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振付師たちの個性やキャラクター、振付けをする上でのスタイル―。そんなものが少しずつ垣間見えてきたのも、長野五輪前後のことだったと思う。
例えば長野五輪の銅メダリスト、フィリップ・キャンデロロ(フランス)の振り付けを手掛けたジョゼッペ・アリーナ(イタリア)。彼はスケーター出身ではなく、イタリアのバレエ団出身という珍しい来歴だけあって、スケーターの個性をうまく引き出せる振付師だった。キャンデロロにしても、後に手掛けたイリーナ・スルツカヤ(ロシア)にしても、天才的な滑りの資質があるわけではない。流れるようなスケーティングの持ち主ではないけれど、他の選手とは何か違う味わいを持っている…。そんなスケーターの長所を引き出すプログラム作りが巧かったのだ。
キャンデロロの名作「三銃士」では、彼のキャラクターを最大限に生かして観客の気持ちをうまくつかむスケートへとつなげている。キャンデロロは元々、ひとつのシーズンのショートプログラムとフリー、両方を使って「ゴッドファーザー」の世界を滑り切るなど、テーマ性の高いプログラムでトップスケーターとしての個性をアピールした選手だ。
その路線をさらに引き継ぎ、完成させた「三銃士」では、ひとつの舞台の幕開けから幕引きまでをすべて見せるようなドラマチックな構成も目を引いたし、音楽もオリジナル曲を使うなど、こだわりを見せた。しかもいつも同じようなやり方ではなく、選手ごとに違うコンセプトを上手く用意してくれる振付師として高い評価を受けている。
ジョゼッペのような振付師は、成長過程にある選手、まだまだ未熟だが勉強を積んでいけばきっと大きくなれる選手、そんな選手が花開くための手助けになってくれるかもしれない…。そんな思いで、日本の本田武史を紹介したこともあった。
彼のようにフィギュアスケートのプログラムを舞台作品として扱う考え方は、後の振付師や選手たちにも大きな影響を与えている。プルシェンコ(ロシア)らトップ選手も、自分のためだけのオリジナル曲で滑るというチャレンジをしているし、ニコライ・モロゾフが高橋大輔に「白鳥の湖」を振付けたときにも、知人の音楽家にこのプログラムのためだけの編曲を依頼している。
現在はプログラムを組み立てるうえで、音楽を何よりも重く考えるコリオグラファーは多く、フィギュアスケートがどんどん舞台的になってきた。その走りとなったジョゼッペ・アリーナ。現在では、演劇などのプロデューサーとしても活躍している。
(続く)
(2010年6月22日13時18分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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