菅総理の「第三の道」 本当に雇用は増えるのか

2010/8/ 4 10:52

   先日スタートした衆院予算委員会において、菅総理が持論である「成長分野での雇用創出」を改めて展開した。いわゆる「第三の道」というヤツで、公共事業依存の第一、規制緩和による市場重視の第二との違いは、成長分野を重点的に選んで雇用を作るという点なのだそうだ。

   「過去の公共事業と何が違うの?」という意見もありそうだが、よく考えて本当に必要な事業を選ぶようにすればいいということらしい。

>>29歳の働く君へ・記事一覧

トップダウン式にこだわるからコケる

   つまり、失業者を遊ばせておくのは能力の無駄であるから、国がなにがしかの仕事を作って働かせるべきだ、そうすれば彼の能力を活かせるし、お給料もらえる彼自身も助かる、というロジックである。

   これが有効かどうかは、大企業内部の組織改革を考えれば明らかだ。国際競争の激しい大手製造業などでは、部署や個人の業務量や意義が常にめまぐるしく変わっている。個人はもちろん、時に課や部といった部署全体の存在意義が消失してしまうこともある(事業全体で失業することもある)。

   こうなると、(日本は終身雇用なので)彼らに新たな仕事を割り振らねばならない。

   重要なのはここからだ。経営層で新たなミッションや、余剰人員の割り振り先を決めると、たいがいコケることになる。現場レベルで何が重要で将来性があるかなんて、大組織の上の人はなかなか分からないためだ。

   また、バラバラにして忙しい部門に人員だけばらまいても、そういう対象になってしまった人というのは、往々にしてモチベーションがついてこないものである。組織の都合で畑違いのことをやらされるのだから当然だろう。

   というわけで、この10年ほどの間、企業ではトップダウン式の組織改革よりも、ボトムアップ式の意識改革を重視するようになっている。社内公募や社内FA制度を使って、従業員自身にある程度キャリアを選ばせるスタイルだ。落ち目の部署からは人が抜けるものなので、自然に組織全体の新陳代謝も進むことになる。

(続く)

城繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログはDoblogに障害が発生したため、gooブログに移転中。
おすすめ平均: 4.0
  • タイトルと中身は違います
  • 首相の同士としての伸子夫人
  • 女、妻、主婦の視点から見る政界の面白さ

他の言語

J-CAST会員サービス

注目情報

バナー広告より断然お得!

会社のPRはもちろん、村おこし・町おこしにも活用できるマル秘手段。

ブログ説明'

涼しい室内、ゲームで白熱!

夏休みこそ存分にゲームを楽しみたいアナタ。さらなる臨場感をゲームチェアで。今なら送料無料!!

平戸'

求む!新卒!

ニュース、あらゆる意味で刺激的な現場、そこで働いてみませんか。仕事に情熱を持って取り組んでくれるフレッシュな人材を求めています。

平戸'

おすすめワード

【スポンサードリンク】

このページのトップへ