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ローリー・ニコル(カナダ)と、リーアン・ミラー(米国)。フィギュアスケートの振付けとは何かをきちんと研究し、選手を勝たせるためのプログラムを作る振付師たち。試合のためのプログラムを任せたら、誰よりも心強いプロフェッショナルたちだ。しかし振付師の中には、選手を勝たせることよりも、自分の作品を氷の上で見せたい! そんな思いを原動力に、名プログラムを生みだす人々も多い。
先に紹介したトーラー・クランストンの系譜に連なるもの、その代表格がカナダのデイビッド・ウィルソンだろう。彼に振付けを依頼した選手やショースケーターたちは、口をそろえてその気まぐれさを語るほど、あまりにも芸術家らしい芸術家だ。彼にとって時間や約束はあってないようなもの、また、興が乗った時と乗らない時のテンションの差も激しい。しかし基本的には一生懸命で、誰にでもフレンドリーな、好感の持てる人物。そして気まぐれではあるけれど、気持ちが乗った時にはほんとうにいい作品を作るコリオグラファーだ。
スケーターのキャラクターをよく理解し、たとえば金妍兒なら金妍兒、ジェフリー・バトルならジェフリー・バトルの、ほんとうにいいところを引き出し、観客にもジャッジにもため息をつかせるようなプログラムを見せてくれる。特に、4回転を跳ばずして世界チャンピオンとなったジェフリー・バトルの一連の作品は、「この人には4回転などなくてもいいんだ…」と思わせてしまうほど。見る人のハートをつかんで離さなくなるまで、ジェフの滑りの巧さをこれでもかと引き出してしまう…そんな、作り手として抜群の「巧さ」が、ウィルソンにはある。
また、ローリー・ニコルをはじめ多くの振付師はクラシック音楽を好んで選び、振付けをするが、デイビッドの場合は誰よりも広いジャンルから選曲できるのも特徴だ。織田信成には「座頭市」、安藤美姫には「戦場のメリークリスマス」、金妍兒には「007」…。その人のその時期に合った音楽をうまくあてはめることもできる。
しかし最近のデイビッドこそ、それなりに滑りやすさも考えて作るようになったが、何年か前まではプログラムの流れを優先させ、選手が消耗している後半に難しいジャンプを入れてしまうなど、試合用としてはちょっと苦しい構成をするようなところもあった。芸術家型の振付師は、本来、プロのショーナンバーやアマチュア選手でもエキシビションナンバーなどを依頼してこそ、いちばん力を発揮できるのかもしれないな、と思う。
滑る選手も、リーアン・ミラーのようにどんな選手でもそれなりに仕上げてくれるわけではなく、金妍兒やバトルなど、それなりのスケーターでなければ彼のプログラムにマッチングすることは難しいのかもしれない。(続く)
(2010年7月20日14時18分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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