、市区町村レベルの自治体であれば、地元で必要な仕事を選んで雇用を提供するということも可能だろう。「国は国民をリストラできない」のは事実だから、こういった変化球は必要だと思われる。

   というわけで、全体としては規制緩和で第二の道をベースにしつつ、地方分権で自治体の裁量を増やすというのが、遠回りながら第三の道のイメージにもっとも近いと思われる。

   医療や介護に予算をつけるのは、一見すると「第三の道」っぽいけれども、10年くらい経ってみれば「やっぱり第一の道でしたね」なんてオチになるはずだ。

城 繁幸

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城繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログはDoblogに障害が発生したため、gooブログに移転中。
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