徳山生コンクリート(株)/特別清算
生コンの徳山生コンクリート(株)(大阪市港区海岸通3-4-82、代表清算人:藤崎厚二)は、7月29日特別清算の準備に入った。負債総額は約28億円が見込まれている。
同社はトクヤマの100%子会社であるが、建設不景気から採算が取れず、トクヤマが清算させるものである。同社へはトクヤマからの貸付金が20億円超あり、金融機関からの借入金はない。トクヤマは貸付金のほかセメント等の売掛金も特損計上されるが、負債の殆どを面倒見ることになろう。
生コン業界は、バブル時代の過剰生産設備問題から、業界により大規模なキルンの削減が行われているが、セメント生産における原油高がセメント製造原価を直撃しているものの、建設不況により生コンの販売価格には反映されず、セメント業界も生コン業界も苦しい状況に陥っている。
大阪では、生コン組合や生コン運送業界がストを打つほど、経営は厳しくなっている。
次は7月10日のニュースから
大阪の製造を担う生コン製造業者約90社が、7月5日までに無期限の出荷停止を宣言。
工場の操業をストップさせた。これは、大阪府内の全生コン業者の7割に相当する数字だ。 さらに12日からは、生コンをミキサー車で工事現場に搬送する主要圧送業者のほぼ全社にあたる約60社までもが全面ストライキに入ると宣言。このまま事態の打開が図られなければ、事実上、大阪府内の現場ではほとんどの工事が止まることになる。(実際ストップした)
そもそもの理由は、生コン業界の窮状にある。生コン製造業者は、メーカーからセメントを買い、水や骨材などと混ぜ合わせて生コンを製造。それを商社などを通してゼネコンに販売する。そのほとんどが中小零細企業で、地域ごとに組織された共同組合を通じて仕事の受注および生コンの販売を行う。各地の共同組合は、組合員への仕事の分担およびゼネコンへの販売価格の交渉を担っている。
ところが、最近生コン業者は「原価割れで生コンを出荷することを余儀なくされてきた」(連帯ユニオン関西地区生コン支部・高英男副執行委員長)という。例えば、大阪広 生コン共同組合の場合、組合員の生コン原料の購入価格は1立方メートルあたり 1万4800円。これは、14年前と比較すると500 円上がっている。
ところが、販売価格は「ひどい時には1万円を切る価格で取引されている。このままでは大阪府内で 生コン会社が大量に倒産する。存続をかけて最後の戦いに踏み切らざるをえなかった」(同)という。
生コン産労・全港湾・連帯ユニオンなどの各関連労働組合は、ゼネコンとの価格交渉を行う生コン共同組合に対し、生コン業者が営業を存続できる1万 8000円の納入価格を実現するよう要求。交渉が進展するまで無期限ストを行うと通告した。労働組合の通告を受け、現在、生コン商社、生コン協同組合、ゼネコン間での交渉が続いている。国内の建設投資が冷え込むなか、建設資材費の圧縮要求は年々強まっている。その末端に位置する生コン業界がついに翻した“反旗”ともいえる。「大阪で大規模工事を抱える大手ゼネコンの影響は免れない」(ゼネコン業界幹部)。市場縮小の痛みを下請けに回し続けたツケがついに回ってきた。
と報じている。
生コンは、製造から現場納品までの所要時間が90分以内と決められている。製品が劣化して生コンの性能が維持できなくなる。夏場は特に60分以内が限度と生コン会社は述べている。そうしたことから、生コンの製造プラントは、現場近くに所在する必要があり、色々な生コン会社が乱立してきた。セメント系や独立系に分かれ、生コン製造とミキサー運送を分かれている会社もある。
こうしたことから、各地に組合が結成されているが、組合非加盟のアウトサイダーも多く、価格改定は難しいといわれている。しかし大阪では現場納品を組合加盟社が一斉にストップするという強硬手段に訴えたようだ。
各地の生コン組合は、ゼネコンから頭を抑えられ、アウトサイダーから揺さぶられ続けてきた業界である。