2010年8月4日 06時13分

ストレスから脳守るたんぱく質=うつ病治療で応用に期待―群馬大など

 脳内に豊富に存在するたんぱく質「SIRPα」が、ストレスから脳を守る機能を持っていることを群馬大、大阪大などの研究グループがマウスの実験で突き止め、4日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した。研究が進めば、うつ病やストレス性疾患などの治療で応用が期待できるという。

 SIRPαは神経細胞に突き刺さるように存在する分子。アンテナのような部分があり、別の神経細胞からの信号を受け取る役割を持つ。

 研究グループは、遺伝子操作でこのたんぱく質を無くしたマウスを強制的に水槽で泳がせ、ストレスを与え実験。水槽から逃げ出すのをあきらめ動かない状態を「うつ状態」とし、正常なマウスと遺伝子操作したマウスを比べると、うつ状態を示す無動時間は正常なマウスの方が2割程度短かった。

 実験後マウスの脳を調べたところ、SIRPαは別のたんぱく質と結合し、リン酸が加わるなど変化が生じていた。この変化が神経細胞に影響を与え、ストレスから脳を守っている可能性が高い。

 的崎尚群馬大客員教授(生化学)は「うつ病の原因はまだよく分かっていない。SIRPαの機能を詳しく調べることで、新たな治療薬の開発も期待される」としている。