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姿を変えた植田ジャパン(1/2)
世界バレー男子第1ラウンド
2006年11月23日
(文=米虫紀子)
山本の腕に、スーパーエース型布陣の未来が託された【 (C)坂本清 】
オプションだったスーパーエース型布陣
エジプト戦で幕を開けた全日本男子の世界選手権。その開幕戦でセッター対角に入ったのは、スーパーエース・山本隆弘(松下電器)だった。
それは、突然の方向転換にも映った。
セッターの朝長孝介(堺)は言う。「最初の2戦は、すごく戸惑いがありました。以前は、まずスーパーエースを使わないパターンでいって、駄目だったらスーパーエースを使う、というような感じだったから……」
スーパーエースとは、サーブレシーブをしない、いわば攻撃専門のポジション。全日本の植田辰哉監督は、2004年11月の監督就任時、「今は、スーパーエースを置くことは考えていない」と話した。さらに、スーパーエースについては、「ほかの選手にはない高さとパワーがあり、なおかつ『全部おれが決めてやる』という強い気持ちを持ち、必死になってトスを呼び、上げてくれたセッターや拾ってくれた選手に感謝して、周りのムードも高められる選手であれば、スーパーエースを置くことも考える。しかし、残念ながら今はそういうハートのある選手がいない」と、2004年までの全日本で不動のスーパーエースだった山本に対し厳しい評価をした。
「単調なサイド中心の攻撃では世界に通用しない。日本は、世界一複雑なコンビ(バレー)をしなくては」(植田監督)
昨年の植田ジャパンは、コンビバレーを第一のコンセプトに掲げ、スーパーエースを置かずに戦った。代わりにセッター対角に入ったのは、荻野正二(サントリー)など守備力と機動力のあるサイドアタッカーだった。
「機動力のある選手がセッター対角にいることで、センターとサイドを絡めたコンビのバリエーションを広げられる」(植田監督)
コンビバレーを目指した植田ジャパンは、2005年4月の招集から約5カ月後の9月、アジア選手権で優勝という結果を出した。同11月のワールドグランドチャンピオンズカップは、2勝3敗の結果ながら、ブラジル、アメリカという強豪に善戦。サーブレシーブがセッターに返った時のコンビは世界にも通用すると分かった。一方で、サーブレシーブが崩れ、コンビが使えない時の決定率が極端に落ちるという課題も見えた。
その課題を修正するため、今年は山本や直弘龍治(JT)など、スーパーエースを全日本に選抜した。植田監督は特に山本に対し、「もっと声を出して、自分からトスを呼べ」などと厳しい言葉を掛け続けた。
しかしベースは、セッター対角に荻野や同じタイプの千葉進也(堺)が入る布陣(守備型)。7、8月のワールドリーグでもその方針は変わらず、スーパーエースはあくまでも、サーブレシーブが崩される展開になり、二段トスを打ち切る選手が必要になった場合の“打開策”という位置付けで、攻撃の主軸ではなかった。
<続く>
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