■効果
わが家は、省エネルギーよりも少し低いランクの断熱性能です。ましてや完成している建物です。そのため、とりあえず触れる部分は天井しかないので、天井の断熱材の厚みを倍にし、2カ所の大きな窓の高断熱化をしたのですが、その効果はびっくりするぐらい高いです。では、どんな効果があったのでしょうか。
注:2009年は冷夏であったため、夏を通しての比較ではなく、猛暑日となったような暑い日を、前年までとの比較対象としています。
■室温の暑くなるのが遅い
簡単なイメージとしては、毎年昼の12時ぐらいから室温が30度を超え始めるのに、断熱材を厚くしてからは、夕方にならないと超えない。暑くなるのが2〜3時間程度遅くなる感じです。そのため、冷房をかける時間が少なくてすむとも言えますし、常時かけるなら弱い冷房で済む・・とも言えます。
最初は、外壁から入ってくる熱もあるので、外壁の断熱は変わっていない以上、それほど効果は無いのでは・・と思っていたのですが、天井の断熱材を厚くするだけでも大違い。さすがに四六時中太陽の熱を浴びている天井の断熱効果は大きいです。
■エアコンが良く効く
また、夕方、あるいは夜になってエアコンをかけても非常に効きが良くなったという感じがあります。イメージとしては、今まではエアコンをかけてから室内が冷えたと感じるのに、強送風でうるさく送風機が廻り15〜20分程度かかっていたのが、10分もかからずに、すっーとエアコンが効いていく・・という感じです。
つまり、断熱を強化することで、
1.室内温度の上昇が2〜3時間抑えられた
2.エアコンの効きが非常に良くなった(遮熱ペアガラスなどの関係もあります)
■全館空調は可能か?
外気温30℃から31℃程度の比較的涼しいときは、右図のダイニングキッチンか、リビングのエアコン1台だけで、全ての部屋と廊下、階段を冷房することが可能でした。
この建物自体はそもそも全館空調など考えたこともないですから、図のようにダイニングキッチンと廊下とリビングはドアで仕切られ、かつ、風が通りにくい間取りです。それでも図のA.B.Cのドアを開け、かつ、扇風機かサーキュレーターをAのドア当たりで回しておくだけで、ダイニングキッチン、廊下、寝室、リビングの合計20帖前後の部屋が、わずかに10帖用クラスのエアコン1台でまかなうことが可能でした。(寝室とリビングのDの部分はもともとオープンです)
ただ、さすがに外気温が33℃程度を越えると、エアコンの能力もさることながら、やはり、エアコンの風を室内全域に行き渡らせること自体が難しくなり、2台のエアコンは必要です。それでも効きは早いですね。
そして、建物計画時から、ダクトタイプの全館空調システムを入れておけば、その広さに応じた大きなエアコンでなくても十分に全館空調が可能だと感じました。
余談:よく次世代省エネルギー仕様で建てたから、エアコン1台で大丈夫だ。と言う話を聞きますが、いわゆる酷暑日(35℃超え)のような日になると、それは不可能だと思います。このような説明は、高断熱な住宅は少ないエアコンで快適に過ごせるといった趣旨で捉えればいいでしょう。この場合でもエアコンの風をどういう風に他室に流せるかと言った工夫がなければ、実際にはエアコン1台で・・という宣伝文句はその通りの結果を生むことはないと思います。
つまり、いくら高断熱の住まいでも、エアコン1台ですますためには、それなりの工夫が必要・・と言うこと。そして、その地域の最高気温の高さに大きく関係してきます。夏の気温が暑くても30℃から31.2℃程度に収まるあまり暑くない地域なら可能でしょう。でも最高気温が常に35度前後の日が幾度と無く訪れるような地域では不可能です。言い換えれば、地域によって大きく異なり、一律的に話の出来る事ではないと言うことですね。
インターネットで見かけた記載を、その地域性や間取り(細かく区切られた間取りか、開放的な間取りかなど)を無視して一方的に判断するのは危険ですよ!!
★何よりも良かったことは!!!
それは、冷房が良く効くため廊下まで気にせずに冷房出来ると言うこと。
夏でも冬でもそうですが、冷暖房の効いた部屋から、効いていない廊下などに出入りする不快感を感じさせず、これこそがもっとも快適と感じた部分です。
この断熱化の前にエアコンの24時間運転を試みた・・と書きましたが、この時点(天井断熱の強化をしていない時期)では廊下まで開放してしまうと、やはり無理があり、それが可能だったのはせいぜい夜に入ってからでしたが、天井断熱を厚くしてからは日中でも廊下を開け放して全館冷房的に運転しても、全く支障ありませんでした。
何よりも良かったこと。それは、高断熱化によってエアコンの効きが良くなり、一つや二つの室内だけが冷暖房が効くだけでなく、全てが均一な室温になると言う快適さ。温度ドラフトの不快さを感じない快適さだったのです。
(もっとも、ついつい今までの癖で、ドアを閉めてしまいますが)
■遮熱ペアガラス+すだれ+遮熱カーテンは劇的効果
もう一つ劇的だったのは、シングルガラスを遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)に変えた東側の窓です。
隣家もなく、広い駐車場だったために今までずっと暑かった夏の朝日の直射も、夕方の西日の照り返しもウソのように無くなりました。この窓は遮熱ペアガラスに変えたことと同時に、すだれをし、室内は遮熱のレースカーテンを付けるトリプル効果もあります。
右の図は、ガラスの種類の違いと日射遮蔽率の違いです。その効果のほどがよく分かると思います。もちろん、実際には、いくら遮熱ガラス+すだれ+遮熱カーテンをしたところで、数字上12%の熱は入っています。でもシングルガラスとの実体験の印象では、ほとんど無くなった・・と感じるほどの差を感じます。
今から新築を考える人にとって、直射日光の日射を避けたい人は、遮熱ペアガラス+すだれ+遮熱カーテンは絶対のお勧めアイテムです。
■なぜ、インナーサッシ
南の窓は遮熱ペアガラスへの交換ではなく、インナーサッシを取り付けて二重サッシにしました。その理由は、この窓は庇を1.35mほども長くしているため夏でも直射日光が差し込まないことと、遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)にしてしまうと、せっかくの冬のぽかぽかした日射しが無くなるからです。(Low-Eガラスとは、熱を反射してしまう遮熱だからですね)この場所は、冬のわが家のワンコの格好のうたた寝スペースなんですね。
インナーサッシの窓を片方に引き寄せれば、片方は昔のシングルガラス1枚の窓になります。暖かい冬の日は、ポカポカした日射しが床一面に広がり、人間も犬たちもまどろみを誘うに十分な陽気を与えてくれます。
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