先日スタートした衆院予算委員会において、菅総理が持論である「成長分野での雇用創出」を改めて展開した。いわゆる「第三の道」というヤツで、公共事業依存の第一、規制緩和による市場重視の第二との違いは、成長分野を重点的に選んで雇用を作るという点なのだそうだ。
「過去の公共事業と何が違うの?」という意見もありそうだが、よく考えて本当に必要な事業を選ぶようにすればいいということらしい。
つまり、失業者を遊ばせておくのは能力の無駄であるから、国がなにがしかの仕事を作って働かせるべきだ、そうすれば彼の能力を活かせるし、お給料もらえる彼自身も助かる、というロジックである。
これが有効かどうかは、大企業内部の組織改革を考えれば明らかだ。国際競争の激しい大手製造業などでは、部署や個人の業務量や意義が常にめまぐるしく変わっている。個人はもちろん、時に課や部といった部署全体の存在意義が消失してしまうこともある(事業全体で失業することもある)。
こうなると、(日本は終身雇用なので)彼らに新たな仕事を割り振らねばならない。
重要なのはここからだ。経営層で新たなミッションや、余剰人員の割り振り先を決めると、たいがいコケることになる。現場レベルで何が重要で将来性があるかなんて、大組織の上の人はなかなか分からないためだ。
また、バラバラにして忙しい部門に人員だけばらまいても、そういう対象になってしまった人というのは、往々にしてモチベーションがついてこないものである。組織の都合で畑違いのことをやらされるのだから当然だろう。
というわけで、この10年ほどの間、企業ではトップダウン式の組織改革よりも、ボトムアップ式の意識改革を重視するようになっている。社内公募や社内FA制度を使って、従業員自身にある程度キャリアを選ばせるスタイルだ。落ち目の部署からは人が抜けるものなので、自然に組織全体の新陳代謝も進むことになる。
(続く)
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