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【産経抄】8月4日
このニュースのトピックス:産経抄
8月に衆院予算委員会で、本格的な論戦が行われたのは、森喜朗内閣以来10年ぶりだとか。菅直人氏にとっても首相として臨む初めての予算委とあって、真夏の熱い論戦を期待したが、期待した方がばかだった。首相答弁はことごとく逃げ腰で、消費税も普天間も先送りする方針を繰り返しただけだった。
▼唯一、首相らしさをみせたのは、平沢勝栄氏に「ラジオで君が代斉唱を拒否した」と指摘された場面のみ。「違う!」と自らヤジを飛ばし、「きちんと証拠をあげていただきたい」と気色ばんだ。番組のキャスターだったミッキー安川さんは鬼籍に入っており、死人に口なしと踏んだのだろうか。
▼首相は「小中学校から、国歌を斉唱しなかったとか、そういう態度をとったことはありません」と胸を張ったが、その言や良し。それほどまでの愛国心があるならば、日韓併合100年にあわせて検討している首相談話もとりやめるべきだ。
▼この件では、野党より民主党・松原仁氏の「さまざまな談話で日本外交に大きな問題が出た」という指摘の方が鋭かった。慰安婦に関する河野洋平官房長官談話と、戦後50年を期し村山富市首相が「侵略戦争」を謝罪した談話は、今でも災いをもたらしている。
▼ご両人とも「いい人」なのだが、日本の国益を考える政治家ではなかった。当時の事情をよく調べもせず、謝っておけば東アジア関係は良くなると信じたのだろうか。一度謝れば、もっと謝れとなるのが国際政治だ。
▼日韓併合に関しては、いまだにさまざまな意見がある。歴史に名を残したい野心はわかるが、無理して談話にまとめれば、汚名が残るだけだ。静かにやり過ごすことも大人の政治家の知恵である。