マラソンの高橋尚子選手が引退されるそうな。
彼女自身のキャラクターはとっても好感が持てるし、何とも残念な気持ちで一杯ではあるのだが・・・・・
ただ、彼女が独立してプロスポーツ選手となってから、ついたスポンサーがねぇ・・・・・
如何にも怪しげな健康系グッズを売ってる会社なモンで、最近は彼女の走る姿を見ても、素直に応援しにくかったんだよなぁ・・・・・
だって、大きいレースで優勝したり記録出したりしたら、ソレを出汁にして『自分とこの製品のおかげ』みたいなイメージで怪しげグッズを売りかねんからねぇ。
まぁ、スポーツと芸術と学問は、パトロンが居て初めて生業として成り立つ業界やからねぇ。無理からぬことでは、あるんやけども。
2008年10月28日
2008年06月10日
代理店
基本的にヒトに宣伝してないブログなので、必然的に普段は閑古鳥が鳴いてるのだが、急にアクセス数が増えたので何かいな？と思たら、どうやら例の怪しげな宣伝文句の水着素材ネタで、誰ぞが２ｃｈの板でリンクを貼ったらしい。
まぁ、こんなモンは一過性やから一週間もしたら、元に戻るやろけどね。
で、今日、あのスピード社の水着の日本国内の販売代理店であるゴールドウインの株価が急上昇したとのニュースを見て、なんか言いようのない脱力感が・・・・・
いや、今回のレーザーレーサーとは関係ないんやけど、ゴールドウインも山本化学と同じく、『怪しい遠赤商品』売ってる会社なんよんねぇ(笑)
その名も
遠赤保温素材「光電子」！！
その説明は、当然のことながら中々に香ばしく、曰く
『人体から放射される遠赤外線よりも多い遠赤量を身体に送り返す』
なんて、エネルギー保存則が崩壊しそうな内容もあれば、
『遠赤外線は水に吸収されやすく、水分子を細かくする作用があります。』
等と、水の分子までを分解(！！)してしまう驚異の効果（←ソレって、もう水と違うものやんｗ）を発揮すると言う主張など、まぁ判ってる人間が見れば、アホらしいの一言なのである。
だいたい、人体から出た赤外線を、また人体に送り返したければ、放射率の高い素材を使うなんてぇのは、一番やってはイケないことで、本来なら放射率が小さく赤外線を『反射』する素材でなければ話にならんはずやのに、全く理屈を理解してはらへんのやねぇ。
しかし、なんで今回の水着で名を揚げる会社は、こう怪しげな遠赤屋さん関係が目立つのかねぇ。
まぁ、こんなモンは一過性やから一週間もしたら、元に戻るやろけどね。
で、今日、あのスピード社の水着の日本国内の販売代理店であるゴールドウインの株価が急上昇したとのニュースを見て、なんか言いようのない脱力感が・・・・・
いや、今回のレーザーレーサーとは関係ないんやけど、ゴールドウインも山本化学と同じく、『怪しい遠赤商品』売ってる会社なんよんねぇ(笑)
その名も
遠赤保温素材「光電子」！！
その説明は、当然のことながら中々に香ばしく、曰く
『人体から放射される遠赤外線よりも多い遠赤量を身体に送り返す』
なんて、エネルギー保存則が崩壊しそうな内容もあれば、
『遠赤外線は水に吸収されやすく、水分子を細かくする作用があります。』
等と、水の分子までを分解(！！)してしまう驚異の効果（←ソレって、もう水と違うものやんｗ）を発揮すると言う主張など、まぁ判ってる人間が見れば、アホらしいの一言なのである。
だいたい、人体から出た赤外線を、また人体に送り返したければ、放射率の高い素材を使うなんてぇのは、一番やってはイケないことで、本来なら放射率が小さく赤外線を『反射』する素材でなければ話にならんはずやのに、全く理屈を理解してはらへんのやねぇ。
しかし、なんで今回の水着で名を揚げる会社は、こう怪しげな遠赤屋さん関係が目立つのかねぇ。
2008年05月12日
ラバー
今日、目に留まった新聞記事。
スポーツニッポン 2008年05月11日
『スピード社に負けない！日本競泳界に救世主』
＊＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊＊
水着問題で揺れる日本競泳界に、救世主が浮上した。日本水泳連盟から３０日までに水着の改良を求められている国内３社に、山本化学工業（本社大阪市）が素材を提供することが１０日、分かった。複合特殊素材メーカーの同社は、世界新を連発している英スピード社に負けないと自信満々。米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）と共同開発したスピード社に、従業員７３人の企業が真っ向勝負を挑む。
山本化学工業・山本富造社長（４９）の自信は本物だった。「日本製より英国製がいいと言われるのが頭にきていた。絶対、スピード社より速いです」。ＮＡＳＡとの共同開発を売り文句に、世界トップのブランド力を誇るスピードを向こうに回し、ナニワの技術屋の熱い血が沸騰した。
競泳界では無名の同社だが、トライアスロンやオープンウオーター（遠泳）の世界では知られた名前だ。６年前から世界のメーカーの依頼を受け、アウトドア用の水着素材開発に着手。表面に水の分子を吸いつけるラバー加工を施し、低抵抗性を実現した「バイオラバースイム＝ＳＣＳファブリック」を完成させた。
スピード社製は撥水（はっすい）性の高さで有名だが、山本化学工業の素材も水が全く浸透しないため、水中でも重さが変わらないという。この素材は既にニュージーランドのブルーセブンティー社が使用して商品化。国際水連（ＦＩＮＡ）の認可も受けた。４月上旬に関大で行ったテストでは、選手から「体が浮く感じがすると言われた」と森本雅彦執行役員。スピード社と同じように浮力を感じる水着だという。
昨年１０月に日本水連と契約するミズノ、アシックス、デサントの３社に持ち込んだ際には断られた。だが、今回は逆に３社から別々に素材の提供を求められ、９日にテスト用素材の納品を済ませた。「五輪で、日本の技術屋は大したものだと思ってもらえれば、それだけでいい」。山本社長以下、従業員わずか７３人の大阪の町工場が、世界に挑む。
≪各社 本格始動≫当初、新たな素材の開発、使用に消極的だった国内３メーカーは、日本水連が３０日を水着改良の期限と設定し、目標がはっきりしたことで本格的に動きだした。３社が五輪用に開発した水着は、親水性や柔軟性、フィット感などを重視したもので、撥水性を前面に出したスピードとは対照的だった。３社は既に山本化学の素材を入手。デサントの担当者は「あらゆる可能性を探る中での１つの素材」と説明し、アシックスの担当者は「商品化も検討している」と前向きだった。
＊＊＊＊＜以上＞＊＊＊＊
いや、普通なら『ニッポンの中小企業の底力、スゴいぞぉっ！！』ってなる訳やが、同記事中の説明にある『表面に水の分子を吸いつけるラバー加工を施し』と言う一文に引っ掛かった。
『水の分子を吸いつける』って、どういうことよ？？
どうにも状況がイメージ出来ず、なんか微妙に『香ばしい』臭いが立ち上ってくるのだなぁ。
おなじことに関する記事がフジサンケイビジネスアイにも出ていたが、コチラはスポニチよりは、若干引いた感じの表現に読める。
『水連「スピード」水着対策要請 スポーツ用品３社 困惑・悲鳴』
＊＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊＊
複合特殊素材メーカーの山本化学工業（大阪市）が、スピード製より水の抵抗を減らしたハイテク素材を開発。これを使った海外メーカーの水着が国際水連の認可を取ったため、日本の３社は水連からの水着改良要請もあり、山本化学に素材提供を要請。同社も試作品に必要な約５平方メートル分の素材を無償提供した。山本富造社長は「日本の製造業が力を合わせれば、世界最高水準の水着が生み出せるはず」と応援する。
現時点で３社がこの素材を使うかどうかは未知数。デサントは「素材の一からの再開発は時間的に厳しいが、これまで完成した水着をベースに、別の素材を使うなどで付加価値を付けられるのでは」と可能性を模索する。アシックスも「何としても競技者に満足してもらえる水着を完成させたい」と、山本化学製素材の活用も含む複数の改良品の開発に着手している。
だが、３０日の期限まで残された時間は３週間弱。試作品の仕上げだけでなく、実際に競技者に着用してもらった上での調整、水連への報告なども含めると残された時間はあまりに少ない。水連がスピード製の使用を一転して認める可能性も排除できない。
＊＊＊＊＜以上＞＊＊＊＊
で、山本化学工業のＨＰを見に行ってみると、どうやらスポーツ用の商品紹介にある、『魚の泳ぎに学んだ水着を開発』と言うのがコレにあたるらしい。
曰く、
『マリンスポーツの新しい試みとして開発したのが、ラバー素材の水着です。これは魚のウロコにラバーの特質を組み合わせることで、水の分子を表面に抱え込む構造をつくり、水分子どうしを衝突させて泳ぐスピードを向上させたものです。従来の水着の抵抗値1.3〜1.5に対して、0.029（ともにcdf値）を実現。今後の記録更新に、大きな期待が集まっています。』
・・・・・・・
やっぱり判らん。
だいたい、魚の鱗に『水の分子を表面に抱え込む構造』なんてあるのか？
しかも、なんでその構造にしたら『水分子どうしを衝突』させることに繋がるのか判らんし、その上、その衝突がなんで水の抵抗を下げるのか全く理解でけへん。
それと『水着の抵抗値』って単位はなんやろ？無次元ってことは何かの係数なんかな？
そかも『ともにcdf値』って、『ＣＦＤ（数値流体力学）』の間違いやろなぁ（笑）
ちゅうことは、実測値と違て単に計算しただけの数字ってことかいな。
やっぱり、微妙・・・・
【追記】
このエントリーを書いて一晩寝た後で、ハタと気がついた。
もしかして『cdf値』って、『ＣＤ値（抗力係数）』のことやないかな？
普通はこんな書き方はせんと思うんやけどなぁ。
ほな、最後の『ｆ』は何のことかと考えたら、『摩擦（friction）』のことか？？
もし、この場合は抵抗値が実測値の可能性がある訳で、そうであるならワタシの懸念は『水着に対してのみ、理屈を除いて、濡れ衣』である模様。（本当にそうならね。）
これなら、少しは期待出来る？？
【さらに追記】
さっき、ＮＨＫのニュースでも、この会社の製品を取り上げてたけど、その説明のアニメーションを見ても、やっぱり理屈は？？？でんなぁ。
【追記終わり】
まぁココまでやったら、ワタシの知識が不足してるせいで『濡れ衣』かけた可能性も大きいんやけど、同じく同社の宣伝してる『バイオラバー』ってぇのが、香ばしい臭いが、かなりキツいんよなぁ(笑)
なんせ、曰く
『ふつうラバーといえば、石油からつくられています。しかし、私たちのラバーは炭酸カルシウムを99.7％以上含む高純度の石灰石をベースにしています。さらに、私たち独自の技術により、このラバーはミクロの気泡によるハニカム構造になっています。この構造に、貴金属鉱物を混入させることで、人体に好影響を与えるバイオウェーブ（波長4〜25ミクロンの赤外線）が発信されます。』
でっせ！！
『人体に好影響を与えるバイオウェーブ（波長4〜25ミクロンの赤外線）』って、要するに遠赤屋さんなのね。
だいたい、遠赤なんてそこら中から出てる訳で、普通すぎて全然特別なもんやあらへんし、『人体に好影響』なんて話でマトモなヤツ、聞いたことあらへん。
全然、遠赤外線出しません言うんやったら、メッチャ驚くんやけどねぇ・・・
そこには
『ASCO(米国癌治療学会)にて、2005年5月13日・2007年2月23日に正式承認を受けました。米国でバイオラバーの医療における学術的な確かさが高く評価をされています。』
って書いてもあるんやけど、普通、学会が『承認』とか言う業務行うか？
と言うか、『何』としての承認をしたの？
それって、単に論文を掲載して貰えたってだけと違うの？
また、同社のＨＰからリンクを貼ってある販売代理店のＨＰには、
『○この特殊な新素材からは、太陽の黒点をも越える波長4〜25ミクロの高レベルな赤外線（バイオウェーブ）が発信されています。（島津テクノリサーチ調べ）バイオウェーブと人体の波長が共振することで、体の中の水分子やタンパク質分子が均一化され、自然の治癒力増進・健康維持が期待できます。』
なんて、意味不明な上に、薬事法に引っ掛かりそうな宣伝文句まで書かれてるし・・・・
まぁ、少なくとも水着用の素材が、理屈の怪しさは兎も角として、宣伝文句通りの効果を実際に出してくれることを祈りましょう。
スポーツニッポン 2008年05月11日
『スピード社に負けない！日本競泳界に救世主』
＊＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊＊
水着問題で揺れる日本競泳界に、救世主が浮上した。日本水泳連盟から３０日までに水着の改良を求められている国内３社に、山本化学工業（本社大阪市）が素材を提供することが１０日、分かった。複合特殊素材メーカーの同社は、世界新を連発している英スピード社に負けないと自信満々。米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）と共同開発したスピード社に、従業員７３人の企業が真っ向勝負を挑む。
山本化学工業・山本富造社長（４９）の自信は本物だった。「日本製より英国製がいいと言われるのが頭にきていた。絶対、スピード社より速いです」。ＮＡＳＡとの共同開発を売り文句に、世界トップのブランド力を誇るスピードを向こうに回し、ナニワの技術屋の熱い血が沸騰した。
競泳界では無名の同社だが、トライアスロンやオープンウオーター（遠泳）の世界では知られた名前だ。６年前から世界のメーカーの依頼を受け、アウトドア用の水着素材開発に着手。表面に水の分子を吸いつけるラバー加工を施し、低抵抗性を実現した「バイオラバースイム＝ＳＣＳファブリック」を完成させた。
スピード社製は撥水（はっすい）性の高さで有名だが、山本化学工業の素材も水が全く浸透しないため、水中でも重さが変わらないという。この素材は既にニュージーランドのブルーセブンティー社が使用して商品化。国際水連（ＦＩＮＡ）の認可も受けた。４月上旬に関大で行ったテストでは、選手から「体が浮く感じがすると言われた」と森本雅彦執行役員。スピード社と同じように浮力を感じる水着だという。
昨年１０月に日本水連と契約するミズノ、アシックス、デサントの３社に持ち込んだ際には断られた。だが、今回は逆に３社から別々に素材の提供を求められ、９日にテスト用素材の納品を済ませた。「五輪で、日本の技術屋は大したものだと思ってもらえれば、それだけでいい」。山本社長以下、従業員わずか７３人の大阪の町工場が、世界に挑む。
≪各社 本格始動≫当初、新たな素材の開発、使用に消極的だった国内３メーカーは、日本水連が３０日を水着改良の期限と設定し、目標がはっきりしたことで本格的に動きだした。３社が五輪用に開発した水着は、親水性や柔軟性、フィット感などを重視したもので、撥水性を前面に出したスピードとは対照的だった。３社は既に山本化学の素材を入手。デサントの担当者は「あらゆる可能性を探る中での１つの素材」と説明し、アシックスの担当者は「商品化も検討している」と前向きだった。
＊＊＊＊＜以上＞＊＊＊＊
いや、普通なら『ニッポンの中小企業の底力、スゴいぞぉっ！！』ってなる訳やが、同記事中の説明にある『表面に水の分子を吸いつけるラバー加工を施し』と言う一文に引っ掛かった。
『水の分子を吸いつける』って、どういうことよ？？
どうにも状況がイメージ出来ず、なんか微妙に『香ばしい』臭いが立ち上ってくるのだなぁ。
おなじことに関する記事がフジサンケイビジネスアイにも出ていたが、コチラはスポニチよりは、若干引いた感じの表現に読める。
『水連「スピード」水着対策要請 スポーツ用品３社 困惑・悲鳴』
＊＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊＊
複合特殊素材メーカーの山本化学工業（大阪市）が、スピード製より水の抵抗を減らしたハイテク素材を開発。これを使った海外メーカーの水着が国際水連の認可を取ったため、日本の３社は水連からの水着改良要請もあり、山本化学に素材提供を要請。同社も試作品に必要な約５平方メートル分の素材を無償提供した。山本富造社長は「日本の製造業が力を合わせれば、世界最高水準の水着が生み出せるはず」と応援する。
現時点で３社がこの素材を使うかどうかは未知数。デサントは「素材の一からの再開発は時間的に厳しいが、これまで完成した水着をベースに、別の素材を使うなどで付加価値を付けられるのでは」と可能性を模索する。アシックスも「何としても競技者に満足してもらえる水着を完成させたい」と、山本化学製素材の活用も含む複数の改良品の開発に着手している。
だが、３０日の期限まで残された時間は３週間弱。試作品の仕上げだけでなく、実際に競技者に着用してもらった上での調整、水連への報告なども含めると残された時間はあまりに少ない。水連がスピード製の使用を一転して認める可能性も排除できない。
＊＊＊＊＜以上＞＊＊＊＊
で、山本化学工業のＨＰを見に行ってみると、どうやらスポーツ用の商品紹介にある、『魚の泳ぎに学んだ水着を開発』と言うのがコレにあたるらしい。
曰く、
『マリンスポーツの新しい試みとして開発したのが、ラバー素材の水着です。これは魚のウロコにラバーの特質を組み合わせることで、水の分子を表面に抱え込む構造をつくり、水分子どうしを衝突させて泳ぐスピードを向上させたものです。従来の水着の抵抗値1.3〜1.5に対して、0.029（ともにcdf値）を実現。今後の記録更新に、大きな期待が集まっています。』
・・・・・・・
やっぱり判らん。
だいたい、魚の鱗に『水の分子を表面に抱え込む構造』なんてあるのか？
しかも、なんでその構造にしたら『水分子どうしを衝突』させることに繋がるのか判らんし、その上、その衝突がなんで水の抵抗を下げるのか全く理解でけへん。
それと『水着の抵抗値』って単位はなんやろ？無次元ってことは何かの係数なんかな？
そかも『ともにcdf値』って、『ＣＦＤ（数値流体力学）』の間違いやろなぁ（笑）
ちゅうことは、実測値と違て単に計算しただけの数字ってことかいな。
やっぱり、微妙・・・・
【追記】
このエントリーを書いて一晩寝た後で、ハタと気がついた。
もしかして『cdf値』って、『ＣＤ値（抗力係数）』のことやないかな？
普通はこんな書き方はせんと思うんやけどなぁ。
ほな、最後の『ｆ』は何のことかと考えたら、『摩擦（friction）』のことか？？
もし、この場合は抵抗値が実測値の可能性がある訳で、そうであるならワタシの懸念は『水着に対してのみ、理屈を除いて、濡れ衣』である模様。（本当にそうならね。）
これなら、少しは期待出来る？？
【さらに追記】
さっき、ＮＨＫのニュースでも、この会社の製品を取り上げてたけど、その説明のアニメーションを見ても、やっぱり理屈は？？？でんなぁ。
【追記終わり】
まぁココまでやったら、ワタシの知識が不足してるせいで『濡れ衣』かけた可能性も大きいんやけど、同じく同社の宣伝してる『バイオラバー』ってぇのが、香ばしい臭いが、かなりキツいんよなぁ(笑)
なんせ、曰く
『ふつうラバーといえば、石油からつくられています。しかし、私たちのラバーは炭酸カルシウムを99.7％以上含む高純度の石灰石をベースにしています。さらに、私たち独自の技術により、このラバーはミクロの気泡によるハニカム構造になっています。この構造に、貴金属鉱物を混入させることで、人体に好影響を与えるバイオウェーブ（波長4〜25ミクロンの赤外線）が発信されます。』
でっせ！！
『人体に好影響を与えるバイオウェーブ（波長4〜25ミクロンの赤外線）』って、要するに遠赤屋さんなのね。
だいたい、遠赤なんてそこら中から出てる訳で、普通すぎて全然特別なもんやあらへんし、『人体に好影響』なんて話でマトモなヤツ、聞いたことあらへん。
全然、遠赤外線出しません言うんやったら、メッチャ驚くんやけどねぇ・・・
そこには
『ASCO(米国癌治療学会)にて、2005年5月13日・2007年2月23日に正式承認を受けました。米国でバイオラバーの医療における学術的な確かさが高く評価をされています。』
って書いてもあるんやけど、普通、学会が『承認』とか言う業務行うか？
と言うか、『何』としての承認をしたの？
それって、単に論文を掲載して貰えたってだけと違うの？
また、同社のＨＰからリンクを貼ってある販売代理店のＨＰには、
『○この特殊な新素材からは、太陽の黒点をも越える波長4〜25ミクロの高レベルな赤外線（バイオウェーブ）が発信されています。（島津テクノリサーチ調べ）バイオウェーブと人体の波長が共振することで、体の中の水分子やタンパク質分子が均一化され、自然の治癒力増進・健康維持が期待できます。』
なんて、意味不明な上に、薬事法に引っ掛かりそうな宣伝文句まで書かれてるし・・・・
まぁ、少なくとも水着用の素材が、理屈の怪しさは兎も角として、宣伝文句通りの効果を実際に出してくれることを祈りましょう。
2008年01月30日
提灯記事
今日､夕刊フジのＷＥＢサイトを見てて、あまりに迂闊な記事を見て、思わず失笑してしまった。
＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊
『キレイと健康をサポート…ボトル缶入り「水素水の力」』
メロディアンは、ボトル缶入りの水素水「水素水の力」（３００ミリリットル、２１０円）を発売中だ。
体に近い中性域の天然水に独自の技術で水素分子を溶かし込んだもの。アルミボトルを使っているので、揮発しやすい水素を逃さない。水素には、シミ・シワ、発がん作用、老化促進、脳梗塞（こうそく）など、体に有害な作用を引き起こす悪玉活性酵素を体内からなくしてくれる働きがあり、たっぷり含まれた水素分子が、体の隅々まで行き渡ってキレイと健康をサポートする。
ZAKZAK 2008/01/29
＊＊＊＜以上＞＊＊＊
いやね、この記事読んだら、この『水素水の力』っちゅう水飲んだら、如何にも『シミ・シワ、発がん作用、老化促進、脳梗塞』に対しての治療あるいは予防効果があるって読める記事なんよねぇ。
まぁ所詮は『夕刊フジ』の記事なんぞにめくじら立てんでもと言う気もせんでもないが、薬事法の第六十六条と第六十八条、それから景品表示法の第四条に抵触する可能性あるんやないかい？もしかして、メロディアンから広告費なんかを貰てたとしたら、グレーゾーンと違て真っ黒になるで。
なんちゅうか、絵に描いたような提灯記事ですがな(笑)
いくら、自分とこの記事の信用低いから言うて、ちとエェ加減過ぎるんやないけ？？
で、メロディアンのサイトを見に行ってみると、もちろんのことながら、またこれも香ばしい。
その理論的根拠として見せている日本医科大の太田教授の研究内容と称する文章は下記のようなものである。
＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊
活性酸素とは呼吸によって体内に取り込まれた酸素の約2%が善玉活性酸素(バイ菌やウィルスと戦う)と悪玉活性酸素(害を及ぼす)に変化します。
また、タバコ、ストレス、激しい運動、紫外線、不規則な生活、食事の偏りなどの現代人が抱える多くの問題で、体内に悪玉活性酸素が過剰に発生しその強い酸化力が、各器官を細胞レベルで攻撃しており、色々な面で諸悪の原因となっているのです。
これらの活性酸素を消去する物質はあるのですが、残念ながら全身に行き渡らなかったり、善玉と悪玉の両方の活性酸素を除去してしまうものもあるのです。
水素については、宇宙で一番小さい分子であり、水と油のどちらでも入り込むことが出来る物質であるため、全身の細胞レベルまで行き渡り、諸悪の根源である悪玉活性酸素だけを穏やかに水に中和し、除去してくれる安全で理想的な物質なのです。
「水素たっぷりのおいしい水」には、水素分子がたっぷりと含まれておりますので、キレイと健康をサポートしてくれます。
＊＊＊＜以上＞＊＊＊
だいたい、医薬品としての認可を受けていない以上、この宣伝文句（特に色を変えた部分）は薬事法第六十六条１項・第六十八条のラインを踏んでいるだろう。
しかも、この太田教授の研究は実際には、試験管内の実験で水素ガスを溶解させた水に細胞を直接浸け込んでいるモノか、もしくはラットに対して水素ガスを吸引させたというものであり、この商品のような
水素ガスを溶解させた水の経口摂取とは、全くの別物である。
よって、コレは第六十六条２項にも抵触しているように思われる。
何というか、怪しさ満開ですねぇ。
【参考】関連法規 引用
○薬事法
第八章 医薬品等の広告
（誇大広告等）
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
２ 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
３ 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
（承認前の医薬品等の広告の禁止）
第六十八条 何人も、第十四条第一項又は第二十三条の二第一項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第十四条第一項若しくは第十九条の二第一項の規定による承認又は第二十三条の二第一項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
○不当景品類及び不当表示防止法
（不当な表示の禁止）
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの
＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊
『キレイと健康をサポート…ボトル缶入り「水素水の力」』
メロディアンは、ボトル缶入りの水素水「水素水の力」（３００ミリリットル、２１０円）を発売中だ。
体に近い中性域の天然水に独自の技術で水素分子を溶かし込んだもの。アルミボトルを使っているので、揮発しやすい水素を逃さない。水素には、シミ・シワ、発がん作用、老化促進、脳梗塞（こうそく）など、体に有害な作用を引き起こす悪玉活性酵素を体内からなくしてくれる働きがあり、たっぷり含まれた水素分子が、体の隅々まで行き渡ってキレイと健康をサポートする。
ZAKZAK 2008/01/29
＊＊＊＜以上＞＊＊＊
いやね、この記事読んだら、この『水素水の力』っちゅう水飲んだら、如何にも『シミ・シワ、発がん作用、老化促進、脳梗塞』に対しての治療あるいは予防効果があるって読める記事なんよねぇ。
まぁ所詮は『夕刊フジ』の記事なんぞにめくじら立てんでもと言う気もせんでもないが、薬事法の第六十六条と第六十八条、それから景品表示法の第四条に抵触する可能性あるんやないかい？もしかして、メロディアンから広告費なんかを貰てたとしたら、グレーゾーンと違て真っ黒になるで。
なんちゅうか、絵に描いたような提灯記事ですがな(笑)
いくら、自分とこの記事の信用低いから言うて、ちとエェ加減過ぎるんやないけ？？
で、メロディアンのサイトを見に行ってみると、もちろんのことながら、またこれも香ばしい。
その理論的根拠として見せている日本医科大の太田教授の研究内容と称する文章は下記のようなものである。
＊＊＊＜以下 引用＞＊＊＊
活性酸素とは呼吸によって体内に取り込まれた酸素の約2%が善玉活性酸素(バイ菌やウィルスと戦う)と悪玉活性酸素(害を及ぼす)に変化します。
また、タバコ、ストレス、激しい運動、紫外線、不規則な生活、食事の偏りなどの現代人が抱える多くの問題で、体内に悪玉活性酸素が過剰に発生しその強い酸化力が、各器官を細胞レベルで攻撃しており、色々な面で諸悪の原因となっているのです。
これらの活性酸素を消去する物質はあるのですが、残念ながら全身に行き渡らなかったり、善玉と悪玉の両方の活性酸素を除去してしまうものもあるのです。
水素については、宇宙で一番小さい分子であり、水と油のどちらでも入り込むことが出来る物質であるため、全身の細胞レベルまで行き渡り、諸悪の根源である悪玉活性酸素だけを穏やかに水に中和し、除去してくれる安全で理想的な物質なのです。
「水素たっぷりのおいしい水」には、水素分子がたっぷりと含まれておりますので、キレイと健康をサポートしてくれます。
＊＊＊＜以上＞＊＊＊
だいたい、医薬品としての認可を受けていない以上、この宣伝文句（特に色を変えた部分）は薬事法第六十六条１項・第六十八条のラインを踏んでいるだろう。
しかも、この太田教授の研究は実際には、試験管内の実験で水素ガスを溶解させた水に細胞を直接浸け込んでいるモノか、もしくはラットに対して水素ガスを吸引させたというものであり、この商品のような
水素ガスを溶解させた水の経口摂取とは、全くの別物である。
よって、コレは第六十六条２項にも抵触しているように思われる。
何というか、怪しさ満開ですねぇ。
【参考】関連法規 引用
○薬事法
第八章 医薬品等の広告
（誇大広告等）
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
２ 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
３ 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
（承認前の医薬品等の広告の禁止）
第六十八条 何人も、第十四条第一項又は第二十三条の二第一項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第十四条第一項若しくは第十九条の二第一項の規定による承認又は第二十三条の二第一項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
○不当景品類及び不当表示防止法
（不当な表示の禁止）
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの
2007年07月06日
トンデモのかほり
世に蔓延る擬似科学やニセ科学などと呼ばれるものの害は徐々に認識されつつあるものの、かと言って充分に理解されているかと言われれば、誠に心許ない限りである。『トンデモ本の世界』が世に出た後のここ１０年ばかりは、マジメに批難するだけではなく、ツッコミと笑いの対象として認識されてきた部分も多く、別途『トンデモ』あるいは『トンデモさん』と言う呼称も生まれた。（と学会が本来提唱する『とんでも』の概念とかなり違ってはいるようだが）
科学(自然科学)とは、人類の得てきた知識や観察してきた事象を、客観的に論じ検証し、普遍的なところにまで昇華させる営みであり、いわば全人類の財産である。疑似科学の中には、科学ではない振りをするものも存在するが、自らの主張が客観的かつ普遍的であると断じていれば、それは科学の枠内の事象であり、科学の流儀に則った作法での議論の俎上に乗せなければならない。
とはいえ、批難するにしてもツッコムにしても、慣れてないヒトにはどうも敷居が高いらしい。目にするモノ、耳にするモノ全てを、客観的･論理的に考え続けるというのは、かなりの労苦であるのは間違いない。しかも、トンデモさんも、教祖系、信者系、商売系などが存在し、またその複合系も多く見られるので、慣れない人間にとってコレを見分けるのは中々やっかいである。
このことは、トンデモに対するツッコミを趣味とする我々も同じで、何でもかんでも精緻に検証していたのでは時間も足らなければ身も持たない。で、どうしているかと言えば、ほとんどの場合は、初見でざっと流したときに、フィルタリングして怪しいのを引っ掛けてる訳である。
基本的にトンデモさんの根底には、『科学に対する無知･無関心』、『自分の行動や考えを疑うコトを知らぬ裏付けを伴わない自信』『論理的思考の欠如』『手っ取り早く判り易さのみを求める横着さ』が共通して存在する。そこで、こういう手合いの主張や文章には、一種独特の『臭い』がするのだ。長年この手の手合いに接すると、かなりの確率で『トンデモ臭』を嗅ぎ分けることが出来るようになる。
ただし、その原因や中味は単純でも、そこから立ち上って来る『臭い』は少々複雑で、思いつくモノだけをざっと分類してみても下記のようになる。もちろん、１つの臭いだけでなく複数が混ざっていることも多い。
【注】下記の分類法や名称などは、筆者によるモノなので、他所に行っても通じない。
＜�機簣斥�構成が『二元論』：
これは、かなり多くのトンデモさんが嵌り込み、かつ多用する論理展開である｡世の中の事象をたった２つに分けるだけなので、非常に単純で一見判り易く思われるようだが、その実あまりに単純すぎて、その根拠に客観性や普遍性が乏しく、よく考えれば理屈もへったくれもない『コジツケ』と判るので、この匂いが出た場合はまず疑う必要がある。
大きく分けて下記の２パターンあり、共通的傾向としては自説の方を検証すると言う発想が無いことである。
�� 証明放棄型：自説の正当性･信憑性を、対立概念の揚げ足取りや誹謗により担保しようとするが、自説を直接証明することは行わない。『アイツが間違ってるんだから、俺が正しい』と言うてる訳だ。２分した客観的根拠が元々薄弱であるので、この証明手法が論理的に成り立たないのは明らかである。この手の屁理屈は、多くのトンデモさんに共通して現れるファクターであるが、『相対性理論は間違っている』系や『進化論なんてインチキだ』宗派に出現率が高いようである。
�� 悪者糾弾型：もう１つのパターンは『悪者』の決めつけである。大した根拠もなく何らかの忌避する対象を設定し、自説(推薦物)は、その悪者でない、あるいは悪者をやっつけられるという論理構成を持って優良性を示す。元々の悪者の設定が明らかに言い掛かりである場合が多く、最初の所で詰めが甘いので、全体が論理的に立証できていない。『悪者』扱いされるものの例として各種人工物（化学物質･食品添加物･界面活性剤･環境ホルモン･電磁波･ゲーム・・・）や、活性酸素、水道水中の塩素(orトリハロメタン)等々が在る。
以下はその代表的バリエーション。
【ａ】『天然』信仰
健康産業系では非常によく見る例で、『天然物＝絶対善』かつ『人工物＝絶対悪』という、非常に乱暴かつ単純な迷信が、その底流に流れている。多いのが、当該物が健康に良いとされる理由を『天然だから』しか記述しないモノ。ただし『天然＝安全』と言う図式は、フグ毒やトリカブトなどに代表される、多くの毒が自然界に存在していることを考えれば、単純には成立しないことは自明である。だいたい、現在知られている毒の中で、最も強力とされているのが、ボツリヌス菌の毒素なのだから、なにをか言わんやであるのだが。
パターンとしては、漢方薬には副作用がない(実際には漢方薬の副作用での死亡例はある)とか、単に情緒的な人工の食品添加物への嫌悪(現代の日本においては、安全性の審査が義務づけられている分だけ、人工添加物の方が天然添加物よりも安心(→食品衛生法第十条)とはいえる)や、オーガニック食品信仰、ゲルマニウム系サプリメントの有機･無機（主張者が科学的な意味での有機･無機を理解していない場合も多い）などが上げられる。
【ｂ】『昔は良かった』系
これは【ａ】天然信仰と重なる部分もあるが、現代の抱える問題を、主に『情緒的』あるいは『恣意的』な根拠･指標による過去との比較をもって、現状や新しい事物を一方的に断罪する。例として食品添加物･化学物質･電磁波･化学肥料などに対する、科学的根拠を超えた過大な嫌悪感があげられ、多くの場合は生活習慣病やアレルギーなどの慢性病の犯人に祭り上げられる。変形バージョンで所謂『ゲーム脳』もこの要素を含む。
全く故無いとは断じられない部分も存在するが、例えば健康系問題に関して言えば、100%無農薬有機栽培食品しか口にしていなかった江戸時代と比較して、未だに右肩上がりする現代日本人の平均寿命を見れば、針小棒大的な言い掛かりに近いと判断できる。だいたい、栄養状態･衛生状態が改善されて感染症により死者が大幅に減り、寿命が延びたことによって、相対的に慢性病が目立ってきたと考える方がよっぽどリーズナブルなのではあるのだが。
【ｃ】『用量』『禁忌』の欠如
ものごとを『良い』と『悪い』にしか分けていないことの副作用として現れる傾向で、特に顕著な健康系トンデモで顕著に表れる。
まず、推薦するモノに『適量』と言う概念が存在しない。まぁ業者系の場合は、仰山売れれば売れるほど良いのだから当然の結果と言えるのだが、たとえ本当に身体に良いものでも、と言うより身体に良い影響を与えるものであるからこそ適切な摂取量の上限が存在するし、万人が服用しても問題が発生しないなどと言うことはない。
用量の必要性は、人間は塩分を摂取しないと生命を維持できないが、取りすぎれば健康を害すると言う事実を思い起こせば、容易に理解できるであろう。また、『水溶性なので過剰摂取の害がない』と一般に思われているビタミンＣでも、ｇ単位での過剰摂取には副作用のリスク増加があるし、何となれば、ただ単なる水ですら常識外の大量摂取をすれば健康被害を引き起こすのだから。つまり、用量の上限を記述していないと言うだけで、怪しいモノであることは充分推察できる。
また、コレは＜�供筺擅筺曚箸盒�く関連しているのだが、例えば高血糖に効果のあるモノを低血糖のヒト（あるいは血糖値低下の投薬治療をしてるヒト）が摂取すれば、危険な状態に陥るのが自明なように、健康系で『禁忌対象者』を明示しないということは、かなり不誠実であることの証左と言える。先頃ねつ造騒ぎのネタになりながらも、基本的に健康に悪いわけではないと弁護される納豆ですら、ある種の薬による治療中には禁忌であるという。
ことほど左様に、食品やサプリメント類が『万人の健康に良い』等と言うことは不可能に近いのである。と言うより、万人の健康を害さないということは、『毒にも薬にもならない』ことと同義であることを理解すべきである。
【ｄ】悪魔の証明
一般に事物や現象の『存在』を証明することよりも、『不在』を証明することの方が、論理的には圧倒的に難しい。この種の不在の証明のことを俗に『悪魔の証明』と呼ぶ。
一方、科学においては、事物や現象の存在の証明は、存在を主張する側の責務であることが、大原則となっている。これは悪魔の証明が可能である状況は非常に限定的でしかないことに加えて、ただ他人が根拠もなく単に『言っただけ』の話を、ボランティアで証明の労まで取ってやる義理は全くないという、社会人として極々当然の常識である。そうでなきゃ、『酔っ払いの寝言』みたいな話ですら、否定するのに大変に無駄で膨大な労力を要するもんね。
翻って多くのトンデモさんの主張では、特に懐疑や否定を受けた際に、『否定する(疑う)なら、無いことを証明してみろ。出来ないのならば自分の主張は正しい。』と言う例が非常に多い。この二元論的屁理屈が間違っているのは、わざわざ説明するまでもないだろう。不在証明が出来ないと言うことから導かれる結論は、最大限好意的に考えても『在るか無いか判らない』でしかなく、この段階で『在る』と言い切ったとしたら、それは即ち『ウソ』である。
つまりは、自らが存在を主張する事物･現象を客観的･普遍的であると言うのであれば、まずは自分で証明しなければ科学においては『ウソ』と言われても仕方がないのである。
＜�供箍奮悗悗痢慳誼痢戮藩儻譴痢惴輙僉戞�
論理構成や用語の使い方から、科学的感覚の無理解や、科学常識の欠如が滲み出てくる文章というモノは、かなり存在するものである。ただし、この『臭い』を感じるようになるには、それなりの訓練が要るのではあるが。
以下は、見分ける目安となる幾つかのチェックポイント。
【ａ】『論理』『手法』『条件』に無頓着
トンデモさんの主張では、とにかく『結果のみ』を強調したがる傾向があり、特に商売系はとにかく極端な数字を出したがる。大きい方が良い場合は、とにかく桁数の多く見える数字を誇り、また少ない方が良い場合は簡単に『０』と言う数字を持ってくる。
しかし、その結果を得るに至った論理的裏付けや測定手法･条件に関しては、ほとんどなおざりで関心を持たない。本来の科学では結果そのものよりも、これら手法などの妥当性が重要視される。つまり、そこの客観性･正確性が担保されていない場合には、どんなに結果だけが優れていても棄却されるのだ。
よってこのような場合、彼らの主張やデータは、偽造やねつ造がないとしてもその結果や数字を、正にこの理由で信用してはイケない。喩えて言うなら、『体重計で身長を測る』様なことを平気で行っているのである。（まだ、コレならマシな方だが。）
【ｂ】『単位』に無頓着
科学において、と言うよりもあらゆる客観的データを表す数値に関して、『単位』は【ａ】の論理･手法･条件と不可分の関係にあり、その概念は必要不可欠である。もちろん無次元(単位を付けない)場合もあるが、それはあくまで論理的導出過程の中で単位同士が計算上約分されているだけのことであり、単位と無関係な訳ではない。よって単位に無頓着なデータ･数値は、それだけで科学的な信憑性を疑って然るべきである。
しかしながら、上記のようにトンデモさんは『数字の大きさ』もしくは『極端な小ささ』を誇る傾向が大きいが、その数値を得られた手法や、その数値の単位には注意を払わない傾向が非常に大きい。例えばエネルギーを云々しているトンデモ話は結構多いが、『Ｊ』や『ｃａｌ』あるいは『Ｗ』で表記している例は、著しく少ない。要するにエネルギーが何ぞやと言うことが判ってないことの証左である。
【ｃ】文学的表現との混用
日本語の文章における文学的表現とでも言うべきモノの中には、科学用語由来の単語がある。これらを使った文学的比喩表現は、科学において厳密な定義の存在する専門用語とは、基本的には全く整合性のない存在であることは言うまでもないが、トンデモさんは、その両者を紛らわしく混ぜこぜにして、『単なる比喩』あるいは『偶々同じ名前を付けたもの』でしかないものを恰も科学的な裏付けがあるかのように見せかけることがある。その代表選手には『エネルギー』や『波動』『結晶』『進化』などがある。
例えば、エネルギーに関しては文章上の表現でしかない『生命エネルギー』『精神エネルギー』や『宇宙のエネルギー』等が、あたかも科学で厳密に定義された『物理量であるエネルギー』と、さも同じであるかのように論じる。実際にはこの両者の間には、偶々同じ音の言葉を使っている以外の関係はない。何となれば、上記のように客観的手法で定量的に測定し得る必要があるし、その数値はエネルギーの単位で表現できなければならないが、まともな科学的定義すらない『文学的表現としてのエネルギー』においては、その様な可能性は全くないと言って良い。
また、トンデモさん系エネルギーの特徴として、とにかくエネルギーの大きい(高い)ことを誇る傾向が強い。だが、物理や化学を学んだ人間なら当たり前に持つ感覚であるが、在る物質の内包するエネルギーが大きいと言うことは、変化を起こしやすく『不安定』であると捉えるものだ。例えば化学反応などを生起しやすい場合であれば、それはある意味『危険物質』と見なした方が無難である。ちょくちょく見かける怪しい健康系の宣伝で、『エネルギーの高い水』などと言う文章を見れば、『それってお湯のことと違うか』とツッコミたくもなるものだ。
これ以外にも『波動』に関しては、量子科学における波動方程式で示される概念の波動と、全く別の波、例えば単なる振動や音波を混同した理屈付が行われるし、原子(or 分子)が在る規則を持って周期的に並んで結合した構造を意味する『結晶』を、ただ単にキレイな形に見える塊（雪の結晶や水晶など）の意味に取り違える。特に雪に関しては、水分子の結晶ではあるが、それだけなら冷蔵庫で凍らせた角氷だって立派な結晶であることにすら気付いていないか、無視をしている。また、結晶の定義に求められる規則性や周期性に対して、見た目の『美醜』等という恣意的概念が入り込む余地は一切無い。
【ｄ】効能などの『万能性』
トンデモ系の商品、特に健康系において非常によく観察されるのが、効能や効果の『万能性』である。高血圧、糖尿病、ガン、肺炎、肝炎、高脂血症、アトピー、火傷、床ずれなどなど思いつく限りの病気に対してだけでなく、ご飯が美味しくなったり、釘が錆びなかったり、風呂の水垢が取れたり、植物が良く育ったり、食べ物が腐りにくかったり、お酒や味噌などの発酵を促進したり、その上雑菌やカビや藻の繁殖を抑制できたりと、とにかく『何にでも効く』と言いたがる傾向が強い。
ただし、＜�機筺擅磧曚任盻颪い人佑頬�人の健康を改善することは不可能であるので、文字通り『万病に効く』等ということはあり得ない。しかしながら、あまりに万能性を求めすぎて効能同志で相反することを含む例が結構るので、良く読めば中々笑える。
例えば、基本的には微生物の代謝活動である発酵と腐敗を、一方は促進するのに他方は抑制するという、非常に『器用』なことが出来ると主張する。実際問題、発酵と腐敗の違いは、その代謝活動あるいは代謝生成物が人間にとって有益かどうかと言う、人間の勝手な都合だけのことであるので、その片方だけを促進しもう一方を抑制するメカニズムを成立させることの方が考え難い。
また、健康系においてこれらの万能性を謳うキーワードとして『免疫機能を高める』に類することが、比較的多く見られる。しかしながら、アトピーなどのアレルギーは人間の免疫機構が過剰反応しているのであり、もし本当に自己免疫機能を高めてしまうとすれば、さらに病態が悪化する可能性が高いのだ。実際の医療で処方される薬品の場合は、この免疫反応を抑制するためのモノであるらしい。それでも、トンデモ系の宣伝では、堂々と『高い免疫機能』と『アトピー･アレルギーの症状改善』が併記されている例は、かなり多く観察される。
また、この手の業界で忌み嫌われる『活性酸素』は、体内の免疫機能によりも産生されるモノであり、その外部から侵入した細菌などに対する防衛能力を担う重要な物質である。免疫反応が活発に生じると言うことは、それは活性酸素の発生量が増していることも意味しているのだが、トンデモさんがこのことを考慮した言説を採ることは、ほぼ皆無に近い。
この『万能性』に注意しておけば、トンデモ系を見分けるときに、かなり良い指標となる。この手のトンデモさんの多くは、何の裏付けもなくても自らの主張の『風呂敷』を出来るだけ大きく拡げたがる（要するにハッタリをカマしたがる）傾向があるのだ。コレは正統的な自然科学の傾向とは全く『逆』と言って良い。科学においては理論や条件を明確にするため、その主張のカバーする範囲を限定した議論を行う必要があるからだ。よって、基本的に万能である度合いが高ければ高いほど、科学的な信憑性や効果の大きさは小さくなると考えないといけない。冗談めかしてこんな関係式を提案している人もいるくらいやし(笑)
【ｅ】ワンフレーズ的キーワード使用法
科学で使用される、あるいは使用されそうな単語に『勝手な用語解釈 or 意味付け』を行い、某前首相張りの単語をワンフレーズ的に使って、素人を煙に巻く手法である。つまりはハッタリの一種である。実際使われるのは、非常に広い分野の色々な用語が対象とされ、パターニングは少々困難であるが、基本的に一般人が何処かで聞いたことがある（ある気がする）が、その意味や定義をよく把握していない単語が使われるようだ。
使われるキーワードの代表例として、『イオン』『分子』『ナノ』『素粒子』『水のクラスター』『電子』『半導体』『ニュートリノ』『チタン』『ゲルマニウム』『トルマリン』『磁気』『触媒』『還元(or酸化)』『電磁波』『遠赤外線』『活性酸素』『免疫』『酵素』『アミノ酸』『新陳代謝』『浸透圧』『α波』等々多岐に渉るほか、『マイナスイオン』や『活水』『活性水素』『デトックス』等という一見専門用語風でその実、科学とは全く関係のない言葉も多く使われる。また、勝手に『○△効果』とかの造語を、さも科学業界で一般的であるかのように使う例も少なくない。
ただし、用語の使い方が微妙だったり、明らかに間違っている場合が多いので、高校レベルの理科の知識の援用や論理構成の検証をするだけで、結構怪しさを判別できることも多い。（この手のが香ばしいトンデモ臭を最も判りやすく醸し出すようだ。）
【ｆ】論理の飛躍･すり替え
トンデモさんのトンデモたる所以は、その論理や根拠が客観性･普遍性を欠いていることである。このため、必然的にその主張には論理の飛躍などの不整合が含まれる。
わかりやすい例として、以前にも書いた戦後日本最大の迷信にして、擬似科学の代表選手『ＡＢＯ式血液型性格診断』で、良く見られる主張で見てみる。（例えばココの後ろから１／３辺り）
なんじゃそりゃ？と言う記述が幾つかあるのだが、その中で同血液型性格診断の根拠として『戦後の総理大臣の血液型にはＯ型が多い』を例に取ると、
�� 戦後の内閣総理大臣の血液型の内、Ｏ型の占める割合は日本人の分布と比較して有意に多い。
�� 『ＡＢＯ式血液型』と『総理大臣』には相関がある。
�� これは『ＡＢＯ式血液型』と『性格』の相関の証拠である。
と、要約できる。こうやって書くとかなり明確になるが、どう見ても�□���の流れには論理の飛躍があるのが判る。わざわざ指摘するまでもないだろうが、最低でも『総理大臣に就任』が『性格』とどう関係するのかを論理的に証明していない限り、それは明らかに空理空論でしかない。
また、�，六�実であるかも知れないが、�、��△皀魯奪�リ言って疑わしい。２０〜３０人程度のデータでは母数に対して小さすぎるので、『単なる偶然』であるとの疑いを払拭できるモノではない。
蛇足：件のページでは『自民党の派閥のトップ』云々という面妖なネタも出ているが、コレに関しても結局は『自民党の派閥のトップ』に就任することと性格の関係を証明していないので、同じく意味を成さない。それ以前に、データも示さず、『自民党の派閥のトップはＯ型が多い』等と断言している辺りは良い味を出してるが。しかも戦後間もない時期のヒトの血液型って、どうやって調べたのかね？何処かに信憑性の高い資料があるのかな？
これは非常に判り易い一例ではあり、もちろん、かなり注意深く精査しなければ判別できない場合も多い。とはいえ、少しばかり訓練して、事細かに論理の流れを追っていけば、この手のごまかしに気付くのは難しくはない。要は『とりあえず疑ってみる』と言う姿勢が有効である。
【ｇ】擬人化
人間ではない生物や生体物質、あるいは化学物質や自然現象などが、あたかも判断力を有して意思を持って行動しているかのような奇異な主張を行うもの。しかも、なぜか『人間にとって都合の良すぎる』行動ばかり取ることが多い。
この項目は＜�供筺擅筺曚判鼎覆詆�分が多く、そこで示した発酵と腐敗、免疫機構とアレルギー・活性酸素などの例は、これを成立させるためにはどう考えても細菌や健康食品や妙な機械が、独自に判断力を持って人間の利益になる方向にのみ活動することが必要不可欠になる。が、何故そうなるかについては、もちろんのコトながら論理的な説明は一切語られることがない。
少なくとも、世の中はそんなに都合良く甘くは出来ていないことに、気付くべきである。大人なんだから・・・・
【ｈ】恫喝系
自らの主張を受け入れさせるために、危険性などを殊更に強調し、他人を『恫喝』して、相手の判断力を鈍らせるモノ。その『危険性』なるものに、客観的な根拠があることはマレで、在ったとしても『針小棒大』でしかない。要するに、家相が良くないとか、水子の霊が付いてるとか言うて、ハンコやツボを買わせる輩と一緒なのである。『発ガン性』とか『血液ドロドロ』などのインパクトのある単語を使うなどして、不安に駆られたヒトを騙して高額な物品や効果のない粗悪品を売りつけることが多い。一般的によく見られる代表選手として『水道水』と『電磁波』の危険性の喧伝は、広く見られる。
まず、水道水では感染症防止の目的で添加される低濃度の塩素及びその反応生成物であるトリハロメタンが目の敵にされる。確かにトリハロメタン類では「クロロホルム」と「ブロモジクロロメタン」が国際がん研究機関により発ガン性に関し、「Group2B ヒトに対する発癌性が疑われる（Possibly Carcinogenic）、化学物質、混合物、環境」に分類されている。ただし、この分類名を見れば判るように『発ガン性がある』と断定しているのではなく、『かも知れない』程度らしいのだ。同じグループに『コーヒー』があることからも、その危険性の程が推察される上に、水道水中の同物質はPPMオーダーでしかないので、大した脅威ではない、と言うか気にするほどではないのは間違いない。
また、『電磁波』に関しては、送電線と小児白血病との因果関係が疑われたことに端を発し、ＯＡ機器や携帯電話の急速な普及と相俟って、その害が強く疑われるようになった。これに連れて種々雑多な『電磁波防護グッズ』が市場に氾濫し、また『電磁波過敏症』等と称される病(？)もちらほらと見られるようになってきた。
しかしながら、そのほとんどは『電磁波』と言うキーワードは使えども、その意味を理解していない、あるいは敢えて無視しているとしか思えないのだ。
周知の通り『電磁波』と言う用語で表される波は、その周波数の小さい（＝波長の長い）方からでは超低周波〜超長波から始まり長波〜中波〜短波〜超短波〜マイクロ波につながる電波領域に引き続き、〜赤外線〜可視光線〜紫外線〜Ｘ線〜γ線までを含む、とんでもなく広い領域を指している。
件の小児白血病に関してはＷＨＯが送電線から出る電磁波など、非常に周波数の低い『超低周波のみに限定』して、予防的に勧告を出した段階である。ただし、動物実験などでの再現には成功していないので健康被害が確定した訳ではないそうではあるが。
であるのに、上記の電磁波対策グッズのほとんどが、その対応する波長域すら明示せずに効果を謳っているのである！これなら、ＵＶカットのクリームだって紫外線という電磁波を防いでいるし、なんとなれば肉眼で不透明なものであれば可視光域の電磁波を遮蔽しているのだから、このような屁理屈での逃げ道は幾らでもあって、何も言っていないに等しい。最低でも、どのようなモノから放射される、コレコレの波長(or周波数)域の電磁波を何％遮蔽できることを明確に示していない限りにおいては、インチキと見なして良い。
この傾向は電磁波過敏症に関しても見られ、発症に関連する電磁波の波長域を特定した例は寡聞にして知らない。これでは単なる擬似相関でしかなく、ＷＨＯでも『医学的診断でもなければ電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない』としているらしい。
＜�掘筝�威主義：
これもハッタリの１パターンであるが、論理的補強をするために『権威（らしきもの）』を持ち出して、信用させる手法である。こう言うのが出て来たら、とにかく眉に唾を付ける習慣を付けた方が良い。
【ａ】『○○博士』『☆☆教授』などの研究者･開発者の大看板：
権威主義の中でも代表的なモノがコレであるが、特に商品の説明の中にこういう手合いの説明が存在する場合は、まず疑って掛かるべきである。なぜなら、真っ当な製品であれば、一番に誇るべきはその性能であり、誰が発明しようが、図面を引こうが関係ないのだから。（その『開発者』が『生産者責任』を負うというのなら話は別だが。）
例えば、トランジスタの商品広告にショックレーの業績が引用されたり、PAN系炭素繊維のスペックシートに新藤博士に関する業績が記述されることはあるまい。今流行のLED式交通信号でも、その導入理由や売り文句は、低消費電力や高い視認性であり、裁判で有名になった中村教授(←純粋に学問的に見て彼のみの業績とするのは異論があるかも知れないが)の話には余談以上の価値はない。
だいたい、この手ので出て来る博士や教授が、ハッキリ言うて一般に知られているような有名人である場合はほとんど無い。と言うより、業界関係の有名人を一般人が知っている例の方がマレであろう。だから、こんな個人名を出されたとしても、有機栽培野菜の『私が作りました』写真やあるまいし、受け手にとっては本来『全く意味を成さない』情報なのだ。
また、たとえ御大層な『肩書き』が付いているだけでは、権威として信用するには値しないことにも留意すべきである。例えば素粒子物理学の博士が生物の進化に関しては専門家でないのは明らかだし、国際経済学の教授が赤外線について語っていても、素人と同じとしか言いようがない。要するに肩書きはその『専門分野のみ』においてしか通用しないのは、本来社会常識であるはずなのだが、トンデモネタの場合は、良くても分野違いの人間、ヒドいときは全く架空の業績を喧伝していて、本来の業界関係者にすれば『ドコの馬の骨や？』だったりする。
【ｂ】研究機関などの強調
上記【ａ】と同様に、研究機関を強調している場合も要注意である。また、この場合の組織には、犯人型と濡れ衣型がある。
�� 犯人型：自分たち(あるいは大元のトンデモ関係者)が勝手に作った組織にご大層な名前を付けて、さも権威のある高名な研究所を装ったものである。
�� 濡れ衣型：全く関係のない組織を、さも自分の主張の科学的保証をしているかのように誤解させるもの。これのパターンには、以下のようなモノがある。
�◆櫂� 捏造型：どこか(おそらくは外国)の著名そうな研究所名を引き合いに出すもの。コレには実在する具体的な組織名を用いる場合と、『欧米の有名大学』みたいなボカし方を用いる場合がある。前者の非常に有名な典型例が『ＮＡＳＡで開発された』があり、あまりに使われすぎたせいで最近では一般人にすら『ジョーク』としか受け取られない。
�◆櫂� 編集型：専門家に当たり障りのない『一般論』のコメントだけ貰うか、あるいは全く違うことを述べている論説の『一部だけを抜粋』し、それを自分の主張の絶妙な位置に、それらしく配置することで、さも専門家のお墨付きを得たように見せかけるもの。例えば『食物繊維の摂取は健康に重要』と言う一般論から、無理矢理『ココアが健康に良い』等という結論に持って行くようなヤツだ。マスコミなどで流れる怪しい健康情報には、この手のが非常に多く含まれる。要するに『編集の腕』だけで、もっともらしく見せてる訳である。
�◆櫂� 消防署型：例えば、どこかの公的研究機関にお金を払って検査をしてもらっただけとか、どこかの大学にコッソリ売りつけることに成功したなどを、あたかも当該機関が科学的にお墨付きを与えたように喧伝するもの。前者は『コレコレの数値を測ってくれ』と依頼されただけで、その内容に関しては精査などしないのが普通であるし、後者にしても設備の購入に際して大学に所属する研究者や専門家に諮ってから購入することなど、ほぼ有り得ないことであることから、実際には何の意味も持たない。要するに全く関係ないコトからネームバリューだけを不法に利用する手口で、歩いてきた方角から『消防署の方から来ました』と言って消火器を売りつける詐欺的押売と同じなのである。
【ｃ】マスメディアの権威化
こちらは基本的に『受け手』の問題に帰着するのだが、新聞記事で読んだ・ＴＶ番組でやっていた・雑誌に載っていた等と言うことを持って、無条件に内容を信じてしまう人間は、恐ろしいくらい多いものである。ちゃんとした専門家に取材しての記事や番組ならまだ良い（マシ）のだが、新聞でも生活欄などでは、かなり怪しい記事が掲載されていたり、ＴＶのバラエティ番組に至っては、面白さと判り易さが優先され、正確さや信憑性が顧みられる例は少ないので、信用出来そうなものを探す方が難しい。
とは言っても、新聞などにしたって、ソレこそ業界の専門紙でも無い限りは、専門性を非常に高めた記者が内容を吟味している訳では無いのが通例だし、その番組の多くを外部の制作会社に頼るＴＶに至っては社内にマトモな専門担当が居るのかどうかすら疑わしいので、真面目な科学記事や報道番組であっても無条件に信用するのは感心しない。
ただそれ以前に、この手のを見て信用したヒトの話などを聞いていると、マスメディアの記事･番組そのものではなく、ドラマや小説などのフィクションや、広告欄･ＴＶＣＭがネタ元だったりする例が結構あったりして、コチラとしては脱力するものである。そう言う手合いは最初から話の内容を大幅に差っ引いて接するべきモノであると言う教育を、幼少時代から叩き込む必要があるのかも知れない。
まぁトンデモさんの中でも、インチキ業者さん系は、コレを悪用して商売することも多いので、『○△新聞で紹介されました』とか『ＴＶに取り上げられました』等という文句を喧伝する広告は、まず眉に唾を付けるべしと言うサインであり、ある意味非常に見分けるのが楽な例ではあるのだが・・・
この系統には、芸能人･有名人による体験談･推薦談が含まれる。言うまでもなく彼らは専門家ではないので、その信憑性は『単なる素人』を上回ることはない。それどころか、多くの場合『広告』であるので、『ギャラの発生している仕事』としての発言であり、信頼性は一般人よりも大幅に差っ引くのが常識的判断であろう。
【ｄ】『風説』の権威化
『（世間で）○○と言われている』ことを持って、根拠とするモノ。『空気のビタミンと言われているマイナスイオン』とか『ガンが治ると言われているアガリクス』が回答例。健康系に於いては、かなり高い確率で『体験談』とセットで示される。要するに、結局は『伝聞』以上の根拠が示されることはないのだ。
また自分の脳みそを使って創意工夫をするという発想そのものがないので、多くの場合において他人の宣伝文句の『コピペ』であったり、さらには元ネタからの情報の劣化が観察されることも多い。
コピペの例では、ゲルマニウム系装身具における『３２℃で電子が飛び出して云々』が有名。もちろん、ゲルマニウムに関して、ソレに類する物理的事象は一切知られておらず、どこにも根拠になる出典がないのだが、判を押したようにドコでも『３２℃』と『電子』言うキーワードだけはセットで使われ続ける。(逆に言えば、このキーワードを肯定的に含んでいれば、トンデモと見なして良い。)
情報の劣化の例は、『水のクラスターが小さくなる』系のトンデモが、自分の使っている言葉の意味すら理解出来ていないため、いつの間にか小さくなるのが『水の分子』に変化していたりするのが散見される。もちろん、仮に水分子の大きさが小さくなったとすれば、それはもう既に水ですらなくなっているのは言うまでもない。
また、トンデモ側の意図として、『ホンマやろな？』とつっこまれた場合に『そぉ聞いただけやからワシ知らん！』と逃げるための姑息な戦術を含んでいる可能性も高い。つまりは自らが証明や確認をする気など、サラサラない訳だ。言うなれば『責任転嫁型』あるいは『責任放棄型』のトンデモさんと言える。
【ｅ】既存権威への思い込みと敵意
これは上記までの権威主義とは違うモノなのだが、トンデモさんの中には既存の学説と対立する主張を行う上で、既存の（マトモな）権威の存在は邪魔である。であるから、マトモな専門家が普通のことを話しているだけで、敵対勢力と認識して攻撃の対象にする。ただし当然のことながら、その攻撃内容が論理的であることはなく、また全然関係ないことをあげつらって相手の信用を貶めようとするものも多い。
この様な対応を取るトンデモさんの場合、＜�検筺擅磧霸∨天呂飽楾圓垢訃豺腓發泙涕�られる。
また、コレが特殊なねじ曲がり方をして、既存権威を単なる思い込みだけで勝手に『教祖』のごとく祭り上げて、その『妄想』を根拠に批難する、非常にややこしい輩も居る。特に『相対性理論は間違っている』系や『進化論なんてインチキだ』宗派に顕著である。何故かと言えば、その両者には、それぞれアインシュタインとダーウィンと言う超有名人が存在していることが、彼らの目に留まりやすいことともに、その高い名声がある種の嫉妬の対象となっているからである。この場合も、トンデモさん達は彼らの業績やその理論の内容を理解している訳ではなく、と言うか、全く理解出来ていないので『自分に理解出来ないことは間違っているに違いない』程度の言い掛かりでしかないのはご愛敬。
例えば前者に関しては、色々と矛盾点（←と彼らが思い込んでいるモノ）をあげつらった後に、『偉大なアインシュタインが言っていることなので、みんな疑わずに盲目的に信用しただけなのだ』等というアホな話をマジメに主張する。しかし、彼らは、アインシュタインが『相対性理論を組み上げて、その理論的予言が後に確認された』ことにより名声を勝ち得たと言う事実、つまり『アインシュタインが偉大だったから相対性理論を信じた』のではなく『相対性理論が検証されたからアインシュタインが認められた』と言う時系列の逆転にすら思い至らない。
しかも、相対性理論がアインシュタインが最初に唱えたときから１ｍｍたりとも進歩・変化していない、あたかも『宗教』であるかの様に思い込んでいる節がある。実際は数々の検証と修正を経て、アインシュタイン本人のみならず多くの物理学者によって、どんどんアップデートされ続けているという事実には、全く思い至らないし、指摘されても聞く耳を持つことはない。つまり、これらのトンデモさんの主張の方が、科学ではなく『信仰そのもの』なのだ。
＜�検簗吃気力斥�：
『無謬』と言えば正しいものだと思われるかも知れないが、言わんとするところは、最初から『間違いの存在を認めない』とか『批判そのものを受け付けない』とか『逃げ道を一杯残して、屁理屈で言い逃れする』だけのものである。要するに、『あぁ言えば、こぉ言う』ってだけで、ぶっちゃけて言えば単なる『屁理屈』でしかない。
まともな科学というのは、『間違いがあるかも知れない』と言う前提で、論理や手法を構築し、かつ他者により客観的に検証することで、その信頼性を高める営みを経てきたものであるので、こういう手合いとは根本から異質のモノである
以下に､その姑息な手口の代表例。
【ａ】客観的条件の未提示
コレはほとんどの実験系トンデモさん（体験談系も含む）に見られる特徴である。
トンデモさんの行う実験･検証は、客観的な条件が曖昧･不明瞭で客観的な検証をするために求められるデザインから程遠く、かつ恣意的な操作や選択が入り込める内容であり、科学的議論･評価に最低限必要とされる要件を満たしていない。よって彼らの行う実験は、何か未知の現象を知るためのexperimentではなく、それらしく見場を取り繕っているだけのdemonstrationに過ぎないのは、かねてより指摘されていることだ。
つまり、トンデモさんの実験は『実演ショー』であり、こんなモノを幾ら積み重ねたとしても、科学的な新しい知見を得ることも、期待する効果を客観的に確かめる能力も、ほぼ有り得ない。
これを逆に見ると、その実験に対して科学的に否定するに足るデザインの実験で対抗しても、肝心な部分での条件がいい加減なので、いくらでも『それはウチの条件とは違う』と逃げる余地がふんだんにある訳だ。加えて、科学的に意味はなくても『そう言う実験(測定)結果が出たんだから事実には違いない』と開き直るのもパターンである。（この言い訳は＜�供筺擅瓠曚良集酬燭任發△襦�）
また、体験談系に関しても、全く同じコトが言える。特に健康系トンデモで重きをなす体験談であるが、この手の物は科学的な視点からは、ほとんど意味を持たない。まず、各人の状態(健康状態･治療状況など)を客観的に確かめる術がないので、本当に健康に影響を与えたのかは全く確証がない。また、よしんばその提示された体験談が全て真であると仮定しても、効果がなかった人数が一切不明であるので、データとしては役に立たない。
まぁ、体験談系は体験を語っている人間の主観的な思い込みに強く依拠していて、客観データとするにはかなりの注意が必要になるから、業者系のモノは読むだけ無駄である。ヒドい例では摘発されたアガリクスのバイブル本のように、全ての体験談が『ツクリ』であったこともあるしなぁ。
健康系以外では『ＵＦＯ』とか『ＵＭＡ』の目撃談もコレに当たる。そしてこれらの目撃談は、客観的な裏付けがないにもかかわらず、自分の見たモノが既知のモノ(ＵＦＯなら飛行機とか星とか、ＵＭＡなら既存の生物や生物集団など)ではないとの強い確信とセットになっている。要するに『だって、見ちゃったんだもん。』程度の根拠しかない訳だ。目撃者の共通した習性として自らを決して疑うことがないので、一旦思い込んだら、枯れ尾花は幽霊に見え、どんな論理的な忠告や説明も馬の耳に念仏と化すのである。
【ｂ】『好転』反応
コレは、健康系トンデモに固有の特徴であり、＜�供筺擅筺曚良集酬舛琉貅錣任△襦４靄榲�にトンデモさんは自分の主張が例外なく成立し無制限に効果があると思いたがる。また、元々胡散臭く見られていることを自覚している部分もあるせいか、マイナス方向のイメージや結果を異常なほど嫌悪するという傾向が見られる。
その結果、体質などにより体調を害する様な場合や、適量を超えた場合の副作用などの存在を、否定してしまう。このために使われる方便が、好転反応と呼ばれるマジックワードである。本来は漢方などで用いられていた概念を元にした言葉のようだが、症状の悪化や副作用をごまかすための言い訳として誤用されたようである。
曰く『身体の治癒力の高まりにより、一時的に症状が悪化したように見えるが、我慢してソレを過ぎれば快方に向かう。』等との屁理屈で、騙されている被害者を長く引き留めようとするもの。要するに単なる時間稼ぎのための詐欺的言辞に過ぎない。
だいたい、マトモな商品であれば、『ナニか異常があれば即刻使用を中止して医師に相談せよ』等と注意書きがしてあるモノだ。当然ではあるが、＜�機筺擅磧枦�で述べたように万人に適用出来る健康法も、万人が服用して問題が起こらない薬も存在しないからだ。ソレを多くの場合、個人差を全く考慮せず、また診察などのプロセスすら経ない勝手な判断で『好転反応だから大丈夫』等と言い切ること自体、トンデモの証拠と見なして良い。このようなセールストークを使う輩とは、迷わず断固として縁を切らなければエラい目に会うのは確実だ。
【ｃ】陰謀系
世の中には『陰謀』好きな人間は、結構多いものである。フィクションの題材としては面白いのだが、現実世界を論ずるに辺り、この手のを持ち出す場合には、かなりの注意を必要とする。なぜなら、自称『自分(達)だけが掴んだ裏の情報』だけで言い切ってしまえるので、使いようによっては最強の論理になるのだ。ただ、見方を変えればマトモな根拠など有りはしないと言うことでもある。
と言うより、モノが『陰謀』だけに証拠なんか出て来ようがないのだ。なんせ『陰に隠れたはかりごと』だから(笑)
陰謀系の論理展開も大別すると�‐霾鷄Ｊ歎呂鉢�被害妄想系が見られる。
�� 情報隠蔽系：世の中には一部の人間が利益(金銭的でないモノも含む)を独占するために、情報や技術を隠していると主張するタイプ。例えば『実は永久機関は発明されているが、石油メジャーが自らの利益のために隠蔽している』(永久機関を宝石グレードの人工ダイヤ、石油メジャーをダイヤシンジケートに換えても可)とか、『割れないガラスが発売されないのは、ガラスメーカーが商売を続けていくためだ』みたいなのが典型的。
トンデモさんの一大勢力であるＵＦＯ＝エイリアンクラフト信者などでは、米軍は既に宇宙人と接触(or 捕獲)しているが、その技術を独占するために隠し続けている等というのは、定番中の定番である。特に彼らが濡れ衣をかぶせるのが『ＮＡＳＡ』であろう。彼らが宇宙飛行士の交信や火星の人面岩を意図的に隠しているとか、フィクションに感化されたのかアポロが月に行ったのは捏造だとか言って、ＮＡＳＡを批難する。ただ、彼らの根拠とする写真や更新記録などの大元の出所がＮＡＳＡそのものであると言うことには思い至らないようだ。本当に隠す気があるなら、そんなもん、表に出す訳無いのに(笑)
変形例として『９１１テロはアメリカの自作自演』論者ってぇのも同じ系統なのだが、ニセ科学系とは微妙に外れるので割愛。
�� 被害妄想系：自分の主張が認められないのは、誰かがジャマをしているからだと言うヤツ。自分に対して絶対の自信を有しているためか、特に既存権威(と勝手に思い込んでる対象)に対しての敵意が強い場合が多い。コレ単独に発症するよりも上記�，覆匹肇札奪箸埜�られるケースも多々見られる。
彼らが敵視する権威には、科学者(学会)、政府機関、巨大企業、宗教とか民族(ユダヤとかね)など多岐に渉る。下手をすれば宇宙人とか未来人なんてのもあるようだ。まぁ、いずれにしても、お門違いとか言い掛かりとしか言いようがない。
ガンに効くと主張しているのに医薬品として認可されないのは医学界の利権のせいだし、聖書に記述してあるイベントが科学的事実だと認めないのは無神論者や天文学者の迫害だし、永久機関の特許が認められないのは石油業界の妨害だし、宇宙人実在の証拠はＮＡＳＡによって隠滅させられているという訳だ。
挙句の果てに、月に大気がないのも、太陽が冷たいのもＮＡＳＡの流した偽情報だなんて言う輩まで居るのは、同情に値する。だって、そんなもの、ＮＡＳＡが出来るずっと前から『常識』だったんだもの。
で、この手のタイプは、他人の知らない裏の情報を自分(たち)だけが知っていると思い込むことで、ある種の優越感を感じるケースがままあるようで、例え論理的･客観的に反証されたとしても、モノを知らない一般人からの言として何の裏付けもなく却下してしまう。それどころか、理路整然とした反論や、否定するようなエビデンスを示されると、それ自体を敵対勢力の陰謀であると勘違いして、却って意固地になることも多いように思える。要するに、最初っから理屈など無縁の話なのだ。
【ｄ】『疑念』を拒絶
コレは実験系トンデモ、特に超能力系トンデモさんが最後に頼る大技。曰く、彼らの実証実験が上手く行かないのは疑っている人間の精神が干渉したせいだ等と言い訳するものだ。考えるまでもなく、そんなことを言ったら、自分の『信者』意外を排除している訳で、自らが『科学を偽装したインチキ宗教』と自白しているのに等しい。
もうココまで来ると、見苦しいとしか言いようがないのだが、なぜかソレでも騙されてしまう人間はいるモノなのだなぁ、コレが。
【ｅ】科学では判らないと言う『言い訳』
この手の言い訳はかなりの確率で散見され、『予防線型』と『後出しジャンケン型』のパターンが見られる。
� 仝綵个轡献礇鵐吋鷏�：最初は『科学風』の用語を使い、如何にも科学的裏付けがあるように見せながら、専門家などから『イタいところ』をつっこまれると、『科学では判らないこともある』とか『現代の科学ではまだ解明出来ないのだ』等と言って、逃げる連中には事欠かない。
結局は科学では未解明であることを認めていながら、自らの主張が科学的であることは撤回しない。絵に描いたような自己矛盾である上、『なぜ、科学的に証明してから主張しないのか？』と言う、至極真っ当な問いに答えることはない。
所謂『水伝』などは、この典型パターンと言えるだろう。
�◆〕祝廟�型：これは最初から『世界には不思議なことがある』とか『科学では判らないこともある』等と言い訳をしながら、トンデモ理論を展開するもの。一見すると科学では関係ないと言ってるのだから問題無さ気に見えるのだが、だからといって、自らの主張が客観的かつ普遍的な『真理』と断定して譲らないので、結局は�，汎韻献肇鵐妊發覆里澄�
どちらかと言えば教祖系トンデモよりも信者系トンデモに多く見られる傾向である。
また、これらの言い訳を使うトンデモさんには、『地動説』のガリレイと『大陸移動説』のウェゲナーの事例を引っ張ってきて、自分たちを彼らになぞらえて将来には自分たちが正しいと証明されると強弁することも間々ある。しかしながら、ガリレイを断罪したのはあくまで宗教権力とその都合であり、科学で否定された云々とは違うので元々関係ない話だ。ウェゲナーに関しては、確かに彼の主張した説は、現在地球科学の主流となっているプレートテクトニクスと見た目は良く似通っている。ただ、彼の主張はあくまで『陸地が移動』することを主張しており、陸地を乗せた海洋底ごと移動するという現代の学説とは似て非なるモノであることに留意すべきだ。また、彼の学説が受け入れられなかったのも、彼が想定した大陸移動の原動力（大陸塊に働く浮力や、潮汐力など）が、当時の科学水準でも充分に否定されたのが原因であり、その部分に関しては現在の科学でも結論は変わらない。
しかも、たとえ将来科学水準が向上して、現在否定されている、あるいは知られていないことが立証されるとしても、そのための議論の俎上に載せられ、『科学の定説』を覆すことのできる『新説』には、『満たすべき資格』が存在する。すなわち、
○目的とする対象を論議・あるいは検証するに際して、客観的に確からしく、かつ適した論理及び手法を用いて得られた結果であること。
○今現在判っている（観察・観測されている）事象に対して整合性を持っていること。
の２つである。トンデモさんの言い分は、正にこの部分が欠落しているので、トンデモ呼ばわりされているのであり、ガリレイやウェゲナーを引き合いに出すなどは片腹痛い。
【ｆ】ダブルスタンダード
言い方を変えると、『他人に厳しく、自分に甘い』と言うもの。しばしば＜�機籠鷂杵世肇札奪箸埜修譴襪海箸�観察される。
自分が敵視する主流の科学理論や、その分野の科学者(特に著名な)に対しては重箱の隅よりも小さいところを突っついて完璧な説明が出来ていないからダメだ等と言うクセに、自らの主張の立証には単なる主観的感覚のみで良しとして、どんなに穴があろうと気にしない。
例えば、『進化論は間違っている系』トンデモさんの多くは、進化の過程における未発見の中間種の存在等を引っ張り出してきて、あたかも鬼の首でも取ったように批難する訳だが、自分の主張(かなりの場合は創造論などの宗教がらみであるが)の説明は、それ以外には考えられないからの一言で済ましてしまう。まぁ先ほども書いたように二元論的思考の人間が多いので、相手が間違っているなら自分が正しい等という戯けた理屈だけしか持ち合わせていないのが見え見えなのである。
どんな科学領域においても一点の曇り無く全てが解明された分野というモノは、おそらく存在しない。と言うか、だからこそ科学者の飯の種がある訳で、少なくとも現状も研究が続いているのであれば、未解明な部分は当然残っているのである。であるから、全ての細かい事象まで証明し切れていないことを持って、その理論を棄却することは単なる言い掛かりでしかない。
しかもヒトへの批判に終始して自説の証明が非常になおざりであるので、よく論理を追って見ていけば、素人でも怪しさには気付けるので、ある意味判別しやすいトンデモさんと言える。
また、主流科学理論への批判と言っても、所詮は知識もセンスも学習意欲も乏しいトンデモさんのこと、既に解決済みのことや、単なる勘違いのツッコミをしている例の方が多いので、ちゃんと聞く耳を持って初歩を素直に勉強すれば、『アホらしい』の一言で切って捨てられることも少なくない。
また＜�機筺擅瓠曚筺祗機筺擅癲曚肇札奪箸両豺腓如�同じ物質でも天然物だと安全で合成物だと危険とか、同じ症状を起こしていても昔からあるモノに接するのは問題ないが最近出て来たものはダメ(EX：ゲーム脳など)と言う、ハナから理屈になってない言も含まれる。
＜番外編＞ノンフィクション系ベストセラー
これは、上記のような解説を付けられない、単なる筆者の経験則でしかないのだが、自称を含むノンフィクション系ベストセラーは、かなりの確率でトンデモを含む場合が多く、最初から眉に唾を付けて接する方が無難である。ここ数年で言えば『脳内革命』『神々の指紋』『買ってはいけない』『ゲーム脳の恐怖』などがソレに当たる。
どうやら、ベストセラーになるための条件の１つとして、客を惹き付け得るインパクトの強いタイトルが不可欠になるように思えるのだが、それは得てして正確あるいは誠実であることの放棄に繋がるようである。
また、もう１つの条件として、想定する購買層の大多数を占める素人にとって判り易くするために、内容の単純化も必須であるようだ。元々複雑であるはずの現実を無理に単純化した場合、多くの場合が誇張かウソに繋がりやすい。
世の中、あまりに明確に決め付けることのできるコトの方が、圧倒的に希なケースであることを肝に銘じておくべきで、判り易く断定するモノほど疑った方が良い。
科学(自然科学)とは、人類の得てきた知識や観察してきた事象を、客観的に論じ検証し、普遍的なところにまで昇華させる営みであり、いわば全人類の財産である。疑似科学の中には、科学ではない振りをするものも存在するが、自らの主張が客観的かつ普遍的であると断じていれば、それは科学の枠内の事象であり、科学の流儀に則った作法での議論の俎上に乗せなければならない。
とはいえ、批難するにしてもツッコムにしても、慣れてないヒトにはどうも敷居が高いらしい。目にするモノ、耳にするモノ全てを、客観的･論理的に考え続けるというのは、かなりの労苦であるのは間違いない。しかも、トンデモさんも、教祖系、信者系、商売系などが存在し、またその複合系も多く見られるので、慣れない人間にとってコレを見分けるのは中々やっかいである。
このことは、トンデモに対するツッコミを趣味とする我々も同じで、何でもかんでも精緻に検証していたのでは時間も足らなければ身も持たない。で、どうしているかと言えば、ほとんどの場合は、初見でざっと流したときに、フィルタリングして怪しいのを引っ掛けてる訳である。
基本的にトンデモさんの根底には、『科学に対する無知･無関心』、『自分の行動や考えを疑うコトを知らぬ裏付けを伴わない自信』『論理的思考の欠如』『手っ取り早く判り易さのみを求める横着さ』が共通して存在する。そこで、こういう手合いの主張や文章には、一種独特の『臭い』がするのだ。長年この手の手合いに接すると、かなりの確率で『トンデモ臭』を嗅ぎ分けることが出来るようになる。
ただし、その原因や中味は単純でも、そこから立ち上って来る『臭い』は少々複雑で、思いつくモノだけをざっと分類してみても下記のようになる。もちろん、１つの臭いだけでなく複数が混ざっていることも多い。
【注】下記の分類法や名称などは、筆者によるモノなので、他所に行っても通じない。
＜�機簣斥�構成が『二元論』：
これは、かなり多くのトンデモさんが嵌り込み、かつ多用する論理展開である｡世の中の事象をたった２つに分けるだけなので、非常に単純で一見判り易く思われるようだが、その実あまりに単純すぎて、その根拠に客観性や普遍性が乏しく、よく考えれば理屈もへったくれもない『コジツケ』と判るので、この匂いが出た場合はまず疑う必要がある。
大きく分けて下記の２パターンあり、共通的傾向としては自説の方を検証すると言う発想が無いことである。
�� 証明放棄型：自説の正当性･信憑性を、対立概念の揚げ足取りや誹謗により担保しようとするが、自説を直接証明することは行わない。『アイツが間違ってるんだから、俺が正しい』と言うてる訳だ。２分した客観的根拠が元々薄弱であるので、この証明手法が論理的に成り立たないのは明らかである。この手の屁理屈は、多くのトンデモさんに共通して現れるファクターであるが、『相対性理論は間違っている』系や『進化論なんてインチキだ』宗派に出現率が高いようである。
�� 悪者糾弾型：もう１つのパターンは『悪者』の決めつけである。大した根拠もなく何らかの忌避する対象を設定し、自説(推薦物)は、その悪者でない、あるいは悪者をやっつけられるという論理構成を持って優良性を示す。元々の悪者の設定が明らかに言い掛かりである場合が多く、最初の所で詰めが甘いので、全体が論理的に立証できていない。『悪者』扱いされるものの例として各種人工物（化学物質･食品添加物･界面活性剤･環境ホルモン･電磁波･ゲーム・・・）や、活性酸素、水道水中の塩素(orトリハロメタン)等々が在る。
以下はその代表的バリエーション。
【ａ】『天然』信仰
健康産業系では非常によく見る例で、『天然物＝絶対善』かつ『人工物＝絶対悪』という、非常に乱暴かつ単純な迷信が、その底流に流れている。多いのが、当該物が健康に良いとされる理由を『天然だから』しか記述しないモノ。ただし『天然＝安全』と言う図式は、フグ毒やトリカブトなどに代表される、多くの毒が自然界に存在していることを考えれば、単純には成立しないことは自明である。だいたい、現在知られている毒の中で、最も強力とされているのが、ボツリヌス菌の毒素なのだから、なにをか言わんやであるのだが。
パターンとしては、漢方薬には副作用がない(実際には漢方薬の副作用での死亡例はある)とか、単に情緒的な人工の食品添加物への嫌悪(現代の日本においては、安全性の審査が義務づけられている分だけ、人工添加物の方が天然添加物よりも安心(→食品衛生法第十条)とはいえる)や、オーガニック食品信仰、ゲルマニウム系サプリメントの有機･無機（主張者が科学的な意味での有機･無機を理解していない場合も多い）などが上げられる。
【ｂ】『昔は良かった』系
これは【ａ】天然信仰と重なる部分もあるが、現代の抱える問題を、主に『情緒的』あるいは『恣意的』な根拠･指標による過去との比較をもって、現状や新しい事物を一方的に断罪する。例として食品添加物･化学物質･電磁波･化学肥料などに対する、科学的根拠を超えた過大な嫌悪感があげられ、多くの場合は生活習慣病やアレルギーなどの慢性病の犯人に祭り上げられる。変形バージョンで所謂『ゲーム脳』もこの要素を含む。
全く故無いとは断じられない部分も存在するが、例えば健康系問題に関して言えば、100%無農薬有機栽培食品しか口にしていなかった江戸時代と比較して、未だに右肩上がりする現代日本人の平均寿命を見れば、針小棒大的な言い掛かりに近いと判断できる。だいたい、栄養状態･衛生状態が改善されて感染症により死者が大幅に減り、寿命が延びたことによって、相対的に慢性病が目立ってきたと考える方がよっぽどリーズナブルなのではあるのだが。
【ｃ】『用量』『禁忌』の欠如
ものごとを『良い』と『悪い』にしか分けていないことの副作用として現れる傾向で、特に顕著な健康系トンデモで顕著に表れる。
まず、推薦するモノに『適量』と言う概念が存在しない。まぁ業者系の場合は、仰山売れれば売れるほど良いのだから当然の結果と言えるのだが、たとえ本当に身体に良いものでも、と言うより身体に良い影響を与えるものであるからこそ適切な摂取量の上限が存在するし、万人が服用しても問題が発生しないなどと言うことはない。
用量の必要性は、人間は塩分を摂取しないと生命を維持できないが、取りすぎれば健康を害すると言う事実を思い起こせば、容易に理解できるであろう。また、『水溶性なので過剰摂取の害がない』と一般に思われているビタミンＣでも、ｇ単位での過剰摂取には副作用のリスク増加があるし、何となれば、ただ単なる水ですら常識外の大量摂取をすれば健康被害を引き起こすのだから。つまり、用量の上限を記述していないと言うだけで、怪しいモノであることは充分推察できる。
また、コレは＜�供筺擅筺曚箸盒�く関連しているのだが、例えば高血糖に効果のあるモノを低血糖のヒト（あるいは血糖値低下の投薬治療をしてるヒト）が摂取すれば、危険な状態に陥るのが自明なように、健康系で『禁忌対象者』を明示しないということは、かなり不誠実であることの証左と言える。先頃ねつ造騒ぎのネタになりながらも、基本的に健康に悪いわけではないと弁護される納豆ですら、ある種の薬による治療中には禁忌であるという。
ことほど左様に、食品やサプリメント類が『万人の健康に良い』等と言うことは不可能に近いのである。と言うより、万人の健康を害さないということは、『毒にも薬にもならない』ことと同義であることを理解すべきである。
【ｄ】悪魔の証明
一般に事物や現象の『存在』を証明することよりも、『不在』を証明することの方が、論理的には圧倒的に難しい。この種の不在の証明のことを俗に『悪魔の証明』と呼ぶ。
一方、科学においては、事物や現象の存在の証明は、存在を主張する側の責務であることが、大原則となっている。これは悪魔の証明が可能である状況は非常に限定的でしかないことに加えて、ただ他人が根拠もなく単に『言っただけ』の話を、ボランティアで証明の労まで取ってやる義理は全くないという、社会人として極々当然の常識である。そうでなきゃ、『酔っ払いの寝言』みたいな話ですら、否定するのに大変に無駄で膨大な労力を要するもんね。
翻って多くのトンデモさんの主張では、特に懐疑や否定を受けた際に、『否定する(疑う)なら、無いことを証明してみろ。出来ないのならば自分の主張は正しい。』と言う例が非常に多い。この二元論的屁理屈が間違っているのは、わざわざ説明するまでもないだろう。不在証明が出来ないと言うことから導かれる結論は、最大限好意的に考えても『在るか無いか判らない』でしかなく、この段階で『在る』と言い切ったとしたら、それは即ち『ウソ』である。
つまりは、自らが存在を主張する事物･現象を客観的･普遍的であると言うのであれば、まずは自分で証明しなければ科学においては『ウソ』と言われても仕方がないのである。
＜�供箍奮悗悗痢慳誼痢戮藩儻譴痢惴輙僉戞�
論理構成や用語の使い方から、科学的感覚の無理解や、科学常識の欠如が滲み出てくる文章というモノは、かなり存在するものである。ただし、この『臭い』を感じるようになるには、それなりの訓練が要るのではあるが。
以下は、見分ける目安となる幾つかのチェックポイント。
【ａ】『論理』『手法』『条件』に無頓着
トンデモさんの主張では、とにかく『結果のみ』を強調したがる傾向があり、特に商売系はとにかく極端な数字を出したがる。大きい方が良い場合は、とにかく桁数の多く見える数字を誇り、また少ない方が良い場合は簡単に『０』と言う数字を持ってくる。
しかし、その結果を得るに至った論理的裏付けや測定手法･条件に関しては、ほとんどなおざりで関心を持たない。本来の科学では結果そのものよりも、これら手法などの妥当性が重要視される。つまり、そこの客観性･正確性が担保されていない場合には、どんなに結果だけが優れていても棄却されるのだ。
よってこのような場合、彼らの主張やデータは、偽造やねつ造がないとしてもその結果や数字を、正にこの理由で信用してはイケない。喩えて言うなら、『体重計で身長を測る』様なことを平気で行っているのである。（まだ、コレならマシな方だが。）
【ｂ】『単位』に無頓着
科学において、と言うよりもあらゆる客観的データを表す数値に関して、『単位』は【ａ】の論理･手法･条件と不可分の関係にあり、その概念は必要不可欠である。もちろん無次元(単位を付けない)場合もあるが、それはあくまで論理的導出過程の中で単位同士が計算上約分されているだけのことであり、単位と無関係な訳ではない。よって単位に無頓着なデータ･数値は、それだけで科学的な信憑性を疑って然るべきである。
しかしながら、上記のようにトンデモさんは『数字の大きさ』もしくは『極端な小ささ』を誇る傾向が大きいが、その数値を得られた手法や、その数値の単位には注意を払わない傾向が非常に大きい。例えばエネルギーを云々しているトンデモ話は結構多いが、『Ｊ』や『ｃａｌ』あるいは『Ｗ』で表記している例は、著しく少ない。要するにエネルギーが何ぞやと言うことが判ってないことの証左である。
【ｃ】文学的表現との混用
日本語の文章における文学的表現とでも言うべきモノの中には、科学用語由来の単語がある。これらを使った文学的比喩表現は、科学において厳密な定義の存在する専門用語とは、基本的には全く整合性のない存在であることは言うまでもないが、トンデモさんは、その両者を紛らわしく混ぜこぜにして、『単なる比喩』あるいは『偶々同じ名前を付けたもの』でしかないものを恰も科学的な裏付けがあるかのように見せかけることがある。その代表選手には『エネルギー』や『波動』『結晶』『進化』などがある。
例えば、エネルギーに関しては文章上の表現でしかない『生命エネルギー』『精神エネルギー』や『宇宙のエネルギー』等が、あたかも科学で厳密に定義された『物理量であるエネルギー』と、さも同じであるかのように論じる。実際にはこの両者の間には、偶々同じ音の言葉を使っている以外の関係はない。何となれば、上記のように客観的手法で定量的に測定し得る必要があるし、その数値はエネルギーの単位で表現できなければならないが、まともな科学的定義すらない『文学的表現としてのエネルギー』においては、その様な可能性は全くないと言って良い。
また、トンデモさん系エネルギーの特徴として、とにかくエネルギーの大きい(高い)ことを誇る傾向が強い。だが、物理や化学を学んだ人間なら当たり前に持つ感覚であるが、在る物質の内包するエネルギーが大きいと言うことは、変化を起こしやすく『不安定』であると捉えるものだ。例えば化学反応などを生起しやすい場合であれば、それはある意味『危険物質』と見なした方が無難である。ちょくちょく見かける怪しい健康系の宣伝で、『エネルギーの高い水』などと言う文章を見れば、『それってお湯のことと違うか』とツッコミたくもなるものだ。
これ以外にも『波動』に関しては、量子科学における波動方程式で示される概念の波動と、全く別の波、例えば単なる振動や音波を混同した理屈付が行われるし、原子(or 分子)が在る規則を持って周期的に並んで結合した構造を意味する『結晶』を、ただ単にキレイな形に見える塊（雪の結晶や水晶など）の意味に取り違える。特に雪に関しては、水分子の結晶ではあるが、それだけなら冷蔵庫で凍らせた角氷だって立派な結晶であることにすら気付いていないか、無視をしている。また、結晶の定義に求められる規則性や周期性に対して、見た目の『美醜』等という恣意的概念が入り込む余地は一切無い。
【ｄ】効能などの『万能性』
トンデモ系の商品、特に健康系において非常によく観察されるのが、効能や効果の『万能性』である。高血圧、糖尿病、ガン、肺炎、肝炎、高脂血症、アトピー、火傷、床ずれなどなど思いつく限りの病気に対してだけでなく、ご飯が美味しくなったり、釘が錆びなかったり、風呂の水垢が取れたり、植物が良く育ったり、食べ物が腐りにくかったり、お酒や味噌などの発酵を促進したり、その上雑菌やカビや藻の繁殖を抑制できたりと、とにかく『何にでも効く』と言いたがる傾向が強い。
ただし、＜�機筺擅磧曚任盻颪い人佑頬�人の健康を改善することは不可能であるので、文字通り『万病に効く』等ということはあり得ない。しかしながら、あまりに万能性を求めすぎて効能同志で相反することを含む例が結構るので、良く読めば中々笑える。
例えば、基本的には微生物の代謝活動である発酵と腐敗を、一方は促進するのに他方は抑制するという、非常に『器用』なことが出来ると主張する。実際問題、発酵と腐敗の違いは、その代謝活動あるいは代謝生成物が人間にとって有益かどうかと言う、人間の勝手な都合だけのことであるので、その片方だけを促進しもう一方を抑制するメカニズムを成立させることの方が考え難い。
また、健康系においてこれらの万能性を謳うキーワードとして『免疫機能を高める』に類することが、比較的多く見られる。しかしながら、アトピーなどのアレルギーは人間の免疫機構が過剰反応しているのであり、もし本当に自己免疫機能を高めてしまうとすれば、さらに病態が悪化する可能性が高いのだ。実際の医療で処方される薬品の場合は、この免疫反応を抑制するためのモノであるらしい。それでも、トンデモ系の宣伝では、堂々と『高い免疫機能』と『アトピー･アレルギーの症状改善』が併記されている例は、かなり多く観察される。
また、この手の業界で忌み嫌われる『活性酸素』は、体内の免疫機能によりも産生されるモノであり、その外部から侵入した細菌などに対する防衛能力を担う重要な物質である。免疫反応が活発に生じると言うことは、それは活性酸素の発生量が増していることも意味しているのだが、トンデモさんがこのことを考慮した言説を採ることは、ほぼ皆無に近い。
この『万能性』に注意しておけば、トンデモ系を見分けるときに、かなり良い指標となる。この手のトンデモさんの多くは、何の裏付けもなくても自らの主張の『風呂敷』を出来るだけ大きく拡げたがる（要するにハッタリをカマしたがる）傾向があるのだ。コレは正統的な自然科学の傾向とは全く『逆』と言って良い。科学においては理論や条件を明確にするため、その主張のカバーする範囲を限定した議論を行う必要があるからだ。よって、基本的に万能である度合いが高ければ高いほど、科学的な信憑性や効果の大きさは小さくなると考えないといけない。冗談めかしてこんな関係式を提案している人もいるくらいやし(笑)
【ｅ】ワンフレーズ的キーワード使用法
科学で使用される、あるいは使用されそうな単語に『勝手な用語解釈 or 意味付け』を行い、某前首相張りの単語をワンフレーズ的に使って、素人を煙に巻く手法である。つまりはハッタリの一種である。実際使われるのは、非常に広い分野の色々な用語が対象とされ、パターニングは少々困難であるが、基本的に一般人が何処かで聞いたことがある（ある気がする）が、その意味や定義をよく把握していない単語が使われるようだ。
使われるキーワードの代表例として、『イオン』『分子』『ナノ』『素粒子』『水のクラスター』『電子』『半導体』『ニュートリノ』『チタン』『ゲルマニウム』『トルマリン』『磁気』『触媒』『還元(or酸化)』『電磁波』『遠赤外線』『活性酸素』『免疫』『酵素』『アミノ酸』『新陳代謝』『浸透圧』『α波』等々多岐に渉るほか、『マイナスイオン』や『活水』『活性水素』『デトックス』等という一見専門用語風でその実、科学とは全く関係のない言葉も多く使われる。また、勝手に『○△効果』とかの造語を、さも科学業界で一般的であるかのように使う例も少なくない。
ただし、用語の使い方が微妙だったり、明らかに間違っている場合が多いので、高校レベルの理科の知識の援用や論理構成の検証をするだけで、結構怪しさを判別できることも多い。（この手のが香ばしいトンデモ臭を最も判りやすく醸し出すようだ。）
【ｆ】論理の飛躍･すり替え
トンデモさんのトンデモたる所以は、その論理や根拠が客観性･普遍性を欠いていることである。このため、必然的にその主張には論理の飛躍などの不整合が含まれる。
わかりやすい例として、以前にも書いた戦後日本最大の迷信にして、擬似科学の代表選手『ＡＢＯ式血液型性格診断』で、良く見られる主張で見てみる。（例えばココの後ろから１／３辺り）
なんじゃそりゃ？と言う記述が幾つかあるのだが、その中で同血液型性格診断の根拠として『戦後の総理大臣の血液型にはＯ型が多い』を例に取ると、
�� 戦後の内閣総理大臣の血液型の内、Ｏ型の占める割合は日本人の分布と比較して有意に多い。
�� 『ＡＢＯ式血液型』と『総理大臣』には相関がある。
�� これは『ＡＢＯ式血液型』と『性格』の相関の証拠である。
と、要約できる。こうやって書くとかなり明確になるが、どう見ても�□���の流れには論理の飛躍があるのが判る。わざわざ指摘するまでもないだろうが、最低でも『総理大臣に就任』が『性格』とどう関係するのかを論理的に証明していない限り、それは明らかに空理空論でしかない。
また、�，六�実であるかも知れないが、�、��△皀魯奪�リ言って疑わしい。２０〜３０人程度のデータでは母数に対して小さすぎるので、『単なる偶然』であるとの疑いを払拭できるモノではない。
蛇足：件のページでは『自民党の派閥のトップ』云々という面妖なネタも出ているが、コレに関しても結局は『自民党の派閥のトップ』に就任することと性格の関係を証明していないので、同じく意味を成さない。それ以前に、データも示さず、『自民党の派閥のトップはＯ型が多い』等と断言している辺りは良い味を出してるが。しかも戦後間もない時期のヒトの血液型って、どうやって調べたのかね？何処かに信憑性の高い資料があるのかな？
これは非常に判り易い一例ではあり、もちろん、かなり注意深く精査しなければ判別できない場合も多い。とはいえ、少しばかり訓練して、事細かに論理の流れを追っていけば、この手のごまかしに気付くのは難しくはない。要は『とりあえず疑ってみる』と言う姿勢が有効である。
【ｇ】擬人化
人間ではない生物や生体物質、あるいは化学物質や自然現象などが、あたかも判断力を有して意思を持って行動しているかのような奇異な主張を行うもの。しかも、なぜか『人間にとって都合の良すぎる』行動ばかり取ることが多い。
この項目は＜�供筺擅筺曚判鼎覆詆�分が多く、そこで示した発酵と腐敗、免疫機構とアレルギー・活性酸素などの例は、これを成立させるためにはどう考えても細菌や健康食品や妙な機械が、独自に判断力を持って人間の利益になる方向にのみ活動することが必要不可欠になる。が、何故そうなるかについては、もちろんのコトながら論理的な説明は一切語られることがない。
少なくとも、世の中はそんなに都合良く甘くは出来ていないことに、気付くべきである。大人なんだから・・・・
【ｈ】恫喝系
自らの主張を受け入れさせるために、危険性などを殊更に強調し、他人を『恫喝』して、相手の判断力を鈍らせるモノ。その『危険性』なるものに、客観的な根拠があることはマレで、在ったとしても『針小棒大』でしかない。要するに、家相が良くないとか、水子の霊が付いてるとか言うて、ハンコやツボを買わせる輩と一緒なのである。『発ガン性』とか『血液ドロドロ』などのインパクトのある単語を使うなどして、不安に駆られたヒトを騙して高額な物品や効果のない粗悪品を売りつけることが多い。一般的によく見られる代表選手として『水道水』と『電磁波』の危険性の喧伝は、広く見られる。
まず、水道水では感染症防止の目的で添加される低濃度の塩素及びその反応生成物であるトリハロメタンが目の敵にされる。確かにトリハロメタン類では「クロロホルム」と「ブロモジクロロメタン」が国際がん研究機関により発ガン性に関し、「Group2B ヒトに対する発癌性が疑われる（Possibly Carcinogenic）、化学物質、混合物、環境」に分類されている。ただし、この分類名を見れば判るように『発ガン性がある』と断定しているのではなく、『かも知れない』程度らしいのだ。同じグループに『コーヒー』があることからも、その危険性の程が推察される上に、水道水中の同物質はPPMオーダーでしかないので、大した脅威ではない、と言うか気にするほどではないのは間違いない。
また、『電磁波』に関しては、送電線と小児白血病との因果関係が疑われたことに端を発し、ＯＡ機器や携帯電話の急速な普及と相俟って、その害が強く疑われるようになった。これに連れて種々雑多な『電磁波防護グッズ』が市場に氾濫し、また『電磁波過敏症』等と称される病(？)もちらほらと見られるようになってきた。
しかしながら、そのほとんどは『電磁波』と言うキーワードは使えども、その意味を理解していない、あるいは敢えて無視しているとしか思えないのだ。
周知の通り『電磁波』と言う用語で表される波は、その周波数の小さい（＝波長の長い）方からでは超低周波〜超長波から始まり長波〜中波〜短波〜超短波〜マイクロ波につながる電波領域に引き続き、〜赤外線〜可視光線〜紫外線〜Ｘ線〜γ線までを含む、とんでもなく広い領域を指している。
件の小児白血病に関してはＷＨＯが送電線から出る電磁波など、非常に周波数の低い『超低周波のみに限定』して、予防的に勧告を出した段階である。ただし、動物実験などでの再現には成功していないので健康被害が確定した訳ではないそうではあるが。
であるのに、上記の電磁波対策グッズのほとんどが、その対応する波長域すら明示せずに効果を謳っているのである！これなら、ＵＶカットのクリームだって紫外線という電磁波を防いでいるし、なんとなれば肉眼で不透明なものであれば可視光域の電磁波を遮蔽しているのだから、このような屁理屈での逃げ道は幾らでもあって、何も言っていないに等しい。最低でも、どのようなモノから放射される、コレコレの波長(or周波数)域の電磁波を何％遮蔽できることを明確に示していない限りにおいては、インチキと見なして良い。
この傾向は電磁波過敏症に関しても見られ、発症に関連する電磁波の波長域を特定した例は寡聞にして知らない。これでは単なる擬似相関でしかなく、ＷＨＯでも『医学的診断でもなければ電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない』としているらしい。
＜�掘筝�威主義：
これもハッタリの１パターンであるが、論理的補強をするために『権威（らしきもの）』を持ち出して、信用させる手法である。こう言うのが出て来たら、とにかく眉に唾を付ける習慣を付けた方が良い。
【ａ】『○○博士』『☆☆教授』などの研究者･開発者の大看板：
権威主義の中でも代表的なモノがコレであるが、特に商品の説明の中にこういう手合いの説明が存在する場合は、まず疑って掛かるべきである。なぜなら、真っ当な製品であれば、一番に誇るべきはその性能であり、誰が発明しようが、図面を引こうが関係ないのだから。（その『開発者』が『生産者責任』を負うというのなら話は別だが。）
例えば、トランジスタの商品広告にショックレーの業績が引用されたり、PAN系炭素繊維のスペックシートに新藤博士に関する業績が記述されることはあるまい。今流行のLED式交通信号でも、その導入理由や売り文句は、低消費電力や高い視認性であり、裁判で有名になった中村教授(←純粋に学問的に見て彼のみの業績とするのは異論があるかも知れないが)の話には余談以上の価値はない。
だいたい、この手ので出て来る博士や教授が、ハッキリ言うて一般に知られているような有名人である場合はほとんど無い。と言うより、業界関係の有名人を一般人が知っている例の方がマレであろう。だから、こんな個人名を出されたとしても、有機栽培野菜の『私が作りました』写真やあるまいし、受け手にとっては本来『全く意味を成さない』情報なのだ。
また、たとえ御大層な『肩書き』が付いているだけでは、権威として信用するには値しないことにも留意すべきである。例えば素粒子物理学の博士が生物の進化に関しては専門家でないのは明らかだし、国際経済学の教授が赤外線について語っていても、素人と同じとしか言いようがない。要するに肩書きはその『専門分野のみ』においてしか通用しないのは、本来社会常識であるはずなのだが、トンデモネタの場合は、良くても分野違いの人間、ヒドいときは全く架空の業績を喧伝していて、本来の業界関係者にすれば『ドコの馬の骨や？』だったりする。
【ｂ】研究機関などの強調
上記【ａ】と同様に、研究機関を強調している場合も要注意である。また、この場合の組織には、犯人型と濡れ衣型がある。
�� 犯人型：自分たち(あるいは大元のトンデモ関係者)が勝手に作った組織にご大層な名前を付けて、さも権威のある高名な研究所を装ったものである。
�� 濡れ衣型：全く関係のない組織を、さも自分の主張の科学的保証をしているかのように誤解させるもの。これのパターンには、以下のようなモノがある。
�◆櫂� 捏造型：どこか(おそらくは外国)の著名そうな研究所名を引き合いに出すもの。コレには実在する具体的な組織名を用いる場合と、『欧米の有名大学』みたいなボカし方を用いる場合がある。前者の非常に有名な典型例が『ＮＡＳＡで開発された』があり、あまりに使われすぎたせいで最近では一般人にすら『ジョーク』としか受け取られない。
�◆櫂� 編集型：専門家に当たり障りのない『一般論』のコメントだけ貰うか、あるいは全く違うことを述べている論説の『一部だけを抜粋』し、それを自分の主張の絶妙な位置に、それらしく配置することで、さも専門家のお墨付きを得たように見せかけるもの。例えば『食物繊維の摂取は健康に重要』と言う一般論から、無理矢理『ココアが健康に良い』等という結論に持って行くようなヤツだ。マスコミなどで流れる怪しい健康情報には、この手のが非常に多く含まれる。要するに『編集の腕』だけで、もっともらしく見せてる訳である。
�◆櫂� 消防署型：例えば、どこかの公的研究機関にお金を払って検査をしてもらっただけとか、どこかの大学にコッソリ売りつけることに成功したなどを、あたかも当該機関が科学的にお墨付きを与えたように喧伝するもの。前者は『コレコレの数値を測ってくれ』と依頼されただけで、その内容に関しては精査などしないのが普通であるし、後者にしても設備の購入に際して大学に所属する研究者や専門家に諮ってから購入することなど、ほぼ有り得ないことであることから、実際には何の意味も持たない。要するに全く関係ないコトからネームバリューだけを不法に利用する手口で、歩いてきた方角から『消防署の方から来ました』と言って消火器を売りつける詐欺的押売と同じなのである。
【ｃ】マスメディアの権威化
こちらは基本的に『受け手』の問題に帰着するのだが、新聞記事で読んだ・ＴＶ番組でやっていた・雑誌に載っていた等と言うことを持って、無条件に内容を信じてしまう人間は、恐ろしいくらい多いものである。ちゃんとした専門家に取材しての記事や番組ならまだ良い（マシ）のだが、新聞でも生活欄などでは、かなり怪しい記事が掲載されていたり、ＴＶのバラエティ番組に至っては、面白さと判り易さが優先され、正確さや信憑性が顧みられる例は少ないので、信用出来そうなものを探す方が難しい。
とは言っても、新聞などにしたって、ソレこそ業界の専門紙でも無い限りは、専門性を非常に高めた記者が内容を吟味している訳では無いのが通例だし、その番組の多くを外部の制作会社に頼るＴＶに至っては社内にマトモな専門担当が居るのかどうかすら疑わしいので、真面目な科学記事や報道番組であっても無条件に信用するのは感心しない。
ただそれ以前に、この手のを見て信用したヒトの話などを聞いていると、マスメディアの記事･番組そのものではなく、ドラマや小説などのフィクションや、広告欄･ＴＶＣＭがネタ元だったりする例が結構あったりして、コチラとしては脱力するものである。そう言う手合いは最初から話の内容を大幅に差っ引いて接するべきモノであると言う教育を、幼少時代から叩き込む必要があるのかも知れない。
まぁトンデモさんの中でも、インチキ業者さん系は、コレを悪用して商売することも多いので、『○△新聞で紹介されました』とか『ＴＶに取り上げられました』等という文句を喧伝する広告は、まず眉に唾を付けるべしと言うサインであり、ある意味非常に見分けるのが楽な例ではあるのだが・・・
この系統には、芸能人･有名人による体験談･推薦談が含まれる。言うまでもなく彼らは専門家ではないので、その信憑性は『単なる素人』を上回ることはない。それどころか、多くの場合『広告』であるので、『ギャラの発生している仕事』としての発言であり、信頼性は一般人よりも大幅に差っ引くのが常識的判断であろう。
【ｄ】『風説』の権威化
『（世間で）○○と言われている』ことを持って、根拠とするモノ。『空気のビタミンと言われているマイナスイオン』とか『ガンが治ると言われているアガリクス』が回答例。健康系に於いては、かなり高い確率で『体験談』とセットで示される。要するに、結局は『伝聞』以上の根拠が示されることはないのだ。
また自分の脳みそを使って創意工夫をするという発想そのものがないので、多くの場合において他人の宣伝文句の『コピペ』であったり、さらには元ネタからの情報の劣化が観察されることも多い。
コピペの例では、ゲルマニウム系装身具における『３２℃で電子が飛び出して云々』が有名。もちろん、ゲルマニウムに関して、ソレに類する物理的事象は一切知られておらず、どこにも根拠になる出典がないのだが、判を押したようにドコでも『３２℃』と『電子』言うキーワードだけはセットで使われ続ける。(逆に言えば、このキーワードを肯定的に含んでいれば、トンデモと見なして良い。)
情報の劣化の例は、『水のクラスターが小さくなる』系のトンデモが、自分の使っている言葉の意味すら理解出来ていないため、いつの間にか小さくなるのが『水の分子』に変化していたりするのが散見される。もちろん、仮に水分子の大きさが小さくなったとすれば、それはもう既に水ですらなくなっているのは言うまでもない。
また、トンデモ側の意図として、『ホンマやろな？』とつっこまれた場合に『そぉ聞いただけやからワシ知らん！』と逃げるための姑息な戦術を含んでいる可能性も高い。つまりは自らが証明や確認をする気など、サラサラない訳だ。言うなれば『責任転嫁型』あるいは『責任放棄型』のトンデモさんと言える。
【ｅ】既存権威への思い込みと敵意
これは上記までの権威主義とは違うモノなのだが、トンデモさんの中には既存の学説と対立する主張を行う上で、既存の（マトモな）権威の存在は邪魔である。であるから、マトモな専門家が普通のことを話しているだけで、敵対勢力と認識して攻撃の対象にする。ただし当然のことながら、その攻撃内容が論理的であることはなく、また全然関係ないことをあげつらって相手の信用を貶めようとするものも多い。
この様な対応を取るトンデモさんの場合、＜�検筺擅磧霸∨天呂飽楾圓垢訃豺腓發泙涕�られる。
また、コレが特殊なねじ曲がり方をして、既存権威を単なる思い込みだけで勝手に『教祖』のごとく祭り上げて、その『妄想』を根拠に批難する、非常にややこしい輩も居る。特に『相対性理論は間違っている』系や『進化論なんてインチキだ』宗派に顕著である。何故かと言えば、その両者には、それぞれアインシュタインとダーウィンと言う超有名人が存在していることが、彼らの目に留まりやすいことともに、その高い名声がある種の嫉妬の対象となっているからである。この場合も、トンデモさん達は彼らの業績やその理論の内容を理解している訳ではなく、と言うか、全く理解出来ていないので『自分に理解出来ないことは間違っているに違いない』程度の言い掛かりでしかないのはご愛敬。
例えば前者に関しては、色々と矛盾点（←と彼らが思い込んでいるモノ）をあげつらった後に、『偉大なアインシュタインが言っていることなので、みんな疑わずに盲目的に信用しただけなのだ』等というアホな話をマジメに主張する。しかし、彼らは、アインシュタインが『相対性理論を組み上げて、その理論的予言が後に確認された』ことにより名声を勝ち得たと言う事実、つまり『アインシュタインが偉大だったから相対性理論を信じた』のではなく『相対性理論が検証されたからアインシュタインが認められた』と言う時系列の逆転にすら思い至らない。
しかも、相対性理論がアインシュタインが最初に唱えたときから１ｍｍたりとも進歩・変化していない、あたかも『宗教』であるかの様に思い込んでいる節がある。実際は数々の検証と修正を経て、アインシュタイン本人のみならず多くの物理学者によって、どんどんアップデートされ続けているという事実には、全く思い至らないし、指摘されても聞く耳を持つことはない。つまり、これらのトンデモさんの主張の方が、科学ではなく『信仰そのもの』なのだ。
＜�検簗吃気力斥�：
『無謬』と言えば正しいものだと思われるかも知れないが、言わんとするところは、最初から『間違いの存在を認めない』とか『批判そのものを受け付けない』とか『逃げ道を一杯残して、屁理屈で言い逃れする』だけのものである。要するに、『あぁ言えば、こぉ言う』ってだけで、ぶっちゃけて言えば単なる『屁理屈』でしかない。
まともな科学というのは、『間違いがあるかも知れない』と言う前提で、論理や手法を構築し、かつ他者により客観的に検証することで、その信頼性を高める営みを経てきたものであるので、こういう手合いとは根本から異質のモノである
以下に､その姑息な手口の代表例。
【ａ】客観的条件の未提示
コレはほとんどの実験系トンデモさん（体験談系も含む）に見られる特徴である。
トンデモさんの行う実験･検証は、客観的な条件が曖昧･不明瞭で客観的な検証をするために求められるデザインから程遠く、かつ恣意的な操作や選択が入り込める内容であり、科学的議論･評価に最低限必要とされる要件を満たしていない。よって彼らの行う実験は、何か未知の現象を知るためのexperimentではなく、それらしく見場を取り繕っているだけのdemonstrationに過ぎないのは、かねてより指摘されていることだ。
つまり、トンデモさんの実験は『実演ショー』であり、こんなモノを幾ら積み重ねたとしても、科学的な新しい知見を得ることも、期待する効果を客観的に確かめる能力も、ほぼ有り得ない。
これを逆に見ると、その実験に対して科学的に否定するに足るデザインの実験で対抗しても、肝心な部分での条件がいい加減なので、いくらでも『それはウチの条件とは違う』と逃げる余地がふんだんにある訳だ。加えて、科学的に意味はなくても『そう言う実験(測定)結果が出たんだから事実には違いない』と開き直るのもパターンである。（この言い訳は＜�供筺擅瓠曚良集酬燭任發△襦�）
また、体験談系に関しても、全く同じコトが言える。特に健康系トンデモで重きをなす体験談であるが、この手の物は科学的な視点からは、ほとんど意味を持たない。まず、各人の状態(健康状態･治療状況など)を客観的に確かめる術がないので、本当に健康に影響を与えたのかは全く確証がない。また、よしんばその提示された体験談が全て真であると仮定しても、効果がなかった人数が一切不明であるので、データとしては役に立たない。
まぁ、体験談系は体験を語っている人間の主観的な思い込みに強く依拠していて、客観データとするにはかなりの注意が必要になるから、業者系のモノは読むだけ無駄である。ヒドい例では摘発されたアガリクスのバイブル本のように、全ての体験談が『ツクリ』であったこともあるしなぁ。
健康系以外では『ＵＦＯ』とか『ＵＭＡ』の目撃談もコレに当たる。そしてこれらの目撃談は、客観的な裏付けがないにもかかわらず、自分の見たモノが既知のモノ(ＵＦＯなら飛行機とか星とか、ＵＭＡなら既存の生物や生物集団など)ではないとの強い確信とセットになっている。要するに『だって、見ちゃったんだもん。』程度の根拠しかない訳だ。目撃者の共通した習性として自らを決して疑うことがないので、一旦思い込んだら、枯れ尾花は幽霊に見え、どんな論理的な忠告や説明も馬の耳に念仏と化すのである。
【ｂ】『好転』反応
コレは、健康系トンデモに固有の特徴であり、＜�供筺擅筺曚良集酬舛琉貅錣任△襦４靄榲�にトンデモさんは自分の主張が例外なく成立し無制限に効果があると思いたがる。また、元々胡散臭く見られていることを自覚している部分もあるせいか、マイナス方向のイメージや結果を異常なほど嫌悪するという傾向が見られる。
その結果、体質などにより体調を害する様な場合や、適量を超えた場合の副作用などの存在を、否定してしまう。このために使われる方便が、好転反応と呼ばれるマジックワードである。本来は漢方などで用いられていた概念を元にした言葉のようだが、症状の悪化や副作用をごまかすための言い訳として誤用されたようである。
曰く『身体の治癒力の高まりにより、一時的に症状が悪化したように見えるが、我慢してソレを過ぎれば快方に向かう。』等との屁理屈で、騙されている被害者を長く引き留めようとするもの。要するに単なる時間稼ぎのための詐欺的言辞に過ぎない。
だいたい、マトモな商品であれば、『ナニか異常があれば即刻使用を中止して医師に相談せよ』等と注意書きがしてあるモノだ。当然ではあるが、＜�機筺擅磧枦�で述べたように万人に適用出来る健康法も、万人が服用して問題が起こらない薬も存在しないからだ。ソレを多くの場合、個人差を全く考慮せず、また診察などのプロセスすら経ない勝手な判断で『好転反応だから大丈夫』等と言い切ること自体、トンデモの証拠と見なして良い。このようなセールストークを使う輩とは、迷わず断固として縁を切らなければエラい目に会うのは確実だ。
【ｃ】陰謀系
世の中には『陰謀』好きな人間は、結構多いものである。フィクションの題材としては面白いのだが、現実世界を論ずるに辺り、この手のを持ち出す場合には、かなりの注意を必要とする。なぜなら、自称『自分(達)だけが掴んだ裏の情報』だけで言い切ってしまえるので、使いようによっては最強の論理になるのだ。ただ、見方を変えればマトモな根拠など有りはしないと言うことでもある。
と言うより、モノが『陰謀』だけに証拠なんか出て来ようがないのだ。なんせ『陰に隠れたはかりごと』だから(笑)
陰謀系の論理展開も大別すると�‐霾鷄Ｊ歎呂鉢�被害妄想系が見られる。
�� 情報隠蔽系：世の中には一部の人間が利益(金銭的でないモノも含む)を独占するために、情報や技術を隠していると主張するタイプ。例えば『実は永久機関は発明されているが、石油メジャーが自らの利益のために隠蔽している』(永久機関を宝石グレードの人工ダイヤ、石油メジャーをダイヤシンジケートに換えても可)とか、『割れないガラスが発売されないのは、ガラスメーカーが商売を続けていくためだ』みたいなのが典型的。
トンデモさんの一大勢力であるＵＦＯ＝エイリアンクラフト信者などでは、米軍は既に宇宙人と接触(or 捕獲)しているが、その技術を独占するために隠し続けている等というのは、定番中の定番である。特に彼らが濡れ衣をかぶせるのが『ＮＡＳＡ』であろう。彼らが宇宙飛行士の交信や火星の人面岩を意図的に隠しているとか、フィクションに感化されたのかアポロが月に行ったのは捏造だとか言って、ＮＡＳＡを批難する。ただ、彼らの根拠とする写真や更新記録などの大元の出所がＮＡＳＡそのものであると言うことには思い至らないようだ。本当に隠す気があるなら、そんなもん、表に出す訳無いのに(笑)
変形例として『９１１テロはアメリカの自作自演』論者ってぇのも同じ系統なのだが、ニセ科学系とは微妙に外れるので割愛。
�� 被害妄想系：自分の主張が認められないのは、誰かがジャマをしているからだと言うヤツ。自分に対して絶対の自信を有しているためか、特に既存権威(と勝手に思い込んでる対象)に対しての敵意が強い場合が多い。コレ単独に発症するよりも上記�，覆匹肇札奪箸埜�られるケースも多々見られる。
彼らが敵視する権威には、科学者(学会)、政府機関、巨大企業、宗教とか民族(ユダヤとかね)など多岐に渉る。下手をすれば宇宙人とか未来人なんてのもあるようだ。まぁ、いずれにしても、お門違いとか言い掛かりとしか言いようがない。
ガンに効くと主張しているのに医薬品として認可されないのは医学界の利権のせいだし、聖書に記述してあるイベントが科学的事実だと認めないのは無神論者や天文学者の迫害だし、永久機関の特許が認められないのは石油業界の妨害だし、宇宙人実在の証拠はＮＡＳＡによって隠滅させられているという訳だ。
挙句の果てに、月に大気がないのも、太陽が冷たいのもＮＡＳＡの流した偽情報だなんて言う輩まで居るのは、同情に値する。だって、そんなもの、ＮＡＳＡが出来るずっと前から『常識』だったんだもの。
で、この手のタイプは、他人の知らない裏の情報を自分(たち)だけが知っていると思い込むことで、ある種の優越感を感じるケースがままあるようで、例え論理的･客観的に反証されたとしても、モノを知らない一般人からの言として何の裏付けもなく却下してしまう。それどころか、理路整然とした反論や、否定するようなエビデンスを示されると、それ自体を敵対勢力の陰謀であると勘違いして、却って意固地になることも多いように思える。要するに、最初っから理屈など無縁の話なのだ。
【ｄ】『疑念』を拒絶
コレは実験系トンデモ、特に超能力系トンデモさんが最後に頼る大技。曰く、彼らの実証実験が上手く行かないのは疑っている人間の精神が干渉したせいだ等と言い訳するものだ。考えるまでもなく、そんなことを言ったら、自分の『信者』意外を排除している訳で、自らが『科学を偽装したインチキ宗教』と自白しているのに等しい。
もうココまで来ると、見苦しいとしか言いようがないのだが、なぜかソレでも騙されてしまう人間はいるモノなのだなぁ、コレが。
【ｅ】科学では判らないと言う『言い訳』
この手の言い訳はかなりの確率で散見され、『予防線型』と『後出しジャンケン型』のパターンが見られる。
� 仝綵个轡献礇鵐吋鷏�：最初は『科学風』の用語を使い、如何にも科学的裏付けがあるように見せながら、専門家などから『イタいところ』をつっこまれると、『科学では判らないこともある』とか『現代の科学ではまだ解明出来ないのだ』等と言って、逃げる連中には事欠かない。
結局は科学では未解明であることを認めていながら、自らの主張が科学的であることは撤回しない。絵に描いたような自己矛盾である上、『なぜ、科学的に証明してから主張しないのか？』と言う、至極真っ当な問いに答えることはない。
所謂『水伝』などは、この典型パターンと言えるだろう。
�◆〕祝廟�型：これは最初から『世界には不思議なことがある』とか『科学では判らないこともある』等と言い訳をしながら、トンデモ理論を展開するもの。一見すると科学では関係ないと言ってるのだから問題無さ気に見えるのだが、だからといって、自らの主張が客観的かつ普遍的な『真理』と断定して譲らないので、結局は�，汎韻献肇鵐妊發覆里澄�
どちらかと言えば教祖系トンデモよりも信者系トンデモに多く見られる傾向である。
また、これらの言い訳を使うトンデモさんには、『地動説』のガリレイと『大陸移動説』のウェゲナーの事例を引っ張ってきて、自分たちを彼らになぞらえて将来には自分たちが正しいと証明されると強弁することも間々ある。しかしながら、ガリレイを断罪したのはあくまで宗教権力とその都合であり、科学で否定された云々とは違うので元々関係ない話だ。ウェゲナーに関しては、確かに彼の主張した説は、現在地球科学の主流となっているプレートテクトニクスと見た目は良く似通っている。ただ、彼の主張はあくまで『陸地が移動』することを主張しており、陸地を乗せた海洋底ごと移動するという現代の学説とは似て非なるモノであることに留意すべきだ。また、彼の学説が受け入れられなかったのも、彼が想定した大陸移動の原動力（大陸塊に働く浮力や、潮汐力など）が、当時の科学水準でも充分に否定されたのが原因であり、その部分に関しては現在の科学でも結論は変わらない。
しかも、たとえ将来科学水準が向上して、現在否定されている、あるいは知られていないことが立証されるとしても、そのための議論の俎上に載せられ、『科学の定説』を覆すことのできる『新説』には、『満たすべき資格』が存在する。すなわち、
○目的とする対象を論議・あるいは検証するに際して、客観的に確からしく、かつ適した論理及び手法を用いて得られた結果であること。
○今現在判っている（観察・観測されている）事象に対して整合性を持っていること。
の２つである。トンデモさんの言い分は、正にこの部分が欠落しているので、トンデモ呼ばわりされているのであり、ガリレイやウェゲナーを引き合いに出すなどは片腹痛い。
【ｆ】ダブルスタンダード
言い方を変えると、『他人に厳しく、自分に甘い』と言うもの。しばしば＜�機籠鷂杵世肇札奪箸埜修譴襪海箸�観察される。
自分が敵視する主流の科学理論や、その分野の科学者(特に著名な)に対しては重箱の隅よりも小さいところを突っついて完璧な説明が出来ていないからダメだ等と言うクセに、自らの主張の立証には単なる主観的感覚のみで良しとして、どんなに穴があろうと気にしない。
例えば、『進化論は間違っている系』トンデモさんの多くは、進化の過程における未発見の中間種の存在等を引っ張り出してきて、あたかも鬼の首でも取ったように批難する訳だが、自分の主張(かなりの場合は創造論などの宗教がらみであるが)の説明は、それ以外には考えられないからの一言で済ましてしまう。まぁ先ほども書いたように二元論的思考の人間が多いので、相手が間違っているなら自分が正しい等という戯けた理屈だけしか持ち合わせていないのが見え見えなのである。
どんな科学領域においても一点の曇り無く全てが解明された分野というモノは、おそらく存在しない。と言うか、だからこそ科学者の飯の種がある訳で、少なくとも現状も研究が続いているのであれば、未解明な部分は当然残っているのである。であるから、全ての細かい事象まで証明し切れていないことを持って、その理論を棄却することは単なる言い掛かりでしかない。
しかもヒトへの批判に終始して自説の証明が非常になおざりであるので、よく論理を追って見ていけば、素人でも怪しさには気付けるので、ある意味判別しやすいトンデモさんと言える。
また、主流科学理論への批判と言っても、所詮は知識もセンスも学習意欲も乏しいトンデモさんのこと、既に解決済みのことや、単なる勘違いのツッコミをしている例の方が多いので、ちゃんと聞く耳を持って初歩を素直に勉強すれば、『アホらしい』の一言で切って捨てられることも少なくない。
また＜�機筺擅瓠曚筺祗機筺擅癲曚肇札奪箸両豺腓如�同じ物質でも天然物だと安全で合成物だと危険とか、同じ症状を起こしていても昔からあるモノに接するのは問題ないが最近出て来たものはダメ(EX：ゲーム脳など)と言う、ハナから理屈になってない言も含まれる。
＜番外編＞ノンフィクション系ベストセラー
これは、上記のような解説を付けられない、単なる筆者の経験則でしかないのだが、自称を含むノンフィクション系ベストセラーは、かなりの確率でトンデモを含む場合が多く、最初から眉に唾を付けて接する方が無難である。ここ数年で言えば『脳内革命』『神々の指紋』『買ってはいけない』『ゲーム脳の恐怖』などがソレに当たる。
どうやら、ベストセラーになるための条件の１つとして、客を惹き付け得るインパクトの強いタイトルが不可欠になるように思えるのだが、それは得てして正確あるいは誠実であることの放棄に繋がるようである。
また、もう１つの条件として、想定する購買層の大多数を占める素人にとって判り易くするために、内容の単純化も必須であるようだ。元々複雑であるはずの現実を無理に単純化した場合、多くの場合が誇張かウソに繋がりやすい。
世の中、あまりに明確に決め付けることのできるコトの方が、圧倒的に希なケースであることを肝に銘じておくべきで、判り易く断定するモノほど疑った方が良い。
2007年04月04日
言い逃れ
今日、帰宅してＴＶを点けると、フジＴＶで例の国民的捏造番組、あるある大事典の検証番組を放送していた。しばらく見ていると、前々から想像していた通り、「こいつら全く反省しとらんわ」と言うのが見え見えでムカムカしてきた。
基本的に捏造の責任を制作会社の下請けのディレクターに押しつけており、あくまで自分たちは信用してて気付かなかったと言う立場を貫いている。もちろん口では気付かずに放送した自分たちにも責任があるとは言っているが、なんとかして自社の責任を矮小化しようとしているのが丸分かりで見苦しい。丸投げした上に、出来上がってきた『商品』を検査することすら怠っていたのであるから、最大の責任は自分たちにあるのは明白やろがっ！
で、全体の流れとして『あるある�機戮了�はマトモやったけど、長く続ける内にだんだんと油断して、結果として『あるある�供戮任魯船Д奪�が甘くなったみたいなシナリオに沿った『言い訳』を垂れ流していた。
しかも、内容や実験の科学的信憑性を確保するような番組作りのルールが未整備であった理由として、『�気了�は学会で主流である説を再現することが主であったので』みたいなことを、恥ずかしげもなく主張するが、�気了�から怪しさが爆発していた(↓)のは周知の事実だろう。
発掘？あるあるトンデモ大実験
教養ドキュメントファンクラブ
だいたい、今の今までマイナスイオンが学会の主流であったことナゾ無いっ！！
捏造発覚後の早い時期に報道された『レタスで快眠』捏造話を、エラく早々と否定して見せ、今回発表の捏造リストには含めていないことを考え合わせれば、バレて叩かれ初めてすぐに、このシナリオに沿って言い逃れしようと考えていたことは想像に難くない。その意味では検証した外部委員に医療関係や科学関係の専門家が含まれて居なかったことも頷ける。
情報番組とは称していても、所詮はウケさえ取れれば何でも有りの単なるバラエティ番組でしかないのだから、最初っから科学的信憑性を得よう等という認識は皆無で作ってましたと公言して然るべきや無いのか。
しかも、番組制作局である関西ＴＶの再発防止策なるモノは発表された(ドレだけ機能するかわ疑わしいが)が、それを受けて放映した他のＴＶ局、とりわけ低俗バラエティ番組王国であるフジＴＶの対応策は示されず仕舞い。こんなことなら早晩、また同じような怪しげな情報バラエティ番組が害毒を垂れ流すのは推して知るべしである。
そこで、期待できぬ自浄作用の替わりに、少しは実効性の在りそうな提案を。
地方局やケーブル局などで流される、実に怪しい健康器具･食品などのＣＭ番組で、症状や体調が改善したと主張するサクラが体験談を語る(騙る？)映像に、必ず『体験者の感想で、必ずしも・・・云々』と言う、姑息な薬事法対策のテロップがコッソリと映されているのをお気付きだろうか。
どうせ同じ程度の怪しさなのだから、コレを見習って(？)、全ての情報バラエティ番組において、
『この番組はバラエティであり、科学的信憑性は確かめておりません。』
と言うテロップを、常時映さねばならないと言う規則を制定すべきである。
これくらいすれば、この手の番組の害を最小限に留められるのでは無いだろうか？これでも信用する様では、もう、宗教の域に達してるような気がするしなぁ・・・・
基本的に捏造の責任を制作会社の下請けのディレクターに押しつけており、あくまで自分たちは信用してて気付かなかったと言う立場を貫いている。もちろん口では気付かずに放送した自分たちにも責任があるとは言っているが、なんとかして自社の責任を矮小化しようとしているのが丸分かりで見苦しい。丸投げした上に、出来上がってきた『商品』を検査することすら怠っていたのであるから、最大の責任は自分たちにあるのは明白やろがっ！
で、全体の流れとして『あるある�機戮了�はマトモやったけど、長く続ける内にだんだんと油断して、結果として『あるある�供戮任魯船Д奪�が甘くなったみたいなシナリオに沿った『言い訳』を垂れ流していた。
しかも、内容や実験の科学的信憑性を確保するような番組作りのルールが未整備であった理由として、『�気了�は学会で主流である説を再現することが主であったので』みたいなことを、恥ずかしげもなく主張するが、�気了�から怪しさが爆発していた(↓)のは周知の事実だろう。
発掘？あるあるトンデモ大実験
教養ドキュメントファンクラブ
だいたい、今の今までマイナスイオンが学会の主流であったことナゾ無いっ！！
捏造発覚後の早い時期に報道された『レタスで快眠』捏造話を、エラく早々と否定して見せ、今回発表の捏造リストには含めていないことを考え合わせれば、バレて叩かれ初めてすぐに、このシナリオに沿って言い逃れしようと考えていたことは想像に難くない。その意味では検証した外部委員に医療関係や科学関係の専門家が含まれて居なかったことも頷ける。
情報番組とは称していても、所詮はウケさえ取れれば何でも有りの単なるバラエティ番組でしかないのだから、最初っから科学的信憑性を得よう等という認識は皆無で作ってましたと公言して然るべきや無いのか。
しかも、番組制作局である関西ＴＶの再発防止策なるモノは発表された(ドレだけ機能するかわ疑わしいが)が、それを受けて放映した他のＴＶ局、とりわけ低俗バラエティ番組王国であるフジＴＶの対応策は示されず仕舞い。こんなことなら早晩、また同じような怪しげな情報バラエティ番組が害毒を垂れ流すのは推して知るべしである。
そこで、期待できぬ自浄作用の替わりに、少しは実効性の在りそうな提案を。
地方局やケーブル局などで流される、実に怪しい健康器具･食品などのＣＭ番組で、症状や体調が改善したと主張するサクラが体験談を語る(騙る？)映像に、必ず『体験者の感想で、必ずしも・・・云々』と言う、姑息な薬事法対策のテロップがコッソリと映されているのをお気付きだろうか。
どうせ同じ程度の怪しさなのだから、コレを見習って(？)、全ての情報バラエティ番組において、
『この番組はバラエティであり、科学的信憑性は確かめておりません。』
と言うテロップを、常時映さねばならないと言う規則を制定すべきである。
これくらいすれば、この手の番組の害を最小限に留められるのでは無いだろうか？これでも信用する様では、もう、宗教の域に達してるような気がするしなぁ・・・・
2007年01月29日
記事訂正
先日、職場に置いてあった新聞の見出しに、ふと目が留まった。
『人工ダイヤ原料を加熱し発電 「体温充電」携帯も可能に』（朝日新聞2007年01月22日付朝刊）
へぇ〜、半導体化したら、熱電機能も出てくるんかいなぁ・・・などと、記事を読んでぶっ飛んだ(笑)。
以下に同記事の引用
＊＊＊＊＊＊＊＜以下 引用文＞＊＊＊＊＊＊＊
人工ダイヤなどの原料になるありふれた物質に熱を加えると効率のよい発電ができることを、名古屋大などのグループが見つけた。工場や自動車の廃熱で発電すればエネルギー損失を大幅に減らせ、地球温暖化対策にもなるという。２１日付英科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版に発表した。
細長い物質の一方の端を温めると、もう片端との間に温度差ができる。ビスマスや鉛など重金属では、この温度差から電力が生じる。「熱電変換」という仕組みだ。人工衛星や一部の腕時計の電源に使われるが、重金属は資源量が少なく、１０００度以下の熱で溶けるため、用途が限られる。
名古屋大の太田裕道・助教授らは、重金属に代えて、人工ダイヤの原料となるチタン酸ストロンチウムという酸化物を使った。これ自体は電気を通さないが、この酸化物と金属のニオブで、厚さが原子１個分と薄く、電気を通す層を作って間に挟むと、重金属の倍の効率で熱電変換が起きるのを見つけた。効率がいいのは、電気が極薄の層から外に漏れないためらしい。極薄の層の数を増やすと、さらに効率が上がるのもわかった。
２０００度でも溶けず、自動車のエンジンや工場から出る７００度以上の廃熱を利用して発電できる。発電効率がよいため、体温で充電する携帯電話などへの応用もできそうだ。熱電変換と逆に、電気を通すと冷える性質もあり、携帯型の冷蔵庫などへの応用も期待できる。重金属のような毒性はなく、ストロンチウムの資源量はビスマスの約１０００倍とされる。
極薄の層を挟む微細な加工はコンピューターの半導体素子を作る技術を活用でき、大型化のめどもつきそう。製造法の特許を出願中だ。
＊＊＊＊＊＊＊＜以上 引用終わり＞＊＊＊＊＊＊＊
ほぇっ？？？？ドコにも『人工ダイヤ』なんて関係無いやんけぇっっ！！！『チタン酸ストロンチウム』っちゅうのは、『人工ダイヤの原料』と違て『ダイヤのイミテーション』やっっっ！
http://cyber-j.com/bijoux/index430.html
こぉいうアホな話が報道される場合、発表した側の説明が紛らわしかったのか、発表を聞いた記者が理解できなかったかのいずれかが考えられる。
で、他紙の報道を確認してみると、毎日新聞では『ダイヤモンドに似た人工宝石の素材』とちゃんと読めば問題のない表現、讀賣新聞に至っては『容易に手に入る「チタン酸ストロンチウム」という絶縁体物質』と、ダイヤのダの字も出て来てないで。
要するに朝日の記者が全く理解してなかったことが丸分かりやなぁ(笑)
たぶん、この後、発表者辺りから怒られたんやろなぁ。気が付いたら翌日ぐらいには、コッソリと記事が差し替わってんでやんの(笑)今更『人工宝石』言われてもねぇ・・・・
新聞記事とかＴＶ報道って、報道の自由とか表現の自由とか言うて、取材した相手にもゲラとかＶＴＲとかで確認取ったりせぇへんらしいから、こんな恥ずかしい話になるんやろなぁ。それに、何年かで部署をたらい回しで異動していったりさせんと、ちゃんと専門記事書けるライターをじっくり育成せんと、こんなポカはずっと続くでしょうね。
『人工ダイヤ原料を加熱し発電 「体温充電」携帯も可能に』（朝日新聞2007年01月22日付朝刊）
へぇ〜、半導体化したら、熱電機能も出てくるんかいなぁ・・・などと、記事を読んでぶっ飛んだ(笑)。
以下に同記事の引用
＊＊＊＊＊＊＊＜以下 引用文＞＊＊＊＊＊＊＊
人工ダイヤなどの原料になるありふれた物質に熱を加えると効率のよい発電ができることを、名古屋大などのグループが見つけた。工場や自動車の廃熱で発電すればエネルギー損失を大幅に減らせ、地球温暖化対策にもなるという。２１日付英科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版に発表した。
細長い物質の一方の端を温めると、もう片端との間に温度差ができる。ビスマスや鉛など重金属では、この温度差から電力が生じる。「熱電変換」という仕組みだ。人工衛星や一部の腕時計の電源に使われるが、重金属は資源量が少なく、１０００度以下の熱で溶けるため、用途が限られる。
名古屋大の太田裕道・助教授らは、重金属に代えて、人工ダイヤの原料となるチタン酸ストロンチウムという酸化物を使った。これ自体は電気を通さないが、この酸化物と金属のニオブで、厚さが原子１個分と薄く、電気を通す層を作って間に挟むと、重金属の倍の効率で熱電変換が起きるのを見つけた。効率がいいのは、電気が極薄の層から外に漏れないためらしい。極薄の層の数を増やすと、さらに効率が上がるのもわかった。 ２０００度でも溶けず、自動車のエンジンや工場から出る７００度以上の廃熱を利用して発電できる。発電効率がよいため、体温で充電する携帯電話などへの応用もできそうだ。熱電変換と逆に、電気を通すと冷える性質もあり、携帯型の冷蔵庫などへの応用も期待できる。重金属のような毒性はなく、ストロンチウムの資源量はビスマスの約１０００倍とされる。
極薄の層を挟む微細な加工はコンピューターの半導体素子を作る技術を活用でき、大型化のめどもつきそう。製造法の特許を出願中だ。
＊＊＊＊＊＊＊＜以上 引用終わり＞＊＊＊＊＊＊＊
ほぇっ？？？？ドコにも『人工ダイヤ』なんて関係無いやんけぇっっ！！！『チタン酸ストロンチウム』っちゅうのは、『人工ダイヤの原料』と違て『ダイヤのイミテーション』やっっっ！
http://cyber-j.com/bijoux/index430.html
こぉいうアホな話が報道される場合、発表した側の説明が紛らわしかったのか、発表を聞いた記者が理解できなかったかのいずれかが考えられる。
で、他紙の報道を確認してみると、毎日新聞では『ダイヤモンドに似た人工宝石の素材』とちゃんと読めば問題のない表現、讀賣新聞に至っては『容易に手に入る「チタン酸ストロンチウム」という絶縁体物質』と、ダイヤのダの字も出て来てないで。
要するに朝日の記者が全く理解してなかったことが丸分かりやなぁ(笑)
たぶん、この後、発表者辺りから怒られたんやろなぁ。気が付いたら翌日ぐらいには、コッソリと記事が差し替わってんでやんの(笑)今更『人工宝石』言われてもねぇ・・・・
新聞記事とかＴＶ報道って、報道の自由とか表現の自由とか言うて、取材した相手にもゲラとかＶＴＲとかで確認取ったりせぇへんらしいから、こんな恥ずかしい話になるんやろなぁ。それに、何年かで部署をたらい回しで異動していったりさせんと、ちゃんと専門記事書けるライターをじっくり育成せんと、こんなポカはずっと続くでしょうね。
2006年02月26日
両立？
この前、ぼぉ〜っとＴＶを見てたらイチローが出演してるガソリンのＣＭでズッこけてしもた。日石の「ENEOS NEW ヴィーゴ ドライブ・環境」篇とかいうらしい。
曰く「エコロジー（ＣＯ2削減最大３％）とエコノミー（燃費アップ最大３％）を両立させるハイオク」なんやそうな。
それ「両立」と違て、１つのことを別の表現しとるだけやんけぇっ！！
ガソリンエンジン車の排ガスの中に含まれてるＣＯ2の炭素源でガソリン以外ナニ在るんじゃっ！燃費が３％減ったらＣＯ2も３％減るのは「当たり前」ぢゃっ！
他んトコではちゃんと「さらに燃費が向上することでＣＯ2の排出量を削減」って書いたるから、判らんと言うてるんと違うやろけど、それって確信的犯行や言うことやがな。商品自体は悪いことや無いんやから、怪しい宣伝すんなよなぁ・・・・
＃このネタを疑似科学にカテゴライズするのはナンやけど、見てる人間騙すやり方はほぼ同じやと言うことで。
曰く「エコロジー（ＣＯ2削減最大３％）とエコノミー（燃費アップ最大３％）を両立させるハイオク」なんやそうな。
それ「両立」と違て、１つのことを別の表現しとるだけやんけぇっ！！
ガソリンエンジン車の排ガスの中に含まれてるＣＯ2の炭素源でガソリン以外ナニ在るんじゃっ！燃費が３％減ったらＣＯ2も３％減るのは「当たり前」ぢゃっ！
他んトコではちゃんと「さらに燃費が向上することでＣＯ2の排出量を削減」って書いたるから、判らんと言うてるんと違うやろけど、それって確信的犯行や言うことやがな。商品自体は悪いことや無いんやから、怪しい宣伝すんなよなぁ・・・・
＃このネタを疑似科学にカテゴライズするのはナンやけど、見てる人間騙すやり方はほぼ同じやと言うことで。
2006年02月07日
必然と偶然
ワタシの亡父は中国系の占い（最初は「気学」、その後「四柱推命」）をやっていた。と言っても別に占い師を生業としていた訳ではなく、単に道楽としてである。私自身は全く信じてはいないのだが、占いを信じるヒトに違和感は感じないし、オカルトではあるが疑似科学でないのは自明である。ただし、だいぶ前から一部の占い師が妙なことを言うのが気持ち悪くてしようがない。
曰く「占いは古代の統計学である」等という、ナニか科学的根拠があるかのように見せかける言説である。
例えば有名なところでは、２０年程前からＴＶ等で活躍し、たいていの本屋で表紙に厳めしい顔を掲載した著書が並んでる、六星占術を標榜するオバチャンの公式サイト（↓）にも、それらしいことが書いてある。
ttp://www.6sei.net/pc/top.html
で、個人的にはそう言う表現に接すると「ウソこけ、ワレ！」と言いたくなるのである。統計学ってナニか判って言うてるとは、とても思えないのだ。
ワタシなりにザクッと要約すると「ナニかの事象を『必然』と考えるのが占い」であり、「『偶然』として扱うのが統計学」なのである。と言うか、偶然と見なせる事柄でなければ統計学では扱ってはいけないのだ。これは、現代であろうが古代であろうが未来であろうが、この条件だけは外す訳にはいかない。
ちょっと怪しく喩えれば、宝くじを買う場合を考えてみると、統計学上ではどの１枚も当たる確率は同じである・・・と言うか、同じでなければ宝くじというシステムは成り立たない。これに対し占いでは、売り場や購入日時を指定することなどで、当たりくじを入手できると考えるものなのだ。この根本的な差異の存在を無視し、あるいは理解もせず（できず？）、統計学のような科学的裏付けの存在を仄めかすのは、「詐欺」と同じだ。
と言うても、例に挙げたオバチャンなんかは、「中国四千数百年の昔に人間が生み出し」なんて言うときながら、発見されて２００年ちょっとにしかならない「天王星」（1781年、ハーシェルにより発見）が出て来る時点で、お話にはなっとらんのやけどねぇ・・・
曰く「占いは古代の統計学である」等という、ナニか科学的根拠があるかのように見せかける言説である。
例えば有名なところでは、２０年程前からＴＶ等で活躍し、たいていの本屋で表紙に厳めしい顔を掲載した著書が並んでる、六星占術を標榜するオバチャンの公式サイト（↓）にも、それらしいことが書いてある。
ttp://www.6sei.net/pc/top.html
で、個人的にはそう言う表現に接すると「ウソこけ、ワレ！」と言いたくなるのである。統計学ってナニか判って言うてるとは、とても思えないのだ。
ワタシなりにザクッと要約すると「ナニかの事象を『必然』と考えるのが占い」であり、「『偶然』として扱うのが統計学」なのである。と言うか、偶然と見なせる事柄でなければ統計学では扱ってはいけないのだ。これは、現代であろうが古代であろうが未来であろうが、この条件だけは外す訳にはいかない。
ちょっと怪しく喩えれば、宝くじを買う場合を考えてみると、統計学上ではどの１枚も当たる確率は同じである・・・と言うか、同じでなければ宝くじというシステムは成り立たない。これに対し占いでは、売り場や購入日時を指定することなどで、当たりくじを入手できると考えるものなのだ。この根本的な差異の存在を無視し、あるいは理解もせず（できず？）、統計学のような科学的裏付けの存在を仄めかすのは、「詐欺」と同じだ。
と言うても、例に挙げたオバチャンなんかは、「中国四千数百年の昔に人間が生み出し」なんて言うときながら、発見されて２００年ちょっとにしかならない「天王星」（1781年、ハーシェルにより発見）が出て来る時点で、お話にはなっとらんのやけどねぇ・・・
2006年02月06日
国民的迷信
世の中に数ある迷信の中で、「科学風」テイストを振りかけた迷信というのは結構転がってるものである。その最たるモノが「ＡＢＯ式血液型性格診断」と言うヤツである。普通に考えりゃこんなモンのドコに信憑性を感じるのか理解に苦しむのだが、科学を専門的に生業にしている人間の中にも、かなり信じているのにぶち当たると何だかなぁと思ってしまうものである。心理学の専門家が１万人以上を対象にして行った調査によって、既に否定的結果が得られているのになぁ・・・
そもそも巷間流布しているＡＢＯ式血液型性格診断は、その「性格」を判定するための客観的かつ合理的な手法や条件を示していないので、この時点で科学として扱うことが不可能なのである。例えば同診断において「Ａ型」の代表的な性質とされる「几帳面」を考えてみても、お金にルーズだが時間に几帳面という人間を判定するための統一的ルールは、示されていないのである。もちろん世の中に「全ての事柄について几帳面」と言うケースは存在するかもしれないが、現実社会にソコまで病的な人間の割合は、Ａ型の人口割合より圧倒的に少ないことは容易に推測できる。
また、その主張する性格の類型も、互いに排他的となっていないので、客観的に分類することすら不可能と言って良い。何となれば「自己中心的」で「几帳面」とか「おおらか」な「二重人格」というモノが矛盾せずに同時に存在できるのだから。つまりＡＢＯ式血液型性格診断を用いて、血液型を聞いて性格を（ウソでも）決めつけることは出来ても、性格から血液型を判定する能力はないのである。
このような科学的でないとの反論にたいして、「科学で全てが判るわけではない」とか「今後証明されるかもしれない」等とほざく人間も多い。もちろん科学が世の中の全ての事象を明らかにしている訳ではない（もし、そんな状況であれば世の中の科学者全員失業やな）のは正しいが、今までの科学で明らかになっていることも多いのである。また、真摯に正確な科学表現では１００％とか完璧等と言うことはあり得ないので今後に血液型と性格の関連が科学で示される可能性は０ではない。ただし、その場合に示されるであろう関連性は、現状流布しているＡＢＯ式血液型性格診断とは無関係であるのだから、今のヤツが「科学的にはウソ」と言うこと自体は覆らないのだ。
まぁコレだけ言うても、「オマエはＢ型やから文句言うとるだけやろ」等という言い掛かりを付けてくる輩が多いんやけどね。
そもそも巷間流布しているＡＢＯ式血液型性格診断は、その「性格」を判定するための客観的かつ合理的な手法や条件を示していないので、この時点で科学として扱うことが不可能なのである。例えば同診断において「Ａ型」の代表的な性質とされる「几帳面」を考えてみても、お金にルーズだが時間に几帳面という人間を判定するための統一的ルールは、示されていないのである。もちろん世の中に「全ての事柄について几帳面」と言うケースは存在するかもしれないが、現実社会にソコまで病的な人間の割合は、Ａ型の人口割合より圧倒的に少ないことは容易に推測できる。
また、その主張する性格の類型も、互いに排他的となっていないので、客観的に分類することすら不可能と言って良い。何となれば「自己中心的」で「几帳面」とか「おおらか」な「二重人格」というモノが矛盾せずに同時に存在できるのだから。つまりＡＢＯ式血液型性格診断を用いて、血液型を聞いて性格を（ウソでも）決めつけることは出来ても、性格から血液型を判定する能力はないのである。
このような科学的でないとの反論にたいして、「科学で全てが判るわけではない」とか「今後証明されるかもしれない」等とほざく人間も多い。もちろん科学が世の中の全ての事象を明らかにしている訳ではない（もし、そんな状況であれば世の中の科学者全員失業やな）のは正しいが、今までの科学で明らかになっていることも多いのである。また、真摯に正確な科学表現では１００％とか完璧等と言うことはあり得ないので今後に血液型と性格の関連が科学で示される可能性は０ではない。ただし、その場合に示されるであろう関連性は、現状流布しているＡＢＯ式血液型性格診断とは無関係であるのだから、今のヤツが「科学的にはウソ」と言うこと自体は覆らないのだ。
まぁコレだけ言うても、「オマエはＢ型やから文句言うとるだけやろ」等という言い掛かりを付けてくる輩が多いんやけどね。
2005年12月11日
Ｙ染色体
先頃、首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が皇位継承における女系容認の報告書を提出したことに対し、賛否両論が喧しい。基本的には現状の天皇制は国民主権の元の象徴天皇制である以上、国民の多くが納得できる制度にするしかない（その意味では「側室制の復活」は論外やろうな）し、個人的には「ドッチャでも良ぇ」と言うか「ドッチャにしても、問題が無くなることはない」と思てるんやが。
でも、その中に「男系維持」のためにかつて離籍した皇族から養子を入れる根拠（つまり資格要件であろう）として「神武天皇のＹ染色体」等という取って付けたような理論武装をする輩が出て来たうえ、それが「科学に基づく」などと主張するに至っては笑うしかないのである。
「科学」と言うのは「客観性」・「普遍性」を重視し、それに依拠する「学問」であり、その前提が得られなければ、「論ずるに値せず」としなければならないものである。そのためには「定義・前提」→「検証論理・検証手法」→「結果・結論」の全ての過程において、客観性に確からしいことを示さなければならない。もし、コレを行わずに「科学的な結論」と主張すれば、それは明らかな「疑似科学」である。
で、「Ｙ染色体至上論」のドコが「疑似科学」であるのかを考えてみる。
○科学の視点
まず引き継ぐべきとするモノを「神武天皇のＹ染色体」とした場合、その前提である2665年前に即位したと言われる伝説の「神武天皇の実在証明」が必要不可欠である。もしコレが出来ない場合、今上陛下に至るまでの「天孫の正統」に対して、科学としては「証明不能＝否定」とせざるを得なくなるのである。
コレを無視して天皇家の皇位継承の正統性を神武のＹ染色体に在るとの科学的根拠だと主張すれば、それは明らかに「疑似科学」でしかない。つまり本当に科学の論理に従えば、本来「神話」に基づく日本古来の信仰による天皇制において、皇室の維持どころか、その存在理由すら脅かすのである。
ただし、科学による伝説の否定を回避する手法が無いではない。資格要件を「神武天皇のＹ染色体」ではなく「天皇家のＹ染色体」とすれば、前提だけは疑似科学から逃れることが出来る。このためには、畏れ多くも今上陛下、あるいは皇太子殿下か秋篠宮殿下のＤＮＡを調査させて頂くことが出来れば、コレを「皇位継承の資格」としてしまうことである。
しかし、この場合は女系天皇を認めるよりも、遙かに混乱を発生させる危険を孕んでいる。まず千数百年にわたる天皇制の歴史の中で、多くの男子が皇籍外に流出しており、一般に広く存在している可能性が高い。つまり、もしかすればワシや隣のオッサンだって同じＹ染色体を持っているかも知れないのである。下手すれば海外にも広まっているかも知れず、そのような場合でも資格要件を認めなければ「科学の普遍性」が損なわれる。要するに女系を認めるために、婚姻による女性皇族の離籍を止めたときに懸念される「皇族の膨張」以上にややこしい事態を引き起こす訳である。
○神話としての視点
現在まで天皇家を日本の元首たらしめている根拠は、言わずと知れた天照大神の子孫たる「天孫の正統」であるコトである。つまり、その根拠は神武天皇に発するのではなく天照大神に遡れることにあるのは、天照大神を「皇祖神」としていることからも明らかである。
しかし、天照大神が神武に繋がるオシホミミを生んだのは、記紀の記述を信じるならば素戔嗚尊との賭の際に、剣の一部から「無性的」な手法に寄ったのである。要するに「Ｙ染色体」は天照大神まで遡れないのが自明である以上、神話的にも受け入れられる根拠ではない。
★以下、今回一番主張したかった「暴論」★
天皇家の正統の根拠は、間違いなく神話に基づく伝統であり、謂わば「信仰」なのである。その信仰を成立させるために無理矢理「科学の一部」を都合の良ぇとこだけ不当に摘み食いする手法は、キリスト教原理主義者の一部において聖書の記述に矛盾する進化学（進化論）を否定するヨタ話「創造論」（何億年も前の化石や地層は「神様」が持ってきて埋め込んだんやってアレね）と同質のものである。
だいたい「科学のお墨付き」が無いと揺らぐような「信仰」なんぞ、元から信じてないんやがな。疑似科学なんぞに頼るくらいなら、すっぱりと止めてしまえ！！
でも、その中に「男系維持」のためにかつて離籍した皇族から養子を入れる根拠（つまり資格要件であろう）として「神武天皇のＹ染色体」等という取って付けたような理論武装をする輩が出て来たうえ、それが「科学に基づく」などと主張するに至っては笑うしかないのである。
「科学」と言うのは「客観性」・「普遍性」を重視し、それに依拠する「学問」であり、その前提が得られなければ、「論ずるに値せず」としなければならないものである。そのためには「定義・前提」→「検証論理・検証手法」→「結果・結論」の全ての過程において、客観性に確からしいことを示さなければならない。もし、コレを行わずに「科学的な結論」と主張すれば、それは明らかな「疑似科学」である。
で、「Ｙ染色体至上論」のドコが「疑似科学」であるのかを考えてみる。
○科学の視点
まず引き継ぐべきとするモノを「神武天皇のＹ染色体」とした場合、その前提である2665年前に即位したと言われる伝説の「神武天皇の実在証明」が必要不可欠である。もしコレが出来ない場合、今上陛下に至るまでの「天孫の正統」に対して、科学としては「証明不能＝否定」とせざるを得なくなるのである。
コレを無視して天皇家の皇位継承の正統性を神武のＹ染色体に在るとの科学的根拠だと主張すれば、それは明らかに「疑似科学」でしかない。つまり本当に科学の論理に従えば、本来「神話」に基づく日本古来の信仰による天皇制において、皇室の維持どころか、その存在理由すら脅かすのである。
ただし、科学による伝説の否定を回避する手法が無いではない。資格要件を「神武天皇のＹ染色体」ではなく「天皇家のＹ染色体」とすれば、前提だけは疑似科学から逃れることが出来る。このためには、畏れ多くも今上陛下、あるいは皇太子殿下か秋篠宮殿下のＤＮＡを調査させて頂くことが出来れば、コレを「皇位継承の資格」としてしまうことである。
しかし、この場合は女系天皇を認めるよりも、遙かに混乱を発生させる危険を孕んでいる。まず千数百年にわたる天皇制の歴史の中で、多くの男子が皇籍外に流出しており、一般に広く存在している可能性が高い。つまり、もしかすればワシや隣のオッサンだって同じＹ染色体を持っているかも知れないのである。下手すれば海外にも広まっているかも知れず、そのような場合でも資格要件を認めなければ「科学の普遍性」が損なわれる。要するに女系を認めるために、婚姻による女性皇族の離籍を止めたときに懸念される「皇族の膨張」以上にややこしい事態を引き起こす訳である。
○神話としての視点
現在まで天皇家を日本の元首たらしめている根拠は、言わずと知れた天照大神の子孫たる「天孫の正統」であるコトである。つまり、その根拠は神武天皇に発するのではなく天照大神に遡れることにあるのは、天照大神を「皇祖神」としていることからも明らかである。
しかし、天照大神が神武に繋がるオシホミミを生んだのは、記紀の記述を信じるならば素戔嗚尊との賭の際に、剣の一部から「無性的」な手法に寄ったのである。要するに「Ｙ染色体」は天照大神まで遡れないのが自明である以上、神話的にも受け入れられる根拠ではない。
★以下、今回一番主張したかった「暴論」★
天皇家の正統の根拠は、間違いなく神話に基づく伝統であり、謂わば「信仰」なのである。その信仰を成立させるために無理矢理「科学の一部」を都合の良ぇとこだけ不当に摘み食いする手法は、キリスト教原理主義者の一部において聖書の記述に矛盾する進化学（進化論）を否定するヨタ話「創造論」（何億年も前の化石や地層は「神様」が持ってきて埋め込んだんやってアレね）と同質のものである。
だいたい「科学のお墨付き」が無いと揺らぐような「信仰」なんぞ、元から信じてないんやがな。疑似科学なんぞに頼るくらいなら、すっぱりと止めてしまえ！！