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2010年8月 1日 (日)

イラクの略奪:イラク開発基金の約7600億円が行方不明

Richard Becker

PSLweb.org - 2010-07-30

商業マスコミが作り出した“略奪”の一般的なイメージは、貧しい人々が、不法侵入された店舗から、TVや靴や他の商品を持ち去るというものだ。ニューオリンズが、2005年にハリケーン・カトリーナで洪水になった際、見捨てられて、まな板の鯉になった多数の自暴自棄の住民が、大半はアフリカ系アメリカ人なのだが、閉店した食料品店から、食料を横領したかどで、“略奪者”として非難され、逮捕された。

7月27日、アメリカのイラク復興特別監察官室が、2003年、アメリカ軍がイラクを征服し、イラク政府を解体した際に差し押さえたイラク基金の、驚嘆すべき、最低91億ドルの95パーセントが、ペンタゴンで使途不明となっているという報告書を発表した。合計87億ドル(約7600億円)が“イラク開発基金”から消滅したのだ。

2003年4月のイラク占領後、事実上の独裁者として、15ヶ月間イラクを支配した、連合暫定施政当局代表だったL. ポール・ブレマーが、イラク開発基金をたちあげていた。その資金は、アメリカ合州国や他の国々において凍結したイラク資産と、当時国有化されていたイラク油田の売り上に由来する。

ブレマー、ペンタゴンや、ハリバートン等のペンタゴン取り巻き企業は、大規模略奪に関与していたのだろうか? 商業マスコミによれば、そうではない。特別監査官報告は、何らかの罪が犯されたかどうかさえも述べていない。

“管理が機能停止し、資金が不適切な使用や、見つけられない損失にあってしまった”と想像を絶する規模の窃盗を、最大限に当たり障りのない用語で、監査は述べている。

資本主義者支配層は自分自身のものを守る方法を知っている

イラク開発基金に関する報告書は極めて巨大な氷山の一角に過ぎない。企業略奪者、政府と軍の主要目的は、イラクの莫大な油田だ。

イラクは石油埋蔵量の点では、世界で三番目の国だ。1920年から1958年まで、イギリス植民地であった間、イラクの石油は、100パーセント外国の所有だった。イギリス、オランダ、フランスとアメリカの石油会社が、それぞれ23.75パーセントを所有していた。今日のBP社、シェブロン社、トータル社、シェル社等々の企業が、イラクの豊富な資源で利益を上げる一方、イラク人の圧倒的多数が極端な貧困に苦しみ、80から90パーセントが文盲で、医者にかかる機会さえほとんど無かった。

イギリスの支配を終わらせた1958年の革命後、イラクの石油は国有化された。石油収入はイラクの近代化と、国民の大部分にとっての劇的な生活向上の基礎として機能した。

2003年のアメリカ-イギリス侵略と占領がイラクを植民地状態に引き戻した。主要かつ公然と語られていた占領軍の目的は、人的損失にかかわらず、イラクの石油の非国有化と、アメリカや他の多国籍企業による際限のない経済搾取に対し、イラクを開放することだった。そして、人的損失は極めて大きかった。

推定によれば、2003年以来、120万人のイラク人が殺害され、更に数百万人が負傷したり、難民になったりしている。イラクの大半の部分において、生活環境は、経済制裁の時期や、占領前の経済封鎖時より、今の方がひどい。莫大なエネルギー資源がある国が、慢性的な燃料不足で、多くの地域では停電が絶え間ないというのは実に辛辣な皮肉だ。

4,300人以上のアメリカ軍兵士が死に、何万人もの兵士が肉体的、あるいは心理的に重い傷で苦しんでいる。戦争経費は、7000億ドル、700,000,000,000ドルを超えており、数兆ドルに達しよう。

こうした死、破壊、資源の無駄の全てが、イラクの環境と経済を略奪している石油、金融や、他の大企業犯罪者の便益のために、イラクを確保しておくためのものなのだ。

記事原文のurl:www.pslweb.org/site/News2?page=NewsArticle&id=14294&news_iv_ctrl=1261

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ちなみに、2003年8月29日のasahi.comに以下の記事がある。

旧フセイン政権の凍結資産、イラク開発基金に移管

リンクが消えるといけないので、一部を引用させていただこう。

 イラクの旧フセイン政権が日本の金融機関に持つ凍結資産約116億円が、国連安保理決議に基づき設けられた「イラク開発基金」に移されることになった。財務省が29日発表した。旧フセイン政権が日本国内の金融機関に持つ凍結資産のほぼ全額で、残りも順次移される。移された資産はイラクの石油販売収入とともに同基金の原資となり、イラクの経済復興支援に充てられる、という。

これだけの金額、些細なミスによる消滅のはずなどなく、始めからの細工だろう。

おれおれ詐欺に注意しましょうと、慈悲深いお上は下々に助言してくださる。

おれおれ詐欺、2009年の被害総額は約96億円だったという。

ほぼ同じ金額の宗主国による振り込め詐欺にあったのだ。お上自身も、しっかり注意されたほうが良いかも知れない。国民と違い、相手は特定している。おれおれ詐欺、振り込め詐欺をしてくる国は、一つしかない。

とはいえ、在日アメリカ外務省支部、在日アメリカ財務省支部では、お仲間、いや本部を取り締まるのは、やや困難かも知れない。

米長官がグアム移転費の増額要求

これも、リンク先がなくなるといけないので、一部をさせていただこう。(現実に、Exciteも、yahooも、リンク先が消滅している。素晴らしき情報管制。)

少なくとも数百億円規模の上積みを想定しているとみられる。

昔、第一次湾岸戦争で、小沢一郎幹事長が、当初90億ドル(当時の日本円で約1兆2,000億円)もの「戦費」といわれるものを献上した。(合計では135億ドル)これとて、一体何につかわれたのか、本当のところは全くわからない。

イラクやアフガニスタンに対する献金も皆同じだろう。国家による振り込め詐欺は、いちら膨大でも犯罪にならない。

抑止力なる真っ赤な嘘で、日米ならずもの同盟(=不安定の弧・先制攻撃・侵略者同盟)、安保(侵略戦争)条約、米軍基地を正当化し、思いやり予算で天国のような基地設備を維持し、郵政私営化を推進し、国民の虎の子をまきあげる、実に有り難い宗主国。

岸首相設計による、現代満州国の国民、宗主国とその走狗のマスコミ・プロパガンダには勝てない。

追記:2010/8/3

「海鳴りの島から」の「戦争がもたらすもの」によれば、『自然と人間』2010年8月号志葉玲氏による記事「イラク戦争を担う沖縄米軍」に下記の記述があるそうだ。前から言われていたことではあるが。

ファールジャが直面した最大の危機、2004年4月と同年11月に行われた米軍による大規模攻撃での中心部隊は、沖縄のキャンプ・ハンセンに拠点を置く、第31海兵遠征部隊だったのだ。

米軍基地、確かに極めて有効な「抑止力」になっていることが、良く分かる。

もちろん傀儡政治家が言う意味でなく、民衆の独立、国家の独立にたいする「抑止力」。

相撲取りの野球賭博や、墜落ヘリコプター取材で亡くなった記者の謎や、ミイラになった長寿の方や、行方不明の長寿の方のおはなしよりも、消えた「イラク開発基金」のほうが、はるかに膨大、かつ、小生のような貧乏人の懐を直撃する重大な話題だろうと思うが、商業マスコミにとっては、そうではないらしい。全く追求なし。

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