船橋市課長収賄:市に衝撃
2008-12-08(Mon)
船橋市課長収賄:市役所に衝撃 副市長「信頼回復に努める」 /千葉
毎日新聞 2008年11月22日 地方版
先般、tihoujiti様のブログ経由で紹介させて頂いた「法務などに専門職員」に関連して、他自治体の人事のかたから情報提供を頂いた記事です。
専門職の育成は、職員のキャリア形成や職員の適性を生かすという点のほか人材の有効活用といった点からも有用かつ必要な人事施策ですが、ゼネラリストの場合と同様に、慢心、自信過剰、腐敗などといった負の効果が生じる場合があります。
専門職制度を構築する際には、その点のガバナンスがしっかりとできる仕組みを取り入れることが必須です。人材育成は性善説で行えますが、組織で仕事をする場合、こと権力に関しては、性善説で考えるべきではなく、性悪説で考えるべきです。
課長のようなラインポストで、ゼネラリストとして養成された人の場合でも、一定規模のある組織では、特定の分野でゼネラリストとして養成していくことになりますので、注意が必要です。ゼネラリストであれ、スペシャリストであれ、一定の分野で、当該職員がその道のプロとみなされてしまうと、異動をさせる側としても当該職員を異動させにくくなります。人事異動は、適材適所のために行われます。しかし、「適材適所のため」でも指摘したとおり、適材適所であった人が、当該部署で一定期間経過するうちに、マンネリなどにより適性を一時的に失う場合があります。
専門職の育成は、研修のほか主に長期在籍により行われますが、人事としては、専門職をただ単に異動させないでおく、ということではなく、人事ローテーションにある職員同様に、職務能力(専門性)向上の程度や勤務状況についても検証することが必要です。異動させることにより、職員のモチベーションが落ちるという負の効果よりも、長期在籍による慢心等による負の効果が大きいと判断する場合には、組織的効用を重視して、専門職であれ異動をさせます。
また、専門職の異動は、「組織」で結果を出すことを専門職が知るためにも必要です。
毎日新聞 2008年11月22日 地方版
船橋市での宅地開発を巡り、業者から300万円の小切手を受け取ったとして、市宅地課長、早川雅人容疑者(53)が収賄容疑で逮捕された。「都市計画のエキスパートで、頼れる能吏だったのに」。逮捕から一夜明けた21日、市役所には衝撃が走り、松本敦司副市長らが記者会見で「市民の皆様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ありません」と陳謝した。【袴田貴行】
先般、tihoujiti様のブログ経由で紹介させて頂いた「法務などに専門職員」に関連して、他自治体の人事のかたから情報提供を頂いた記事です。
専門職の育成は、職員のキャリア形成や職員の適性を生かすという点のほか人材の有効活用といった点からも有用かつ必要な人事施策ですが、ゼネラリストの場合と同様に、慢心、自信過剰、腐敗などといった負の効果が生じる場合があります。
専門職制度を構築する際には、その点のガバナンスがしっかりとできる仕組みを取り入れることが必須です。人材育成は性善説で行えますが、組織で仕事をする場合、こと権力に関しては、性善説で考えるべきではなく、性悪説で考えるべきです。
課長のようなラインポストで、ゼネラリストとして養成された人の場合でも、一定規模のある組織では、特定の分野でゼネラリストとして養成していくことになりますので、注意が必要です。ゼネラリストであれ、スペシャリストであれ、一定の分野で、当該職員がその道のプロとみなされてしまうと、異動をさせる側としても当該職員を異動させにくくなります。人事異動は、適材適所のために行われます。しかし、「適材適所のため」でも指摘したとおり、適材適所であった人が、当該部署で一定期間経過するうちに、マンネリなどにより適性を一時的に失う場合があります。
専門職の育成は、研修のほか主に長期在籍により行われますが、人事としては、専門職をただ単に異動させないでおく、ということではなく、人事ローテーションにある職員同様に、職務能力(専門性)向上の程度や勤務状況についても検証することが必要です。異動させることにより、職員のモチベーションが落ちるという負の効果よりも、長期在籍による慢心等による負の効果が大きいと判断する場合には、組織的効用を重視して、専門職であれ異動をさせます。
また、専門職の異動は、「組織」で結果を出すことを専門職が知るためにも必要です。
(記事続き)
◇都市計画のエキスパート
市によると、早川容疑者は74年に採用され、主に建設局で勤務。93年以降は宅地課で開発計画の審査業務を担当し、今年4月に宅地課長になった。上司の要望もあり、15年以上連続して宅地関係の仕事を続けてきた。同僚の一人は「法律関係にも詳しく、職員みんなから頼りにされていた。借金の話は聞いたことがなかった」と驚きを隠さなかった。
藤代孝七市長は「職員が逮捕され誠に遺憾。早急に事実関係を把握し、厳正に対処する」とコメント。松本副市長は会見で「今後、原因究明を徹底して再発防止に努め、市の行政に対する信頼回復に努めたい」と述べた。
21日夜には県警が市役所を家宅捜索。職員らが不安げな表情で見守る中、宅地課の早川容疑者の机などから関係書類を押収した。
◇宅地課は「窓口」 独断で許可できず
今回、贈収賄事件の舞台となったのは、同市芝山6の市街化区域6779平方メートルでの宅地開発。04年8月に申請があり、1年後の05年8月に許可。39戸が既に完売している。
事業者は宅地課に事前申請を提出後、道路や下水道関係など複数の課との協議を経て本申請し、すべての条件が整った段階で許可が下りる。早川容疑者は手続きがスムーズに進むよう担当者を一堂に集めるなどの便宜を図っていたとみられる。家・スタイルは、03〜08年度に8件申請し許可されていた。
市建築部によると、宅地課の役割は「窓口」に過ぎず、課長や主幹には、本来許可が出ないものに許可を出せるような権限はないという。
船橋市では、都市計画法で開発が厳しく制限されている市街化調整区域でも宅地開発が進行し、「自然環境への影響が深刻」と問題視する声が出ていた。
◇600万円は現金か 贈賄容疑会社社長、2回に分け手渡す
早川容疑者は、建築会社「家・スタイル」社長、飯田洋三郎容疑者(61)=贈賄容疑で逮捕=から300万円の小切手を受け取った後、庁舎内で600万円の現金を受け取った可能性が高いことが、県警捜査2課の調べで分かった。
追加の600万円は、飯田容疑者が2回に分けて渡したとみられるが、相当額の小切手や、現金化した記録は残っていない。県警は、「900万円ほど貸してほしい」との早川容疑者からの要請に応じ、飯田容疑者が残り600万円を現金で渡したとみている。早川容疑者は「ありがたかった」などと供述し、わいろを受け取ったことを明確に認識していたという。
県警は21日夜、船橋市役所や、同市にある家・スタイルの本社、本店、両容疑者の自宅の計5カ所を家宅捜索した。【寺田剛】
◇都市計画のエキスパート
市によると、早川容疑者は74年に採用され、主に建設局で勤務。93年以降は宅地課で開発計画の審査業務を担当し、今年4月に宅地課長になった。上司の要望もあり、15年以上連続して宅地関係の仕事を続けてきた。同僚の一人は「法律関係にも詳しく、職員みんなから頼りにされていた。借金の話は聞いたことがなかった」と驚きを隠さなかった。
藤代孝七市長は「職員が逮捕され誠に遺憾。早急に事実関係を把握し、厳正に対処する」とコメント。松本副市長は会見で「今後、原因究明を徹底して再発防止に努め、市の行政に対する信頼回復に努めたい」と述べた。
21日夜には県警が市役所を家宅捜索。職員らが不安げな表情で見守る中、宅地課の早川容疑者の机などから関係書類を押収した。
◇宅地課は「窓口」 独断で許可できず
今回、贈収賄事件の舞台となったのは、同市芝山6の市街化区域6779平方メートルでの宅地開発。04年8月に申請があり、1年後の05年8月に許可。39戸が既に完売している。
事業者は宅地課に事前申請を提出後、道路や下水道関係など複数の課との協議を経て本申請し、すべての条件が整った段階で許可が下りる。早川容疑者は手続きがスムーズに進むよう担当者を一堂に集めるなどの便宜を図っていたとみられる。家・スタイルは、03〜08年度に8件申請し許可されていた。
市建築部によると、宅地課の役割は「窓口」に過ぎず、課長や主幹には、本来許可が出ないものに許可を出せるような権限はないという。
船橋市では、都市計画法で開発が厳しく制限されている市街化調整区域でも宅地開発が進行し、「自然環境への影響が深刻」と問題視する声が出ていた。
◇600万円は現金か 贈賄容疑会社社長、2回に分け手渡す
早川容疑者は、建築会社「家・スタイル」社長、飯田洋三郎容疑者(61)=贈賄容疑で逮捕=から300万円の小切手を受け取った後、庁舎内で600万円の現金を受け取った可能性が高いことが、県警捜査2課の調べで分かった。
追加の600万円は、飯田容疑者が2回に分けて渡したとみられるが、相当額の小切手や、現金化した記録は残っていない。県警は、「900万円ほど貸してほしい」との早川容疑者からの要請に応じ、飯田容疑者が残り600万円を現金で渡したとみている。早川容疑者は「ありがたかった」などと供述し、わいろを受け取ったことを明確に認識していたという。
県警は21日夜、船橋市役所や、同市にある家・スタイルの本社、本店、両容疑者の自宅の計5カ所を家宅捜索した。【寺田剛】