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シャープ、アップルに対抗…片山社長 電子書籍参入へ自信


 シャープの片山幹雄社長=写真=は読売新聞のインタビューで、年内に本格参入する電子書籍事業について「日本のサービスで米アップルの対抗軸となる」と話し、先行する海外勢との競争に自信をみせた。印刷会社や出版社などと連携した独自の配信事業を武器に、アップルの“独走”を未然に食い止めたい考えだ。

(平井久之)

 アップルは、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や、電子書籍も楽しめる情報端末「iPad(アイパッド)」などでコンテンツ(情報の内容)流通事業を強化しており、日本勢の危機感は強い。

 シャープは端末生産にとどまらず、小説や雑誌、新聞などを電子データ化するコンテンツ制作から配信までを一貫して手掛ける。シャープが国内トップのシェア(市場占有率)を持つ携帯電話端末は頭打ちで、片山社長は「今回の事業を新たな産業に仕上げなければ、シャープの生きる道はない」と強い決意を表明した。

 さらに、今回の配信システムが「日本発の新産業となる可能性がある」とし、新興国など海外向け展開にも意欲をみせた。「世界の携帯電話13億台、パソコン3億台のうち、相当部分が新たな端末の市場になる」と考えているためだ。

 一方、片山社長は「電子書籍は一部に過ぎない」とも述べ、端末を介して多様なサービスが可能になるとの見通しを示した。

 具体的には、端末上で注文した商品をコンビニエンスストアなどの店頭で受け取ったり、コンサートの座席を予約したりする電子商取引を想定している。片山社長は「外出が難しい高齢者でも活用できる」と述べ、幅広い年齢層への普及が期待できるとした。

一問一答…新興国戦略を強化

 片山社長との主な一問一答は以下の通り。

 ――電子書籍事業ではコンテンツ配信まで手掛ける。

 「端末には液晶を使うため、シャープは絶対に強いが、端末だけなら中国や台湾でも作れる。端末を通じて様々な電子商取引ができる仕組みが重要だ。2年かけて社内で検討した」

 ――先行する米アップルなどとの違いは。

 「『クラウド・コンピューティング』で配信サービスの仕組みを作ったことだ。これを日本発の産業に仕上げれば、新興国など世界に(システムを)輸出できる」

 ――太陽電池の需要が急拡大している。

 「世界で生産拠点を造っていく。大規模な太陽光発電所向けは、すべて(シャープが手掛ける)薄膜型だ。これから大型案件が次々と決まるだろう」

 ――パナソニックが三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化する。

 「我が社も韓国や台湾勢の脅威にさらされてきた。スピード感をもって(経営を)やらねば、グローバルプレーヤー(国際的企業)にはなれない」

2010年8月4日  読売新聞)

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